第3章:交流学習の実際


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4.旭川デジタルマップの内容構成と制作

    (1)旭川デジタルマップづくりのねらい

       「旭川デジタルマップ」を作成するという活動を通じて,2つの学習のねらいを設定した。

      1)情報活用能力の向上

         旭川デジタルマップの共同制作活動を通じて,情報収集,処理,加工および発信能力を身につけることができる。そして,他の流域の友だちと分担作業を展開するために必要となる電子掲示板やグループメールの活用方法を習得することができる。また,その過程で,コンピュータやインターネットの仕組みを理解し,「分散−協調」作業に積極的に取り組もうとする態度を身につけることができる。

      2)郷土への愛着の醸成

         旭川デジタルマップを作ることで,未来の旭川流域のあるべき姿について,自分なりの考えをもち,身近な環境にどのように自分がかかわっていけばいいかについて,思いや願いをもって行動しようとする態度を身につけることができる。

    (2)旭川デジタルマップの内容構成

       最初に,プロジェクト型交流学習の目標となった「旭川デジタルマップ」の構成を示す。これは,平福小プロデュース班が構想したものである(画面は完成した「旭川デジタルマップ」の画面を用いている)。

       本プロジェクトでは,6校で手分けして上記のようなデジタルマップを制作すること,「情報カード」に蓄積された内容を整理・統合して,「情報ページ」を作成し,各流域の地図にリンクするのが目標である。

       ここで「情報ページ」は,一般に発信,公開するページで,子どもたちの気づきを登録した「情報カード」より,一段も二段も情報の内容を検討,精選した質の高いものにする必要がある。この作業によって新たな気づきが生まれ,学習が発展することを期待したのである。

       平福小の子どもたちは,ホームページ制作を今までに手がけたことがあるが,それはあくまでも自分たちの学習をまとめるための手段にすぎなかった。他の5校の子どもたちはホームページ制作の経験はない。

    (3)プロジェクト実現の班編成

      1)マップ制作のための4班編成のねらい

         6校の交流学習となると300人からの子どもたちが参加することになる。

         本プロジェクトは,インターネットを使うことや交流学習を初めて体験する子どもたちがマップ制作に参加している。そのような子どもたち一人一人が,マップ制作に関して,主体的に関わり,自分なりの役目を果たせたという成就感がもてることが大切である。

         旭川流域に住む仲間であるという意識を高める意味でも,学校の枠を越えて協力体制をとる必要がある活動内容を組み込むことが,交流学習のよさを子どもたちに実感させることにつながるのではないかと考えた。それが,交流学習の継続・発展につながると思う。

         そのためには,取り組む活動が個々のニーズに対応するよう作業を分担し,なおかつ共同制作となることで連帯意識を高めるのではないかと思った。

         マップ制作に関わって,まとめる役目であるプロデュース班,マップのデザインを考えるデザイン班,マップに掲載する内容を考えるコンテンツ班,マップを多くの人たちに見てもらうために宣伝する役目のアピール・行動班の4つを考えた。もちろん,これ以外にも考えられないわけではないが,あまり班の数を多くすると,まとめ役の子どもが全体の活動を把握するのが困難になる。あくまでも,子どもたちが主役,教師は脇役という舞台を用意するために,4つの班に落ち着いたのである。

      2)4班の役割と他の班との関わり

         4つの班の役割は以下の通りである。

        班 名

        役  割  の  内  容

        プロデュース

        制作活動全体に関わって6校のリーダー的な役目を果たす。

        コンテンツ

        「情報カード」や「情報ページ」の作成を中心になって取り組む。

        デザイン

        プロデュース班と連携を取りながら,デジタルマップ全体のデザインを考え,制作する。コンテンツ班に協力して,「情報ページ」のデザインを考え,提案する。

        アピール・行動

        デジタルマップのアピールの内容と方法について考え,提案する。

         基本的には,プロデュース班が立案した計画をもとにして,各班の活動を展開する。当然,6校の活動の足並みがいつもとれるとは限らないので,絶えず中心校のプロデュース班が各校の活動の状況を把握し,次の活動内容や開始時期等を電子掲示板やTV会議等で呼びかけながら目標へ向けて計画的に取り組んでいく。

         また,班の活動には時間のずれがあるので,自分の所属している班の活動が常時あるわけではない。互いに活動を支援ながら,全員でデジタルマップ制作へ向けて取り組もうという子どもの意識の持続を図るための工夫を各校で取り組んでいく。

      3)参加各校の班編成

         6校とも,各班のいずれにも子どもたちが所属することが理想ではあった。

         しかし,ビギナー校ともなると,子どもたちにだけでなく,担当教師にとっても活動内容の何もかもが始めてなので,班の活動内容によっては参加することがかえって負担になり,子どもの意欲を失わせる結果になりかねない実情もあった。

         そこで,各学校の子どもたちの実態を最優先し,班の構成メンバーについては偏りがあっても致し方ないという結論に至った。

         参加各校の班の人数編成は以下の通りである。

        班名

         

        プロデュース班

        デザイン班

        アピール行動班

        コンテンツ班

        小計

        参加
        児童数

        平福小

        9

        41

        7

        13

        70

        清輝小

        0

        0

        0

        33

        33

        誕生寺小

        7

        11

        8

        27

        53

        神目小

        0

        0

        0

        24

        24

        美甘小

        3

        3

        3

        18

        27

        湯原小

        6

        9

        8

        11

        34

          小計(人)

        25

        64

        26

        126

        241

    (4)制作手順と制作分担

       本来ならば,デジタルマップの全体像について,十分に議論した後に作業を進めるのが理想的である。しかし,本プロジェクトの期間が4か月であるということ,各学校の交流学習の経験差が大きいこと,今後の継続的な取り組みの可能性を探りたいことの3点から,平福小学校のプロデュース班が各学校のプロデュース班を中心にすべての子どもたちへ提案を行い,意見交換を重ねつつ制作活動を進めていくことにした。

       ただし,このような取り組みは,平福小の子どもたちにとっても初めての経験であるため,マップアドバイザーとして外部人材の方に学習活動に参加していただき,電話会議や電子掲示板等の意見交換しながら制作活動に関わる表現と技術についてのアドバイスをお願いした。そうすることで少しでも子どもたちの伝えたい思いを表現し,アピールできるマップ制作活動に近づけるようにした。

      1)制作手順と制作分担

         各月ごとに活動目標を設け,その目標を平福小のプロデュース班が各校へ投げかけていった。以下の通りである。

        (a)9月は,「デジタルマップを作ろう」という呼びかけ,そして,役割分担の説明とメンバーの決定が目標であった。

        (b)10月になり,「各班の活動開始!」。まずは,マップのデザインを制作するデザイン班が活躍した。と同時に,マップに掲載する情報を収集し,「情報ページ」にまとめる活動をコンテンツ班が中心となって取り組んだ。

        (c)11月は,「TV会議システムを活用して,旭川デジタルマップ会議を実施」。マップに掲載する「情報ページ」の内容や今後の活動について話し合う場をもった。ここで,各校の進行状況に差はあるが,互いにひとつの目標に向けて取り組んでいるという思いを確認したのである。

        (d)12月になり,いよいよ最終段階「マップ完成へ向けて情報のページの作成」である。コンテンツ班とアピール班が活躍した。自分たちの思いの伝わる「情報ページ」を工夫したり,デジタルマップをアピールする内容や方法について考えたり,各校で意見交換をした。

      2)併行して進めた学習活動

         実際には,プロデュース班以外のマップ制作班の活動時期は連続的ではない。

         そこで,子どもたち全員がマップ制作活動に関わっているという意識を継続させる工夫が必要であった。

         例えば,平福小では全員が各班に属しているが,同時に調査・研究の学習活動にも取り組ませている。プロデュース班のデジタルマップの全体計画案を元に,各自の学習計画を立てて2つの学習活動に取り組んだ。そのことで,たえずマップの完成へ向けて学習を展開しているという意識が持てたようである。そのような工夫を学校の実態に応じて考えることによって,マップ制作への意欲は徐々に高まっていったと考える。

       

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