第1章:交流学習プロジェクトのねらい |
インターネットの普及に伴い、全国各地で共同学習の実践が試みられるようになった。数多いインターネット利用の共同学習実践の中で、本プロジェクトは、次のような独自性を持っている。
同一河川をテーマにすることによって、上流・中流・下流の川の様子など、自然の違い、それに伴う社会的基盤の違い、そして生活の違いなど、小学生にとってわかりやすい比較学習が実現する。また、身近な河川に出かけるという直接体験とインターネット活用学習を共存させやすい。
「総合的な学習の時間」の実施に伴い、各学校で展開される教育課程はいっそう個性化していくと思われるが、それだけに環境学習にしてもメディア活用学習にしても、学校間でその経験差は必ず存在することになる。それを視野に入れた共同学習プロジェクトを組織し、経験差のある学校間でうまく共同・交流できる支援システムやプロジェクトマネジメントを研究の焦点としている点が、今後の現実を考慮した特徴である。
子どもたちが調査したことを、どのような「かたち」で共有財産化するかという点はきわめて重要である。その「かたち」をもとに子どもたちは学習の意味を常に意識できるようになったり、情報共有のよさを強く体感したり、目的意識を持って取り組んだりすることができる。本プロジェクトでは、その「かたち」として「デジタルマップ」を利用した。すなわち、調べたことやまとめたことを「デジタルマップ」にどのようにリンクし、取り出せるようにするかを考えることによって、全体のなかでの個別の学習活動を意味づけしていった。
多くの共同学習では、そのシナリオはあらかじめデザインされており、子どもたちは学習活動そのものに自己を発揮する。しかし本プロジェクトでは、プロジェクトの運営そのものを子どもたちに委ねようとしている点が特徴的である。小学生中心のプロジェクトにおいて、その運営に子どもたち自身が積極的に関わっている事例は皆無と言ってよいだろう。
デジタルマップ作り(3)を、子どもに運営させながら実施する(4)という点については、国内ではこれまでほとんど実践例が見られない。そのため、本プロジェクトにおいて、子どもがどのように活動し、学校間でどんな情報を交換したか、特にタイムコントロールに対して、教師がどのように配慮してきたかという点は、実践記録として価値の高いものとなるだろう。