第4章 交流学習の成果と課題


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1.学習成果の評価

    (1)情報活用能力の向上

       情報活用能力は,一般的に情報の収集・処理・発信に関わる実践的能力であると定義されている。本プロジェクトにおいては,子どもたちはグループに分かれて活動したため,それぞれのグループによって獲得された能力も異なっていると考えられる。ここでは,特に情報活用能力に関わりの深い3つの班と,子どもたち全員に共通した部分について,獲得された能力について考察を行う。

      1)プロデュース班の子どもたちが獲得した能力

         プロデュース班の子どもたちは,企画・調整を担当することによって,ネットワークを利用してリーダーシップをとったりコーディネートをしたりする能力を身につけたと考えられる。これらの能力は,今後の高度情報社会において,リーダーを担う人材に必須となるものである。

      2)デザイン班の子どもたちが獲得した能力

         デザイン班の子どもたちは,実際にマップのデザインを企画したり,マップアドバイザーからプロフェッショナルな知識や技能について聞いたりすることによって,情報デザインに関する能力の一端を身につけたと考えられる。情報デザイン能力は,具体的な画像イメージのデザインやレイアウトなどにとどまらず,情報を使って人とのコミュニケーションを形作ることの基礎になるものであり,デザイナーなどの専門職の基礎となるものである。

      3)コンテンツ班の子どもたちが獲得した能力

         コンテンツ班の子どもたちは,「情報カード」による情報の蓄積を行う過程,多数の「情報カード」から内容を吟味し,提示する「情報ページ」を作る過程において,基礎的なコンピュータの操作方法,および情報をデータベースに蓄積することの仕組みおよび意義について理解することができたと考えられる。これらのことがらは,今後の情報化社会において,ユーザー(利用者)として情報機器を利用するために必須の項目が多く含まれており,中学校技術家庭科の「情報とコンピュータ」領域の学習につながるものであろう。

      4)全員が共通して獲得した能力

         上記以外の班も含めて,全員が獲得した能力としては,

          i) ネットワーク上のコラボレーション(協同作業)によって,一人ではできないスケールの作業を行うことができるという情報技術が人間の活動にもたらす可能性の理解

          ii) 違う地域の子どもたちとオンライン上でコミュニケーションすることによって,考え方の違う相手を説得する技能の習得

        などが考えられる。これらは,今後,情報活用能力のみならず,自己学習能力にも重要な意味を持つ能力であろう。

    (2)郷土への愛着の醸成

       このプロジェクト型交流学習を通して,2つ目の学習目標であった郷土への愛着や醸成はどのように行われていったのか。そこには,1校だけではなかなか味わえない,調査内容を伝えることのできる具体的な仲間がいること,また同じ旭川に関わって,比較情報の提供を求められる仲間がいることを通じて,次のような2つの点で学びの成果が見られた。

      1)郷土への気づきのきっかけになる

         1つ目の成果は,中流域の取り組みで見られたことからあげられる。このプロジェクト型交流学習を通して,子どもたちは同じ流域にある別の学校の仲間が,どのような内容を「情報カード」に書き込んでいるかを眺めた。そして自分たちと共通するところや違いに気づき,郷土への理解を深めていくきっかけをつかんでいる。

         通常,各クラスは,担任の影響もあり独特の学習スタイルを持っている。今回のプロジェクト型交流学習では,追求しているテーマが同じだけに,まさにそのスタイルの違いを「情報カード」の中で子どもたちに感じさせることができた。子どもたちは,他のチームの取り組みと出会うことで,自分たちの郷土を別の点から見ていくことや同じように考えていることを,まさに真実味を持って感じ取っていったからである。

         この交流学習は,旭川流域に関わって調べ,マップ化に向けて「情報カード」を「情報ページ」にまとめ上げていく過程で,子どもたちに日ごろ探求したり,まとめたり,発表したりするときに用いている方法とは別のものを垣間見る機会を与え,取り扱っている内容である郷土へ理解を深めていくきっかけを導いたと思われる。

      2)比較によって郷土学習への理解が広がる

         2つ目の成果は,子どもたちは,この交流学習を通して,FAXを使って他校に調査内容を呼びかけたり,アンケートを依頼したり,疑問を情報カードに書いたりする比較調査の手法を使って,自分たちの目から見ている郷土への理解だけでなく,他の人の目からも見ていこうとしている点があげられる。郷土への愛着や理解は,河川を学習対象として1校でも確かに取り組める。しかし他の立場から我が郷土を見たり,我が郷土と関連のある少し離れた地域から様々に見つめ直したりすることで,その愛着や理解は一層深まっていく。

         この交流学習は,まさに交流相手が同一地域に1校,また他の2つの地域にそれぞれ2校と,比較しやすい交流相手が明確に存在しているために,比較によって郷土学習への理解を広げることが可能となった。

      3)郷土への愛着と醸成をさらに深めていくために

         最後に,上記の成果に対して,課題としてあげられることを述べたい。各学校からの実践を終えての感想に見られるように,子どもたちにさらに深める時間を補償することが困難であった。そのこともあり,各班に所属するグループが「比較によって,自分たちが調べたことを見つめ直し,郷土への理解を一層深める」ことに,バラツキが出た点があげられる。いくつかのグループは先にも述べたように,他の学校の仲間たちにアンケートを取るなど,比較して見ていくところまで進んでいる。その比較の結果を,もう一度,最初の自分たちの調査した内容に照らし合わせ,調査活動を積み重ねて,気づきを電子掲示板に書き込んだり,「情報カード」を書き直したりする活動時間が補償されると,子どもたちの郷土への愛着と理解は一層深まるものと思われる。

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