第3章:交流学習の実際 |
全国的に河川をめぐる「総合的な学習」の単元開発が盛んである。また,インターネットを利用した同一河川を舞台にした共同学習も数多く取り組まれるようになってきている。とはいえ,そうそう簡単に交流学習を展開できるものではない。
各学校には,学校としてのカリキュラムが存在しているし,交流学習のための情報機器環境や子どものリテラシーも様々である。いろいろと先進的に取り組んでいるところはさておき,ビギナー校は,「教師にかかる労力が大きく,とても取り組めない」と逃げ腰なのが実情である。
交流の仕組みとは,それぞれの参加校の異なる要望や制約を認め合いながら,それでも共通の願いを実現する機会を模索し,実践の方法を見つける場ではないだろうか。
岡山県旭川流域でも,平成11年度から子どもたちの「流域の子どもたちのネットワークを作りたい」という願いを「旭川流域ネットワーク」という組織が支援し,交流学習が始まりつつあった。そこで,12年度の本プロジェクトにより,子どもたちのネットワークを拡大し,学校の様々な違いを乗り越えて,ともに学習活動が展開できる支援についての研究開発に着手することにした。旭川流域での交流学習が,学校間格差を乗り越え,学校行政および民間が一体となった支援体制を確立できるものと期待している。
プロジェクトのためのプロジェクトに終わるのではなく,その地域に根付くことのできる,また,他地域での取り組みの参考になるような交流のしかけを提案したいと考えた。つまり,旭川独特の交流学習というより,「だれでも」,「どこでも」,「どんな場面でも」できるという汎用性を本プロジェクトは重視したのである。
上・中・下流域から中心校3校とビギナー校3校の計6校での「旭川デジタルマップ制作プロジェクト」という学習展開を構想した。
子どもたちは,個々のテーマのもとに身近な地域の環境を調べる。そして,調べたことをデジタルの「情報カード」にまとめ,互いの情報を交換し合う。最終的にその情報をさらに確かなものに練り上げ,「旭川デジタルマップを制作する」という学習展開である。子どもたちにとって,身近な河川の様子を自分なりにとらえたものを他地域の友だちや多くの人たちに伝えるために内容や表現の工夫を重ね,マップにまとめるという創造的な活動は,大変興味・関心がもてるものである。
そこで,子どもたちにデジタルマップ制作という学校という垣根を越えた共同作業の舞台を意識させるために,マップ制作に関わる4つの班「プロデュース班」,「デザイン班」,「コンテンツ班」および「アピール・行動班」を6校共同で編成して取り組むことにした。ただし,各学校のカリキュラム,子どもたちの実態も考慮して,最終的に各学校の子どもたちと担当教師との相談によって班編成を決定した。
初めての取り組みなので,まずは中心校である平福小学校のプロデュース班が,交流6校の統括責任者的役割をもち,6校の子どもたちへマップ制作の呼びかけをするところから学習は始まった。大まかなスケジュールを平福小のプロデュース班で作成し,これをたえず交流校へ提案していき,12月のマップの完成へこぎつけたいと考えた。
マップの内容と表現も学習内容としては大変重要ではあったが,本プロジェクトでは,特にWebツールにより子どもたちのコミュニケーションを活性化させること,およびそのため支援を考えることが本プロジェクトの成否を握るポイントである。どのような支援によって学校間格差を乗り越え,共同学習を展開できたかに力点をおいて報告したい。