第1章:交流学習プロジェクトのねらい


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1.本プロジェクトの目的

    (1)交流学習の継続・発展

       本企画は、平成11年度に吉野川を題材として実施した「同一河川流域学校交流」の研究開発成果を、他地域の営みに適用しようとするものである。

       平成11年度に吉野川流域の3校間で、子どもたちが郷土素材「吉野川」の特色を共通理解したり、また上・中・下流域で自然や暮らしにどういった違いがあるかを確認したりした。その成果は、前年度の「同一河川流域内学校交流」の研究開発報告書にまとめられている。それは、交流学習の実践記録・実践マニュアル・参考資料からなるものである。ある地域の交流学習プロジェクトの知見が、どの程度他地域のそれに適用可能なのかを確かめるために、舞台を岡山の旭川に替えて、再び交流学習の企画・運営・評価に着手したのが、今回の研究開発プロジェクトである。

    (2)ビギナー校の交流学習への参加可能性や参加形態の再確認

       吉野川の事例研究でも明らかになったが、現在、学校によって情報機器環境の整備状況にいろいろな違いがある。教師たちの情報教育実施の経験にも大きな格差がある。こうした状況下でインターネット活用に温度差がある学校間でも、インターネットによる遠隔共同学習は可能なのか。可能ならば、インターネット利用に長けた学校とそれへの挑戦を始めたばかりのビギナー校では、交流学習への参加形態にどのような違いが生じるのか、またそれはどの程度まで容認すべきものなのかを再確認することも、本企画の重要な課題のひとつである。

    (3)交流学習の充実に向けた情報通信機器環境の整備とWebツールの開発

       交流学習実施の前提は、各学校における情報通信機器環境の整備である。それは、学校に数十台のコンピュータを設置し、職員室やコンピュータ教室からインターネットにアクセスできるという状態から、子どもたちが各教室に設置したパソコンで必要に応じてインターネットを活用できるといった状態へと、次第に力点を移行させつつある。

       政府が2005年度を目途に考えている、そうしたインフラ環境の下で、これまで試みてきたインターネットによる交流学習がいかなる発展を示すのか。また、「総合的な学習」や情報教育を展開するのに、そのような環境で十分と言えるのか、何をさらに補わなければならないのか。こうした点を探索し検討することも本企画の営みのひとつである。

       さらに、本企画では、ソフトウェアに関しても、交流を支える仕組みを開発することを試みてみたい。これまでにも、様々な交流学習サイトが開発され、運用されてきた。それらの資産を生かしながら、本企画では、ビギナー校の児童・生徒でも参加できる操作、また日常的で継続的な交流を子どもが記録し振り返ることができる構成、教師でも管理できる体制などを意識して、Webツールを開発する。交流学習の量的・質的充実を図るためのWebツールのデザインを吟味することも本企画のねらいのひとつである。

    (4)交流学習の多様性の確認とプロジェクト型交流学習の運営

       我が国におけるインターネットの教育利用が、100校プロジェクトによって出発してから、実に様々な形態の交流学習が登場してきた。本企画の前身であった吉野川を舞台とする「同一河川流域内学校交流」の場合は、比較的近距離に位置する3つの学校の子どもたちが、流域の特産物や特徴のある暮らしを相互に伝え合い、郷土意識を高めてきた。一方、インターネットの教育利用プロジェクトの中には、小学生であっても、翻訳機能等を駆使して、国際交流に取り組んできたものもある。

       本企画では、地域の特色をデジタルマップに表すという学習活動を複数の学校で分担して展開するという「プロジェクト型」交流学習の意義や可能性、課題を明らかにすることを試みた。企画に参加する学校の子どもたちは、旭川流域の特色を網羅した地図をインターネット上で公開するためのプロジェクトを発足させ、その運営を試みる。彼らは、オンライン上で、地域情報を交換すると共に、公開する地図のデザイン、作業工程、アピールの対象や方法などに関する議論を展開する。それは、同一テーマの調査研究を複数校で分担する場合に比べて、学校をまたいだチーム編成、役割分担の明確化、日程調整などの点において、教師にも子どもにも配慮すべき事項が多くなる。もちろん、交流密度も増す。

       本企画では、実践の計画・実施・評価を通じて、上述したようなプロジェクトマネジメントを子どもたちに促すための学習過程、それを可能にする情報通信機器環境や学習ツール、教師の支援方策などに関して、知見を集積したいと考える。

       なお、プロジェクト型交流学習の推進に呼応して、この研究開発プロジェクトでは、電子地図(デジタルマップ)作成という共同作業をオンライン上で実施することによって、

        i) 子どもたちの中に分散−協調作業を進める際に必要となる情報活用能力を育成する

        ii) 彼らの郷土への関心や愛着と育む

      という2つの学習目標を設定している。
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