第2章:交流学習プロジェクトの実施体制 |
多数の学校が参画して共同学習・交流学習を展開していくためには,学校間の情報交流を支援するための共通の基盤環境(ツール)が必要である。その基盤として,学校に導入されつつあるパソコンとインターネットの活用は,情報の収集・整理や発信,交換などといった共同学習・交流学習に伴う活動を行うために有効である。しかし,実際に学校に導入されているパソコンやソフトの性能・構成は,自治体(または学校)によって,また導入時期によって違いがあるため,自治体の枠を越えた広がりのある交流学習を実践する際には,必ずしも「共通の環境」となり得るものではない。
そこで,インターネット上に参画する学校の教師と子どもたちが共通に利用できるWebツールを整備することにより,学校間のブリッジ的な役割をもたせるようにした。これは,
i) 学校のパソコンからインターネットに接続できること
ii) そのパソコンにブラウザ(閲覧ソフト)がインストールされていること
基本的にインターネットに接続されているサーバーがあれば,そのサーバーがどこに設置されていても利用はできる。しかし,サーバー管理を考慮した場合,学習の妨げにならないように常時安定稼動させる必要がある。サーバーが特定の学校や教育センターに設置されていた場合,そこに負担が集中する可能性がある。そこで,インターネットサービスプロバイダー(ISP)が管理するサーバーを利用し,日常的・定期的な稼動監視の下で安定した運用が行えるようにした。
交流学習を進めていくに際して,子どもたちや教師が発信した情報を,参加しているすべての学校で共有化できることが重要である。さらに,その情報が蓄積されていくと次年度の学年の教材としてもそれを利用でき,交流の継続や新規交流校の参加を促せるようになる。そこで,情報データベースをバックエンドにすえてWebツールを整備し,コンテンツの管理(登録・更新)を容易に行えるようにした。
子どもたちが発信する情報には,一般に(インターネット上に)公開できないプライベートな情報が含まれる可能性がある。そのような場合,情報を教師が管理できる仕組みも必要である。そこで,この交流学習のサイトを閲覧・書き込みができる人にIDとパスワードを発行して会員制のサイトにし,さらに,会員を教師と子どもたちに分けて,教師が管理する領域に子どもたちが入れないように,グループ別の認証を行った。
| 右図に,サーバー環境全体の概念図を示す。また,サーバーの稼働環境として,OSにLINUX,データベースにPOSTGRESを使用することによって,安価に構築・運営できるものを採用している。 |
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1)交流学習サイトの全体構成以外や一般向けに発信するサイト。 iii) 学習成果サイト(旭川デジタルマップ:公開サイト) 子どもたちは交流学習の一環として,「旭川デジタルマップ」を協同で制作した。これについて一般の方にも評価してもらうためにWeb上でもアンケートを実施した。(第3章 今回の交流学習では,下記の4つの「サイトマップ」を構築した。 |
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i) 学習活動サイト(あさひバリバリネット:会員ID発行者全員利用可能)
交流校の子どもたちのコミュニケーションや学習活動を支援するサイト。
ii) 実践活動報告サイト(Reports&Topics:公開サイト)
実践活動の内容を交流校4,第3部3を参照)
iv) 管理者サイト(会員IDを持った教師のみ利用が可能)
上記 i),ii) のサイトを教師が管理するためのツールを置くサイト。教師が学校内の会員IDの発行や停止をすることもできる。
2)学習活動サイト (あさひバリバリネット)
ここには,4つののメニューを用意した。 |
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i) 情報カード登録「情報カード」は,子どもたちが観察や実験によって気づいたことがらを情報としてカード形式にまとめるものである。 これらのカードは,サーバーにデータベースとして登録され,参加校のだれでも閲覧することができる。 定形データ,文章のほか,写真3枚,映像,音声データも登録できる。
情報カード表示例 → (湯原小学校の6年生が,旭川で測定した水質検査のデータを記録し,感想を述べている。) |
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| 必須の定型的なデータ(学校名・学年・クラス)入力には,プルダウンメニューで選択入力を容易にできるようにした。カードに添付する写真や動画・音声などにもタイトルやキャプション(説明)を添えることができる。 選択入力の例→
情報カード登録画面 → |
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ii)情報カードの検索登録された「情報カード」は,学校名,分類名,登録者名,「気づき」に書かれた言葉で検索できる。これらは,AND検索・OR検索で拡張や絞込みができる。検索の結果は,リスト形式で一覧表示される。
情報カードの検索画面→ |
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iii) 情報カード掲示板
登録された「情報カード」を題材にして,さらに情報交換を重ねて行えるよう情報カードごとに掲示板を設けた。
iv) 会議室
交流学習に必要な連絡や討議を行うために下記の3区分について,12の会議室を設置した。
○班別会議室
(a)プロデュース班会議室,
(b)デザイン班会議室,
(c)アピール行動班会議室,
(d)コンテンツ班会議室
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↑ 掲示板のタイトル一覧 |
↑ 掲示板の発言の例 |
○コンテンツ会議室
(a)川の風景の部屋,
(b)水と生き物の部屋,
(c)歴史文化の部屋,
(d)森と木の部屋,
(e)暮らしの部屋
○コミュニケーション会議室
(a)わいわいコーナー,
(b)自己紹介,
(c)掲示板の練習
v) グループメール
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グループメールは,登録している会員の間だけで交換できるメールシステムである。会員IDをメールアドレスとして使用する。また,アドレス帳には自分のプロフィールの登録もできる。 グループメール一覧→ |
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← グループメール作成 |
vi) チャットルーム
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キーボードとディスプレイで,リアルタイムに複数の子どもたちの間でメッセージのやり取り(対話)ができるようにした。
チャットルームの画面 → |
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このサイトには,実践活動トピックス(随時)と実践レポート(月間)を各学校からインターネット上に公開・発信できるようにしている。登録は,次項の「4)管理者サイト」で行う。また,これらは運用上,複数人の査読を経たうえで公開できるようにした。
↑ 月間レポートの例(PDF形式)

↑ トピックスの例
○実践報告サイトに関連する機能
*実践活動報告 登録・修正・削除
*実践活動報告の査読
*月間レポート 登録・修正・削除
○学習活動サイト(あさひバリバリネット)に関連する機能
*情報カード管理
*情報カード掲示板 発言登録・削除
*あさひバリバリネット掲示板 発言登録・削除
○学習成果サイト(旭川デジタルマップ)に関連する機能
*アンケート管理
○会員管理
*会員登録,会員検索,会員情報更新,会員削除,グループ登録
○その他
*教師用掲示板
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i) 実践活動報告の登録と査読 実践活動報告の登録画面 → 実践活動報告の査読画面 ↓ |
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ii) 会員管理 会員IDの管理は,学校別に行い,その学校の管理者のみが操作できるようにした。また,会員IDには,教師・児童・事務局のグループ属性を持たせて,各サイトでの認証を行っている。なお,Web上では,ニックネーム(ハンドルネーム)を用いることとし,すべての会員情報はデータを暗号にして送受信する機能を有するSSL(セキュリティサーバー)を利用し交信する。 |
![]() ↑ 会員登録画面 |
会員検索は,学校等のグループ単位で行うことができる。グループ内の全会員の全IDが一覧でき,個別にアクセス権を設定することができる。
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| ↑ 会員検索画面 | ↑ グループ登録・削除画面 |
Webツール試用の過程で,学校の要望や通信環境に対応するための次のような課題が見出され,対処した。
1)インターネット接続環境の改善(通信データ量の削減)
本プロジェクトのWebツールを利用する場合,パソコンがインターネットに接続していなくてはならない。インターネット接続環境は,学校によって異なるが,64kbpsのISDN回線を利用する場合が多く,20台近いパソコンが同時に接続すると1台あたりの転送速度が極端に低くなり,画面表示などが遅くなる。そのため,学校には,128kbps回線の導入や通信処理を高速化するプロキシサーバーの導入を検討した。
あわせて,授業中の回線使用時間を減らす方法として,事前にノートやシートへの下書きしておく方法やワープロのデータを転記する方法などによって分散化した。
一方で,添付する写真画像データについても,デジタルカメラの解像度(画素数)が非常に大きく,そのまま「情報カード」に添付すると登録や閲覧の際に待ち時間が長くなる。そこで,写真の内容によって,写真をトリミングしたり,全体的に小さくしたりするなど,情報が加工できることを子どもたちに説明した。子どもたちも必要性を理解し,データの縮小ができるようになった。
インターネットのブラウザは,ディスプレイ画面へデータを表示する方法を本位に開発されたHTMLという言語を用いるので,データの入力には適しているとはいいがたい。
子どもたちが利用するWebツールの入力画面では,登録と表示を同じレイアウトであれば理想であるが,実現は困難である。しかし,データ登録に子どもたちが慣れるまで,わかりやすくするために,また間違いや誤操作を少なくするために画面内にいくつかの注意・コメントを付加した。また,パソコンが通信中で画面が切り替わらないために,ボタンの押し忘れがあったと誤解し,「送信ボタンの2度押し」によるデータベースへの多重登録があった。これについても,注意を付加した。
学校内の情報や活動を社会一般に発信・公開するにあたり,一教師の視点だけから作られた情報が必ずしも客観的,適切でない場合もあるかもしれないという意見が,学校側から出た。そこで,複数の教師または第三者の目でチェックした上で,承認,公開するように,査読の機能を付加した。
当初,Webツールを利用する会員の登録情報には,性別や生年月日も含めていた。通常の会員管理システムでは必須条件となっている情報である。しかし,学校によって子どもたちのプライバシーに対する考え方が異なっており,性別や生年月日まで登録する必要はないとする学校,不安を抱く学校が存在した。暗号化するセキュリティサーバーを利用するなど十分に配慮をしていたが,システムを改造し,ID管理と交流に必要な最小限の個人情報の登録のみを行うようシステムを改造した。