モデル校実践報告[6]

− 矢田野小パソコンクラブでの取り組み −

石川県小松市立矢田野小学校
向出 章


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キーワード 小学校,インターネット,ひろば,電子会議室,学校間交流

 短期間で,回数的にも少なく,十分な活用とまではいかなかったが,石川県小松市立矢田野小学校のパソコンクラブにおける「子どもの広場」での実践活動を今現在までの経過と今後の展望を踏まえて報告する。

 

1.本校の現状

     本校にコンピュータが導入され,パソコンルームにおける校内LAN構築が完了したのは,昨年度の10月に入ってからである。さらに,今年度は,大規模改修が行われたのをきっかけにして,1〜6年生の各教室にコンピュータを配置し,集中・分散型の校内LANが完成した。

     このような環境のもと,「子どもの広場」に参加する機会を得て,実際に参加することができるようになったのは,11月の中旬頃を過ぎてからである。しかも,今年度は学級担任ではないので,クラブ活動での参加であったため,回数的にも少なく,十分な活用とまではいかないが,今現在までの経過と今後の展望について報告していくことにする。

     

2.参加するまでの児童の様子

     後期からパソコンクラブができ,活動計画を立てる段階で,「子どもの広場」への参加を子ども達に伝えた。6年生4名・5年生14名・4年生6名の24名が参加することになった。今年度は,学校外との交流を行っていなかったので,不安と期待の声があった。掲示板交流であることを伝え,「子どもの広場」のIDとパスワードの登録ができるまでに,文字入力ができるようにすることから活動が始まった。ローマ字入力の練習や簡単な文章づくりを一生懸命に行っていた。

     しかし,IDとパスワードが登録され,いよいよ「子どもの広場」への参加ができる頃に,出張や行事などの関係で「子どもの広場」への参加ができないまま,日が過ぎていった。子ども達から,「いつ参加できるの?」という声が聞こえてきた。そこで,昼休みに子ども達を集め,「自己紹介」を家で考えてくるように伝えた。楽しみにしていた子ども達は,それぞれのノートにきちんと自己紹介文を書いてきていた。

     

3.参加しての児童の声や様子

     11月30日,いよいよ参加できる日がきた。子ども達は自分のノートを確認しながら,自分のIDとパスワードを入力し,「子どもの広場」へ参加できると,「入れた!」「やった!」などの歓声が上がり,自己紹介文を打ち始めた。4年生は,まだ手元のローマ字一覧表を見ながらの入力だったので時間がかかったが,何とかクラブの時間内に入力することができた。そして,ほとんどの子ども達は,「返事はくるかな?」「早く返事がこないかな。」などと口にしながら,満足そうに帰っていった。(図1)


    図1 返事を心待ちにしながら,入力する子ども達

     しかし,どうしても「IDとパスワードが違います。」というメッセージが出て,中に入れない子がいたので,作戦会議に書き込みをした。その子が記入したIDのスペルと登録されているスペルが違っていたためだった。この件は,子ども達が,IDとパスワードの大切さを確認できる良い機会になったようである。

     また,自己紹介文で,「カード交換をしたい。」と書き込んだ子がいた。この文については,こちらで削除することにした。次の日,その子は,「カードなどの交換はいけないのに,誤って書き込んでしまったので削除されたのだろう。」と友達に話していた。このことを通して,「子どもの広場」には,ルールがあり,守らなければいけないことや,相手があることを意識した書き込みをしなければならないことについて,話し合えたのはとても有意義であった。


    図2 気に入ったコーナーで返事を見たり,書き込みをしたりする様子

     12月に入ると,毎日のように休み時間や放課後などわずかな時間を利用してパソコンルームや教室のパソコンで返事を見たり,書き込みしたりしようとする姿が見られるようになった。(図2)

     特に,本校で人気があったのはゲームコーナーで,「遊戯王」カードについての書き込みが多かった。その他として,テレビとアニメのコーナーにも,興味を示していた。

     「子どもの広場」に参加してみて,思ったことや感じたことをたずねてみると,「自分の書き込みに対して返事があると,とてもうれしい。」,「自分達の周りの情報だけでなく,他の地域からの情報を得られることは楽しい。」,「あるテーマで知り合いになれることがうれしい。」という声が多かった。また,「実際に顔を見たい。」,「話してみたい。」という声もあった。

     ただ,参加してから期間も短く,他のコーナーの内容を十分に体験していない子が多い。特に,「まなびゾーン」への参加は少ない。このことは,クラブ活動の時間だけでは,十分に関わることができないことが大きな要因であると思う。

     クラスでの参加であれば,共通の話し合いやテーマに対する理解ができるが,学年も異なり,接する機会の少ない子の集まるクラブ活動では,違った視点からのテーマを設定する必要性を感じた。

     「子どもの広場」のような掲示板型交流における教師の関わり方やテーマ設定の難しさを痛感した。

     

4.今後の展望

     「子どもの広場」への参加は,学校外の友達を意識し,ネチケットの大切さを知る良い機会となった。

     この機会を生かし,3学期には,学校行事や地域の紹介などをテーマにテレビ会議などの交流も併せて行ってみたい(図3)。掲示板型以外の方法での交流も併用していくことにより,もう一度,「子どもの広場」について新たな視点で見直すことができるのではないかと考えている。


図3 校内イントラネットを使い,テレビ会議の練習をする様子


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