モデル校実践報告[8]

− 中学校での取り組み −

福光町立吉江中学校
教諭 林 秀次


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キーワード 小学校,インターネット,ひろば,電子会議室,学校間交流

 富山県福光町佳枝中学校における「子どもの広場」での活動の様子を,教師のねらいと,生徒の感じ方に焦点をあてて報告する。

 

1.はじめに

     本年度「子どもの広場」プロジェクトに参加させていただいた。本校におけるID発行者は3年生6名と1年生1学級28名。書き込み自体はまだ多くないが,その中で教師のねらったこと,生徒の感じ方について考えた。

     

2.教師のねらい

2.1 学校での学習を深める場としての「子どもの広場」の活用

     本年度の総合的な学習の中で,3年生は国際理解学習,1年生は地域学習を行ってきた。

     現在3年生は,そのまとめとして,要約を英文で作成し,富山県教育NOCの電子掲示板へと書き込んでいる。また,1年生は,地域の産業,自然,人などを調べ,学園祭で発表した。これらのことをベースに,「子どもの広場」で交流を通してさらに内容を深める。

2.2 異なる校種の学校との交流活動の場としての「子どもの広場」の活用

     中学生は,同じ年代の生徒同士,あるいは自分よりも年配の人との交流はよくあるが,自分達よりも年齢が低い年代(小学生)との交流はすくない。しかし,子ども達にとって,自分たちよりも年齢の低い児童と接することは,いろいろな意味で大切なことである。「子どもの広場」に参加することで,容易に異校種の生徒たちとの交流が可能になる。これを通して,児童が理解しやすい文章の書き方や,伝え方について学ばせる。

 

3.生徒の参加

     3年生の6名は,ちょうど進路の時期であることでなかなか参加ができない。しかし,その中で家にインターネットのあるK君は,自己紹介,環境に対しての意見文などを書き込んでいる。中学生からの返事はまだないが,他の学校の教師から返事をいただき,大変喜んでいる。

     1年生は,まだコンピュータの操作にはなれていない。そのため最初は,書き込まれた文章を読むことが中心となっていた。しかし,最近少しずつ書き込みを行う生徒が出てきた。男子のほうはゲームなどを通した交流中心,女子は自己の学習を表現するまなびのゾーンへの参加の傾向がある。(図1)


    図1 掲示板を開くのが楽しみ

     

4.交流の可能性

4.1 中学生が学習したことを紹介しあう場合の難しさとその対処

     生徒は外部の方に見ていただくことを望んでいる。しかし,中学生は,総合的な学習で学んだ内容も難しいものが多くなり,さらにいろいろな領域へと発展している。それを掲示板に書き込んだ場合,見るほうも相当なエネルギーが必要である。そのため,返事を出しにくい状況になり,気軽に発言ししづらくなる。しかし,スタッフの方の援助があり,それによって発言が促されたりしたことでさらに書き込もうという意欲が高まった。(図2)


    図2 自分の総合的な学習をまとめ,書き込む中身を考えている

4.2 であいゾーンへの参加から感じること

     最も感じることは,電子掲示板になると,学年が離れていても,その年齢の差を意識させられることが少ないようである。そのため,異学年間であっても話に参加しやすい。

     学年が離れていても共通話題に対して話し合いを進めることができる。対面して交流をすると話し合いをしにくい場合が多い。掲示板ならではの交流であると思う。

     みんな自分と同じ立場であるという錯覚がおこるので,失礼な書き方になったりすることがある。また,普段よく知っているもの同士で会話したりしており,学校集団の中には,暗黙の了解も多い。そのため,文章の中に,普段いっしょに活動している仲間(学校集団)だけしかわからない書き方をしてしまうことがある。この書き込み文をチェックすることで,表現の仕方の大切さを学ばせることができると考える。

     

5.今後の予定

     学習の面において,まなびゾーン(特に「ふるさと自慢」や「環境」,「アジア!」)では,考えを深めることをねらいに,であいゾーンでは,生徒が自由に交歓しながら,ネットワークのマナーを学ぶという場としてとらえ,指導していくことが大切であると考える。マナーの指導については,最初に入れる部分と,あとは機会を見つけてのチャンス指導を入れることが大切である。



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