教育用ソフトウェア情報の提供に関する調査研究


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1.調査方法

      本研究の調査は、以下の方法で実施した。

      (a)

      市販の教育用ソフトウェアメーカに、教育用ソフトウェア情報の登録や更新を依頼し、その後のアンケート調査により必要な要件を抽出する。

      (b) 教員を中心とした利用者に教育用ソフトウェア情報の検索利用を依頼し、その後のアンケート調査により必要な要件を抽出する。

2.調査結果

2.1 教育用ソフトウェア情報の登録企業と登録件数

      平成11年度の教育用ソフトウェア情報の登録済み企業
      60社
      平成12年度の教育用ソフトウェア情報の登録企業
      49社
      総計
      109社

      表−1 教育用ソフトウェア情報のデータ登録件数

      分類

      件数

      今年度の総登録件数

      平成11年度登録企業の登録件数

      755

      1026

      平成11年度登録企業の追加登録件数

       17

      平成11年度登録企業の更新件数

       39

      平成11年度登録企業の削除件数

        6

      平成12年度登録企業の新規登録件数

      260

2.2 教育用ソフトウェア情報のデータ登録推移

      図−1 教育用ソフトウェア情報登録推移

3.アンケート結果

3.1 情報提供者へのアンケート

      (1)アンケート対象

         アンケート調査は、今年度新規に登録を行った教育用ソフトウェアメーカ39社、および昨年度登録し登録情報の更新を行った企業13社の計52社に対して実施した。  

      (2)アンケート結果

        (a)アンケート集計結果一覧

          以下にアンケートの集計結果一覧を示す。

          表−2 アンケート集計結果一覧(情報登録企業) 単位(人)

          質問事項

          はい

          いいえ

          無回答

          「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の画面は見易いか?

          46

          「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の操作はし易いか?

          45

          登録の手順はホームページ上の説明のみで理解できたか?

          46

          登録情報は充分な内容だったか?

          48

          今後も「教育用ソフトウェア情報の検索システム」を活用していきたいか?

          51

        (b)検索システムの画面の見易さ

          図−2 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の画面

           画面の見易さについては、88%が見やすい/まあまあ見やすいという回答であった。コメントの中には、画面自体は見易いのだが、一般利用者への公開システムのため、「デザインがシンプル過ぎるので、もう少し手を加えた方が良い」という回答が幾つかあった。

        (c)検索システムの操作性

          図−3 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の操作性

           操作性については、84%がし易い/まあまあし易いという回答であった。コメントとしては、複数登録の際に引用登録(前回の登録内容を引き継ぐ)の機能追加を望む回答が多かった。

        (d)登録手順の理解度

          図−4 登録手順の理解度

           登録・修正手順書が無くても、ホームページ上での手順説明で充分であると90%が回答している。コメントとしては「明細項目の意味がよくわからない」や「教材サンプル画面の転送方法がよくわからない」という回答があった。

        (e)登録情報の満足度

          図−5 登録情報の満足度

           登録情報の満足度については、94%が充分だった/まあまあ足りたとの回答が得られた。コメントとしては、教育用ソフトウェアを開発している企業によっては、教科の種類の不足、入力文字数の不足、対応OSの追加(Windows Me等)という回答があった。

        (f)検索システムの今後について

          図−6 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」への今後について

           「検索システムを今後も活用していくかどうか」という質問に対して、回答者は100%が積極的に活用したい/機会があれば活用したいとの回答であった。このことから、検索システムは教育用ソフトウェア情報の提供の場として役立っているということが分かる。

3.2 情報利用者へのアンケート

      (1)アンケート対象  

         利用者へのアンケート調査を行い、教育関係者を中心に104名から回答を得た。

      (2)アンケート結果

        (a)集計結果一覧

           以下にアンケート集計結果一覧を示す。

          表−3 アンケート集計結果一覧(教育機関)

          質問事項

          はい

          普通

          いいえ

          無回答

          教育ソフト検索を利用していますか?

          55

          42

          教育ソフト検索を利用して役に立ちましたか?

          37

          27

          32

          検索の仕方や操作性は良いですか?

          35

          33

          31

           さらに、教育用ソフトウェア検索システムの長所/短所を質問したアンケート集計結果の一覧を以下に示す。

          表−4 教育用ソフトウェア情報の検索システム 長所/短所集計結果一覧

          長所・短所

          回答数

          紹介のURLに直接アクセスできる(長所)

          48

          デモ版の入手が可能(長所)

          11

          教材画面のサンプルをみることができる(長所)

          27

          E−mailですぐに問い合わせができる(長所)

          ソフトウェアの情報が多い(長所)

          19

          説明内容が不十分(短所)

          欲しい情報が無い(短所)

          字ばかりで見づらい(短所)

          意図した検索ができない(短所)

        (b)検索システムの利用度

          図−7 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の利用度

           教育用ソフトウェア情報の検索を利用しているかについては、はい/いいえがほぼ半数に別れた回答が得られた。これは、まだあまりインターネットの利用度が一般教育者に浸透していないものと考えられる。

        (c)検索システムの役立ち度

          図−8 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の役立ち度

           教育ソフトの検索が役に立つかという質問には、89%が大変役に立つ/役に立つとの回答があった。あまり役に立たないという回答の中には、欲しい情報が検索できなかったり、意図した検索ができなかったというコメントが多かった。

        (d)検索システムの操作性

          図−9 「教育用ソフトウェア情報の検索システム」の操作性

           操作性については、93%が大変良い/良いとの回答であった。良くないという回答の理由としては、教育ソフト検索の役立ち度と同様、欲しい情報が検索できなかったり、意図した検索ができなかったということが考えられる。

4.情報提供方法における要件

4.1 教育用ソフトウェア情報の登録における要件 

      (1)アンケートによる指摘項目

        アンケート結果から、登録においては以下の項目が指摘された。

        (a)

        画面デザインがシンプル過ぎるので、ロゴやキャラクターといったイラスト等を挿入したら良いのでは?

        (b) フレーム構造にすると、更に見易くなるのでは?
        (c)

        レスポンスを考慮すると、文章を中心に作成した画面は表示速度が早くて良いが、学校の先生向けのことを考慮すると、デザインの工夫・改善が必要。

        (d) ボタンがバナーに見えてしまうので、ボタンらしいデザインの方が良い。
        (e)

        複数の教育ソフトを登録する際、似たような名称の教育ソフトがある場合、引用登録(前回の入力内容を引き継ぐ)の機能を追加したらどうか?

        (f)

        登録明細の項目表記(例:対応OS)は古くなってしまうので、具体的なOS表記ではなく、曖昧(Windows系等)な表記方法にしてはどうか。

        (g) 登録明細の選択肢「その他」にはフリーの入力欄を設けたらどうか?
        (h) 教科、ソフトウェアの種類のカテゴリを追加して欲しい。
        (i) 動作環境の情報はOS以外にも必要では?

      (2)登録方法における要件

        上記の指摘項目を分類すると登録に関しては次の2つの要件が上げられる。

        (a)デザインに関する要件

           デザインに関しては、イラストの利用や表示配置の改善、ボタンの表示方法の改

          善などにより、見易さを高めることが要件として上げられる。

        (b)機能に関する要件

           機能に関しては、入力の簡便さの向上、選択肢の設定に関する改善による、登録

          方法の改善が要件として上げられる。

4.2 教育用ソフトウェア情報の検索における要件 

    (1)アンケートによる指摘項目

      アンケート結果から、検索においては、以下の項目が指摘された。

      (a)意図した検索ができない。

      (b)欲しい情報が見つからない。

    (2)検索における要件

       上記の指摘から、意図した検索方法を行うための検索指定方法の改善が要件として挙げられている。これらの改善には、登録方法の要件で上げた選択肢の設定方法や登録方法に関しても合わせた改善を検討する必要があるといえる。

4.3 教育用ソフトウェア情報利用者の評価による要件

      (1)アンケートによる指摘項目

        情報利用者のアンケート結果から、検索においては、以下の項目が指摘された。

        (a)紹介のURLに直接アクセスできる。

        (b)E−mailでの問い合わせができて良い。

        (c)教材画面のサンプルを見ることができて良い。

        (d)デモ版の入手ができるので良い。

        (e)ソフトウェアの情報が多いので良い。

      (2)利用者の評価に関する要件

         上記の指摘から、教育用ソフトウェア情報の参照方法/情報量が豊富であるというこれらの項目は利用者にとって有益な項目として上げられる要件であるといえる。

      (3)情報提供者による要件

        情報提供者のアンケートからも、利用者の立場に立った以下の項目が指摘されている。

        (a) 検索システムの知名度が低いと思われる。
        (b)

        ヒット率、カウンター、アクセスログの公開によって、企業も取り組み方が変わってくると思う。

        (c)

        カテゴリ、データの陳腐化をどう考えるか? 情報を常に最新の状態に保ち、情報の信頼性を高めることが大切である。

        (d)

        意見交換の場(チャット)があってもいいのでは? 教育ソフトを売る立場からの意見も必要だが、ソフトを利用した立場の感想などがあれば、実際の教育場面で導入の参考になるのでは?

        (e)

        Eスクェアプロジェクトのサイトにおける教育用ソフトウェア情報の検索システムへのリンクが目立たな過ぎる。少なくともトップページから直接選択できるようにしないと、利用者の増加は期待できないと危惧する。

         上記からもわかるように、情報提供者としても、ダイナミックな情報通知方法、またインタラクティブな情報提供方法、およびホームページの知名度向上が要件としてあげられる。

5.考察

       本調査の結果、教育用ソフトウェア情報の登録においては、「今後も活用していく」という企業からの回答が100%にも達したことにより、教育用ソフトウェア情報の検索システムは、企業にとって教育用ソフトウェア情報を提供する場として非常に有益であることが分かった。また、教育用ソフトウェア情報の検索システムの「役に立つか」「操作性は良いか」については9割程度が良い回答を示している。さらに教育用ソフトウェア情報の利用においては「紹介のURLに直接アクセスできる」「教材画面のサンプルをみることができる」「ソフトウェアの情報が多い」等の回答があり、利用者にとっても教育用ソフトウェア情報の検索システムは、効果的かつ有益であることが明かとなった。これにより、本システムは、いずれの利用者においても充分受け入れられているものといえる。

       しかし、操作性、機能、運用面、検索方法等に関する改善要望も出ており、また、教育用ソフトウェア情報の検索システムの知名度がまだ高くないことも一因とみられ、検索システム自体の利用機会がそれほど多くはないことも今回の調査で分かった。

       今後の教育界への有益な情報提供と効果的な利用促進のためにも、教育用ソフトウェア情報の検索システムの更なる改良や知名度向上に向けた新たな施策を講じることが期待される。



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