平成11年度 学校企画報告

はじめに

  平成11年度の学校側の自主企画として187件のテーマを実践していただきました。

 これらの授業実践事例報告につきましては校種別に紹介しています。
http://www.cec.or.jp/es/E-square/books/11nendo/gakko/index.html
 また,本事例は100校/新100校の授業実践事例と一緒に授業実践事例検索DBに登録されており,学年,教科等で検索できます。
http://www2.tokyo-shoseki-ptg.co.jp/cec/search/index.html
 以下,実践事例報告書の分類結果,先生方への参考となる共通的な事柄について説明します。


1 実践事例収集数

 北海道から沖縄まで,38都道府県の182校から187件の授業実践事例をいただきました。多いところは,東京20件,神奈川14件,大阪11件でした。
  企画テーマ数を学校種別に分類したものを表1に示します。

表1 学校種別企画数
 小   中   高  特 殊 その他 合 計
76 44 39 14 14 187


2 事例の分類結果

(1)交流形態

 事例の実践形態を「学校間交流」「地域交流」「国際交流」「単独」の4つに分類 しました。その結果を表2に示します。

表2 交流形態
  学校間交流 地域交流 国際交流 単独
小学校 36 11 10 22
中学校 14 3 4 23
高等学校 10 10 8 11
特殊学校・
その他
11 6 4 7
総 計 71 30 26 63

 表2から「学校間交流」が最も多く71件,次に「単独」63件,「地域交流」30件, 「国際交流」26件の順になりました。

(2)教科等の区分

 事例を学習指導要領の教科等の区分に従い分類しました。(分類項目数:17項目) その結果を表3に示します。

表3 教科等の区分(1/2)
分類項目 総合的
な学習
情 報 社 会 理 科 音 楽 英 語 保健/
体育
国 語 図 工 技術
家庭
小学校 41 4 9 7 10 1 4 4 6 0
中学校 12 9 5 4 1 0 2 1 0 6
高等学校 8 12 1 1 0 6 0 3 0 0
特殊学校・
その他
4 5 1 2 2 2 3 0 0 0
総計 65 30 16 14 13 9 9 8 6 6
 
表3 教科等の区分(2/2)
分類項目 生活 美術 算数/
数学
家庭 養護・
訓練
商業
(高)
特活/
その他
小学校 5 0 0 1 0 0 9
中学校 0 2 1 0 0 0 9
高等学校 0 2 0 0 0 1 10
特殊学校・
その他
0 0 1 0 1 0 11
総計 5 4 2 1 1 1 39

 表3から「総合的な学習」が最も多く65件,「情報」30件,「社会」16件,「理科」14件,「音楽」13件でした。これ以外は1桁の件数でした。 今回は,高校の物理,科学,地学,地理・歴史,公民がゼロでした。

(3)キーワードの抽出

 他の先生方が実践事例を利用し易くする目的で,報告書の特徴的な部分をキーワードとして記入してもらいました。
 キーワードのうち,交流形態と教科等の区分で記述した部分を除き,45個の項目を抽出しました。これを表4に示します。

表4 キーワード    
キーワード 個数
地域/
フィールド学習
24
TV会議 19
環境 12
図書館 6
作曲/MIDI 6
LAN 5
遠隔学習 5
ボランティア 4
異文化理解 3
教職員研修 3
著作権 3
生涯学習 2
情報倫理 2
福祉 2
双方向授業 2
キーワード 個数
読書

2
フェニックス 2
学校開放 2
修学旅行 2
異世代間交流 2
メディアキッズ 1
自律性 1
科学的アプローチ 1
ふれあい 1
リアルタイム 1
ライブ授業 1
絵画 1
描画 1
鑑賞 1
ディベート 1
キーワード 個数
産学連携

1
遊具 1
外部講師 1
翻訳ソフト 1
職場体験学習 1
PTA 1
サウンド 1
海外研修 1
点字楽譜 1
食教育 1
ネットディ 1
ビデオクリップ 1
無線LAN 1
防災教育 1
方言と共通語 1

 表4から「地域」に関するものが最も多く24個ありました。これに続いて「TV会議」19個,「環境」12個,この他のキーワードは6個以下でした。

(4)ワンポイントアドバイス

 報告書の最後に他の先生のために,ワンポイントアドバイスを記入していただきました。
 アドバイスは多岐にわたりました。共通的な事柄に的を絞ってポイントのみを紹介いたします。

(a)恐れずに
 実践される先生に求められるものは勇気と目に見えない壁にチャレンジする心。
 知らないものは誰でも怖いものです。報告書では,「なーんだ,簡単じゃない・・・」 とありました。先生が意欲を持って取り組むのが一番のようです。
 先生はきっかけを与え,子どもたちと一緒に学ぶ姿勢が良いようです。
 子どもたちの潜在能力を引き出すのが先生の役目のようです。

(b)人とのコミュニケーションが先
 企画実施担当者の独断先行ではうまくいかないようです。 日頃から関係者とのコミュニケーションが大事ですね。

(c)ネチケット
 インターネットでは通信回線の先に「相手(人)」がいます。
 インターネットでも「人との信頼関係」が基本になっています。
 そのため,インターネットでも調和のとれたマナーが必要です。
 さらに,インターネット機器を図書室に置く場合は他の利用者の迷惑にならないよ うに,利用のガイドラインを作成し,混乱しないようにすることが必要とのアドバイ スもありました。

(d)著作権
 インターネットに関する著作権の法律が完備していない状況では,自分一人の判断 ではなく,他の人の判断も仰ぎ,著作者の許諾をもらうなどで著作者の権利を侵害し ないようにすることが必要とのアドバイスがありました。

(e)運営体制
 計画実施にあたっては,企画実施担当者1人ではうまくいかないようです。
 学校内の委員会等を通して意思疎通を図り,テーマによっては教育委員会,教育センター,協力校,地域,PTA,企業,ボランティア等との緊密な連携が必要なようです。
 計画も予定通りという訳にはいかないようです。臨機応変に対応することが必要なようです。
  先生1人で悩まないでください。「全てのことを1人で背負う必要はない」とア ドバイスしている先生もいました。


あとがき

 インターネットを次のように活用していました。
 (1)自分の学校以外(近地,隔地,国外)とのコミュニケーション作り
 (2)地域との交流体験を通した調べ学習
 (3)情報の効率的な入手と発信

 これらはインターネットならではの結果であり,今までの狭い世界から,極めて容易に広大な別の世界を体験するきっかけを作ることになったようです。
  画像と音声で「ワーッ」と歓声をあげるもの,「カルチャーギャップにショック」を受けるもの,児童・生徒の受け止め方はさまざまのようです。
  子どもたちの世界は今までとは比較にならないくらい広がってきています。 しかし,広がりがでてきたため,報告数は少ないが次のような問題が顕在化しています。

 ・著作権
 ・情報倫理

 全人格的な教育の課題と合わせてインターネット特有の問題解決が今後の課題であろう。

以上