第4章 交流学習の成果と課題 |
昨年度に実践した交流学習は,上流域の1校とのみであったが,本プロジェクトに参加することで5校に増えた。「旭川流域の子どものネットワークを作りたい」という子どもたちの願いの実現へ向けて一歩前進できたことが,一番の成果であったように思う。また,他府県の友だちとの交流と違い,同一の河川でつながれている子どもたちと交流学習を展開できたことは,郷土の川を軸とした身近な環境に対する愛着を深め,「交流校の仲間だけでなく,地域のもっと多くの人々にも働きかけて環境改善に努力していきたい」という行動化への思いをかきたてることができたと考える。
インターネットを活用した「デジタルマップ」の共同制作という学習を通して,子どもたちの情報活用能力の向上など,子どもたちの成長した姿を見ることができた。
具体的には次の3つである。
今までは,交流学習の成果物としてレポート集,ホームページ,そして紙芝居など様々なものが作られてきた。今回は,成果物を作成すること自体がひとつの目標となっていたため,子どもたちがデジタルマップ制作にこだわり,より強く自分の思いを伝えたいと意欲的になった。音声,動画,画像等の様々な表現の工夫をするとともに,制作する過程で画像処理等のしくみについても必要感をもちながら理解できた。
電子掲示板は,今までも活用してきたが,内容の深まりと書き込みの回数等から判断して,子どもたちが十分に活用できたとはいえない。しかし,この電子掲示板は,自分たちの当初からの目的である「旭川流域の子どもたちのネットワークを構築する」ためのひとつのツールであるという認識が,この電子掲示板の利用を活発なものにしたと考える。
特に,ブラウザを立ち上げ,ID,パスワードを入力したら電子掲示板にたどり着けるという点が一般的で,家庭からもアクセスできる便利さがあった。現に,自宅でインターネットが使える子どもたちは,家から「掲示板」へ書き込んだり,「情報カード」を作成したりした。
このプロジェクトは,マップ制作に向けて4つの班がぞれぞれの任務を遂行するというシステムであった。特に,推進役を担ったプロデュース班のメンバーは,最初はどうしてよいかわからない状態であり,担任の海外出張による不在,思うように進まない活動,なかなか伝わらない自分たちの思いなど,様々な試練があった。そのたびに話し合いの中で解決策を考え,意欲的にマップ制作に取り組んでいった。
また,12月のアピール相手を見つける段階では,外部人材の方へアドバイスをもらったり,環境関連のホームページを閲覧したりすることを考え,休み時間,課外等にパソコンに向かう姿が多く見受けられた。
このように,子どもたちは試行錯誤を繰り返す中で,課題解決のために内容や方法を広げ,深めていった。また,教師自身としては,ネットワークを拡大して,学校間格差のある中で,プロジェクト学習を成功に向かわせるためには,各参加校の教師ができることの接点を見つけ出す努力をすることだと強く感じている。目の前にいる子どもたちの実態を見て,「これならできる」という学習を議論しあえる関係を築くことが,各校の子どもたちなりの成長を実感でき,プロジェクトの継続・発展につながる秘訣だと思う。
このプロジェクト学習の目的は,「旭川デジタルマップ」の制作であった。
それへ向けて,子どもたちは自分たちの思いを伝える制作の工夫に努力した。しかし,子どもたちは表現に力を入れるあまり,身近な環境について他地域と比較し,相違点を見つけ出すなどの比較学習が十分には取り組めなかった。
確かに身近な地域の環境について,個々のテーマを設定して「調べ学習」に取り組み,収集した情報を「情報カード」に登録した。今までの学習展開であれば,その後,他地域の友だちの情報との比較によって,相違点を見つけ出し,新たな疑問をもつ。そして,それについての意見交換をしたり,さらに「調べ学習」を展開していったりするスタイルであった。
今回は,実質2学期だけのプロジェクトということもあり,期間にそこまでのゆとりがなかったのは事実ではあるが,学習のデザインやWebツールの使い方等についての工夫を今後検討していく必要があると考える。
今後,交流学習を継続・発展させていこうとするとインターネット環境の整備は重要である。今回のプロジェクトにおいて,問題点の改善をしたとはいえ完全ではない。教室内のすべてのパソコンが同時にインターネットにはつながらないし,TV会議とインターネットは同時に活用できない。また,パソコンの機種も古く,子どもの「こうしたい」というニーズに対応しきれない部分もある。
このような現状を少しでも改善していくために校内で整備していけること,また,行政等に働きかけること等を整理し,取り組んでいかなければならないと考える。
本プロジェクトの交流学習への誘いに,「ビギナー校として」なら何とかなるのではないかという思いで参加した。本校は,校内の諸課題が多く,「総合的な学習」の単元づくりはようやく昨年度から取りかかった段階で,子どもたちに主体的な活動を促しにくい状態にあった。また,パソコンを活用しての学習は,パソコンを使える教師のクラスに限られがちであった。さらに,子どもたちの経験不足に加え,教師がパソコンについての知識が乏しい,パソコンを十分に使いこなせない,デジタルカメラもそんなに使ったことがないなどという不安な思いの中でスタートを切った。
本プロジェクトの会議に臨んでも意味のわからない言葉が多く,帰宅後に言葉の意味を調べる作業から始めたのも,今からすると懐かしい思いもするが,その当時は、正直悩んだ。まず,同じような立場の教師には「始めはしんどいが,きっと自分で実践すればわかるようになる」ということをお伝えしたい。パソコンに慣れるにつれ,インターネットで情報を交換する便利さを知るにつれ,教師自身の楽しみが増し,何より子どもたちの活動が広がっていったのも事実である。
(a)子どもたちがパソコンを自由に使える環境を準備してなかったことで,目的に沿った交流にならなかった面もあるが,教師同士の交流が,本校の組織的な面での改善点や交流学習の進め方,パソコンを活用しての情報教育のあり方などを考える上で,ビギナー校の教師には非常に有益であった。
(b)自然体験学習「いきいきスクール」の5泊6日の活動と時期が重なり,「旭川デジタルマップづくり」を活動目標とすることができず,結局「情報カード」の登録の部分で本プロジェクトに参加する形になった。
(c)デジタルカメラ6台については,使い勝手がよく重宝した。5年生もすぐ操作方法を理解し,他学年の子どもたちも積極的に利用することができた。自分たちが登録した「情報カード」で他校の友だちと交流できるということが,子どもたちの活動意欲を高めることにつながり,楽しみながら積極的に「情報カード」を作ることができた。パソコン操作も次第にうまくなっていった。
(d)1年生にとっても離れた学校の友だちから手紙が来たり,自分たちが撮った写真が「情報カード」に登録されたりしたことが喜びとなり,自分たちもしてみたいという気持ちをもつことができた。
(a)職員室がLAN接続されていないので,メールチェック等ができにくい。
(b)パソコン室を子どもたちが自由に利用できないので,HPを閲覧したり「情報カード」を書き込んだりする際には,担任が同行する必要がある。そのため,学習活動の場が分かれたときの子どもたちのサポート体勢,TTのあり方も考える必要がある。
(c)学校ごとに「情報カード」登録の時期が異なるので,交流校の友だちの「情報カード」をチェックさせたり,コメントを出させたりするタイミングが難しいと感じることもあった。
(d)活動がスタートした時期と自然体験学習とが重なり,学習テーマの修正ができなかった。
本校は子どもたちのプライバシーについては,慎重に考えているため,他校との交流はできないのかとまで考えたが,本プロジェクトの方針でプライバシー厳守の方向でプログラムが組まれたこと,全職員協議の上,イラストの「自己紹介カード」の送付で参加できたことなど良かったと思っている。プロジェクトをもとに,ともに作業したり伝達したりしながら職員のパソコン活用技能が向上し,パソコンの活用も広がってきている。下学年にも伝達していくことで継続して行けたら・・と考えている。
(a)子どもたちの郷土への愛着に関しては,1年生でも実際に探検し,発見することで大きく育っているように感じた。郷土愛の道徳の授業中にも「わたしたちのじまんの旭川や西川に,ずっと生き物が住めるように,きれいなままで守りたい」という思いを強くもった。そして旭川探検の最後に「旭川まもり隊」になり,旭川のゴミ拾いを行った。
(b)5年生も前年度の総合的な学習は「自然」をテーマにするにとどまったが,本プロジェクトに参加することによって,身近な環境に目を向け,自分たちのまわりにある自然や故郷を大切にしようという思いを強く持つことができた。
本校の実態を大切にしたがゆえに活動の深まりは少なかったかもしれないが,本プロジェクトに参加しなかったら,パソコンを活用する場もなく終わった可能性が濃い。「自分たちの得た情報をみんなで共有できる」「離れたところの友だちと力を合わせて情報集めができる」という体験を積むことができたことが,子どもたちにとって大きな収穫となり,今後の学習への意欲付けになったことは紛れもない事実である。
学外の講師の方をはじめ,多くの人に出会い,色々な考えにふれることは,誕生寺小学校で大切にしてきた活動のひとつである。子ども同士の交流も今まで県内外の学校と継続してきており,その必要性は職員間でも共通理解ができている。いろいろなネットワークの中で子どもたちがお互いの意見を交流し,自分の考えを見つめ直すよさを子どもたち自身も知っている。
それを踏まえて,今回の交流学習は子どもたちが今までより主体的に行動できるように,教師側が表に出ずに,学習を進める必要があった。プロデュース班が中心になって交流学習を進め,特に6年生には大きな自信となった。
上流域や下流域のことも少しずつ意識できるようになり,自分の住んでいる中流域での暮らしも変えていこうと考えた。そこで,子どもたちは各家庭で自分の学習していることを話し,10月の学習発表会では,6年生が今回の同一河川交流学習の活動を紹介し,学区内の人にアピールした。大きな視野で学習内容を考え,身近なところから行動を始めようとしている。学習の意義の深さへの理解とそれに対する自信の表出と担任はとらえている。
今回の交流学習に参加した全流域の学校との協力の意義は言うまでもない。教師間のネットワークがまたひとつ広がり,本校教師にとっても大きな財産となった。誕生寺小学校には海外・国内・県内・町内のネットワークが整ったといえる。
誕生寺小学校での参加学年である4〜6年生は,ひとつのプロジェクトでつながることで一層協力体制が整った。4年生は自分たちが日頃学習していることをごく自然な形で表現できる場として「情報カード」を活用できた。5年生はふだんから画像編集ソフトで作っている画像を今回の学習に反映させた。6年生は4・5年生にわかるように活動を考え,伝える努力をし,校内でのネットワークの大切さを知った。そして最高学年として,また学校の顔として活躍する喜びと難しさを体験した。
今回の「情報カード」や「デジタルマップ」の制作では,子どもたちや教師の意見が反映され,どんどん改善されていった。外部人材の親身になっての支援のおかげである。今後もよい協力者に交流学習に参加してもらえるよう,意義のあるテーマで学習活動を子どもたちとともに構築したい。
参加校の共通の体験が少し不足していたかと思われる。調査活動など定点で一年間ひとつの取り組みを行えば,どの学年が参加してもある程度の成果があげられるのではないか。
また一方で,今後,このような交流学習が行われた場合,参加校の教師や子どもたちがそれぞれの実態に応じて創意工夫していけるように,自由なカリキュラムが作られる部分も必要であろう。
今回の「デジタルマップ」の作成までにはTV会議やチャットなど,多様な通信手段が使われ,参加した子どもたちは多くの体験をした。これまでTV会議の経験があるといっても,あらかじめ練った内容を話す程度だったが,お互いのその場のやりとりで会議を成立させていくことが必要になった。回数を重ねるごとに慣れ,自分の思いを伝えることも上達し,大きな自信になった。
子どもたちが調べ,まとめたデータや作成したマップには,自分たちのふるさとを再認識した成果が反映されている。ネットワーク利用の活動では,他の地域と自己を比較・分析することにより,活動が紡がれ発展していく。交流校の「情報カード」がWeb上で共有できるもので,それから自分たちの活動に返り,お互いに刺激し合うことができた。今後もこの「共有できるもの」は不可欠だと考える。
誕生寺小学校からは4〜6年生が参加したが,基本的には,どの学年でも参加できるような受け皿が欲しい。そのためには「情報カード」のように便利なツールが必要であろう。
また,今回は「旭川デジタルマップ」作成までの期間が短かったため,例えば「くらしの部屋」,「川の生き物の部屋」など四季を通じて活動しないとわからないようなことや,川に入る体験などの情報があげられていない。参加校の教育課程編成により,「情報カード」に登録する活動や内容も差が見られるのではないか。
毎年,子どもは,それぞれの学年の状況が異なり,担任が違えば,視点も変わってくる。継続性,発展性の視点から捉えると,今年度の「デジタルマップ」は公開できるものとして残して,今後の交流学習のモデルとして参考にしたい。
ある程度「何をどうしたらいいか」が形になっていれば,今後参加校を募る際に,活動の見通しが立ち参加しやすい。
週5日制の実施が目前になり,教師間・子ども間のネットワーク構築に関する共通理解ができていない学校においては,今回のような交流学習は難しいのではないだろうか。
今回は期間が限られていたため,子どもたちは,ソフトなどの活用スキルのアップと並行して「情報カード」登録や「デジタルマップ」制作などの活動に進んだ。
本校は,校内LANの整備がすでに進んでおり,参加学年の教室でパソコンを活用できた。本プロジェクト参加により多数の機器を利用できたが,教師のパソコンやTV会議システムを持ち込んで必要な機器を補った。今後も情報機器をはじめ,多くのツールを導入し活用できるよう教師・子どもたちともに努力が必要である。
平成14年度から年間105〜110時間の「総合的な学習の時間」が入ってくる。「情報カード」登録の際には,やはり,言語の能力や社会的事象に対する関心・気づきの能力などが不可欠である。教科の力も十分に養うことが今後の学習の発展にもつながると考える。
子どもたちの興味や意欲をかきたてるプロジェクトであった。初めての「総合的な学習の時間」の営みであったが,子どもたちだけでなく教師にとってもよい勉強になったと思う。
可能な限り子どもたちの興味や考えに基づいて情報収集やまとめ(表現)などに取り組ませたいと思ったが,時間の余裕もなかったため,「あさひバリバリネット」上の情報からイメージさせ,活動テーマを決めさせた。1学期に「調べ学習」が十分できていなかったため,計画を立てて調べ直し,それをまとめるという作業がとにかく慌しく進められた。しっかりとした時間の確保は,これからも課題となると改めて感じた。
子どもたちにとっては,「情報カード」の形式が決まっていることから,まとめのイメージをつかみやすかったようである。パソコンでのデータ入力にも関心を持ち,慣れるに従って,カード作成を意識しつつ調べられるようになったと思う。
また「情報カード」だけでなく「電子掲示板」では,初めて打ち込んだ発言に早速反応が返ってきたり,「中流域のマップデザイン」では平福小学校の子どもたちと継続したやりとりが実現したりと,情報機器の有用性に気づかされた。交流校とのやりとり,また自分の登録したデータをその場ですぐ目にできる点などが,子どもたちにとってはとても新鮮であった。これらのことも次の活動への意欲につながった。
これらの活動の中で情報機器については,具体的に利用し,実践的な活動の経験ができたことで,身近に感じられるようになった。書き込みに至るまでの機器の利用については,「ローマ字入力の徹底」,「デジタルカメラの活用」,「インターネットの使い方」,「文字入力のルール」を指導し,グループによっては「画像の処理の仕方」,「表の作り方」などについても指導した。機器の利用については,子どもからの疑問が常に出てくることや周辺機器を含めトラブルが生じることも少なくなかったので,TTで対応したが,効率よく対応,処理ができ非常によかった。それぞれのグループ活動に合わせて必要な知識や感覚を身に付けることができた。
本プロジェクト参加のもうひとつの目標である「郷土理解」という視点では,自分たちの意欲に基づいて活動が始められているため,子どもたちの中にその意識付けができたと思われる。
「どのようにして自分たちの神目地区や中流域について調べられるか」を考え,また調べ活動を進めていく中でもたくさんの課題にぶつかってきた。自分たちの考えや思いをそれらの課題とすり合わせて納得のいく解決策を見出そうと,子どもたちなりにしっかり考えることができた。しかし,グループによっては十分に活動を広げられなかったところもあり,これから発展できるように考えているところである。
今回の活動は12月に行った学習発表会で発表し,保護者や地域の方々に見ていただいた。発表に向けての準備活動やまとめが行われたが,時間の少ない中で子どもたちはしっかりまとめができた。またパワーポイントを利用して発表を行ったため,ひとつの資料としてまとまったものを残すことができた。
いちばんの課題は,やはり時間の確保だと実感した。また,交流相手校が他の5校全部でなかったことは非常に残念だと感じられる。天気の悪い日に限りチャットなどを利用してもよいというルールで行ったが,より日常的に触れ合える材料や時間を与えることの必要性についても考えさせられた。プロジェクト活動以外でのパソコン利用は,キーボード練習に留まった。
簡単には解決できない課題が多く残ったが,最終的には,子どもたちが身近なふるさとを興味・関心に応じて具体的に調べるよいきっかけとなり,同時に情報機器の利用についてもある程度の達成感を与えることができたと思う。また限られた時間の中で,充実した活動ができ本当によい経験となった。
本校は「ふるさとを愛する児童の育成」を研究目標に掲げている。他地域と比較することによって,学習課題に対する追求意欲も高まり,自分たちの地域をより意識して見直すことができたと思う。そして,今回の活動から「川にゴミを捨てると下流の人たちが困る」ということを,心から実感でき,「ゴミを捨てないようにしよう」という自己の生き方につながる意識が強く芽生えることになった。
本校には,パソコン教室の設備はあるが,十分に活用できていなかった。本プロジェクトへの参加でコンピュータの活用はもちろんのこと,デジタルカメラで撮影するポイントやビデオカメラの使用など教育機器をできるだけ子どもたちに操作させ,その活用能力の育成を図った。こうした活動を通じて,情報活用能力も少しずつ身に付いてきている。情報収集の仕方や選択,そして,発信などについても子どもたち自身の意見が出始めた。
本校は少人数学校であるため,子どもたちは,自分の気持ちを口にしなくても長年のつきあいで相手が理解してくれていると思い込み,表現力が不十分な場合が多い。
本プロジェクトのわが校の目標には,「表現力の育成」もあげた。TV会議では「話すこと」,メールや掲示板では「内容を読みとること」や「書くこと」,「要点をまとめること」,デジタルマップでは「絵で表現すること」など幅広い表現活動の場を子どもたちに提供できた。その結果,人前でもいつも通りに話をできる子どもや,TV会議で自分の考えを述べることができる子どもが増えた。
今回の交流学習では,長期間にわたり,自分たちの課題別調査グループでの活動となった。意見の相違などがグループ内にもいろいろ見られ,子どもたちの心の中に自己の考えを主張しつつ,他者と協力を図っていく協調性が育ってきたと思う。特に,他校との交流は相手の学校の意見も尊重しつつ,自分たちの意見も主張するという面で,子どもたちにとって初めてのいい経験であったと思う。
最後になったが,4年生の子どもたち自身が,この活動を通じて次のような点がよくなったと感じ,学習発表会で発表した。
i) 川の行事に自分たちから進んで参加するようになった。
ii) 川の大切さがわかり,川をよごさなくなった。
ii) TV会議で発表できるようになった。
iv) グループ活動をがんばれるようになった。
v) パソコンを上手に使えるようになった。
今回の活動は,6校が協力したプロジェクト型の交流学習であったが,これは始まりであると受けとめたい。今,「総合的な学習の時間」の研究が始まり,多くの学校で「地域の特色を生かした活動」の見直しがなされていると思う。環境という狭い範囲にとらわれることなく,さらに多くの旭川流域の学校が,この「旭川デジタルマップづくり」の輪に入って,デジタルマップに情報を登録できればよいと思う。また,そのように広がっていくことこそが,Eスクエアプロジェクトの意義だと思う。
学校間の取り組み時間数の差はあって当然だと思うが,やはり,充実した内容にしたいと先進校に引っぱられ,学習のペースが速くなり,無理をしたと感じる。特に,情報教育の十分でない学校にとっては,子どもに負担になることがあった。しかし,平福小学校の子どもたちは,その分しっかりリード,フォローしてくれたことは事実である。
教員のメディアリテラシーに格差があり,ひとつの「旭川デジタルマップ」つくりに苦労した。Webツールは事務局で開発していただき良いものができたが,情報を加工したり,添付したりする経験のない教員もいるので,今後,そのあたりのマニュアル書(解説書)が必要ではないかと思う。
各学校により通信環境に差異が見られる。地方交付税で各地方行政にその整備が任されているが,機器の整備は十分とはいえ,通信に関する環境整備が,今後の学習環境を大きく左右するものだと思う。
活動の開始時期が9月で,12月までの活動でまとめるというのは,難しい。特に,学校の活動は4月から始まっており,本校では,今回の活動と年度当初からの活動との二重構造となり,時間数との調整で困った。また,今回は交流校同士のオフライン会議の実施ができなかったが,本校は,平福小学校・湯原小学校とは「旭川源流の碑建立,ならびに交流学習」の活動で夏休みの交流合宿で会ったり,「源流の碑建立」の儀式の際にも会ったりしたので,子どもたち同士が親しみを持って活動ができた。やはり,小学生には,ネット上のコミュニケーションだけでは,相手を意識しての活動はやりにくいし,身近に感じることができないと思う。
交流学習参加校6校とも別々の単元の中で別々の目標を持ち,また,まちまちの学年構成であった。その6校が「旭川デジタルマップを作ろう」というプロジェクトによってひとつになった。
本校は,「総合的な学習」の単元として「情報」を2学期のテーマにすることに決めていた。そこに「デジタルマップ作成」への参加を位置づけることとなった。旭川の上流,中流,下流で協力してひとつのマップを作り,そこに各流域の情報を載せていこう呼びかけは,本校の学習展開にたいへん好都合であった。なぜなら,1学期に子どもたちは「旭川で泳ぎたい」と願い,旭川上流域の環境のことをいくらか学習していたからだ。
「総合的な学習の時間」の「情報」の単元を組むといっても,やはり「何の」情報を収集・加工・発信するかが重要となる。そこで子どもたちには「旭川デジタルマップ」を作ることでいろいろなことを学ぼうと提案した。学ぶことの内容として,
パソコンの使い方。
地域の色々なことを調べる。
インターネットを使って調べ学習をする。
インターネットの掲示板やチャットやメールで情報交換をする。
画像を処理する方法。
キーボード入力。
さらに,
交流参加校と交流する。
をあげた。
単元の目標は「情報」だが,子どもたちはコンピュータをほとんど意識せず,デジタルマップ作成の活動に入った。学ばせたい内容は,意識せずともしだいに力としてついていった。
調べる力は,調べる中身がなければつかない。地域の情報は,インターネットでは集まらず自分の足で調べることが大切であると子どもたちは知った。また,伝えるためには,キーボードを打たなければならず,苦手だったローマ字入力もできるようになった。必要感が行動を起こさせ,情報活用能力が自然と身に付いていくことになった。その他にもファイル名やフォルダーの役割についても理解していった。また,コピーやペーストなどの操作・処理も活動を通して学んでいった。
参加校の目標は異なるが,一緒に活動している仲間がいるということは,気持ちの支えにもなり意欲向上にもつながった。また異学年間での交流でもあるため,本校では上級生としての自覚もいくらか持てた。逆に自分たちより下の学年が,自分たちよりも発表の仕方が上手なことに気づき,交流相手のすばらしさを認めることもできた。
本校は「情報」を軸に総合的な学習を展開してきた。子どもたちは育てたかった情報活用能力を徐々に身に付けながら,実は,子どもたちの目は「環境」を向いていた。
学習発表会で何を発表するか決めるとき,旭川の交流学習の報告が真っ先にあがった。劇をすることになったが,それも旭川のよさを伝え上流のすばらしさを残していきたいという内容だった。また,卒業アルバムをCDで作ることになったが,その中にデジタルマップをメニューに入れたいという意見が出た。
6校の学校でひとつのプロジェクトを進めることで見えてきた課題には,次のような4点があげられる。
今回のような研究プロジェクトなら,どの学校も参加するための方法を試作して,カリキュラムの中に入れてしまうことができる。しかし,参加学校数が増え,さらに単元や目標が違う場合,交流学習をスムーズに進めることが困難になることは予測できる。そこで年度当初に,単元のすり合わせをしておく必要が出てくるだろう。また,年度途中で方向転換する学校と,どのように交流していくか,または交流をやめることも考えておかなくてはいけない。本校としても活動の温度差の違う他校と交流するためには,校内の意欲を継続していく手だてが必要となった。
特にTV会議は,交流の中でも大きな位置を占めていたので,時間割の一部変更をしてでも開く必要があった。その時に困るのが、特別室を使用する他の学級や担任との関係である。特にパソコン室は、使用が増えてくると,さらに時間調節が難しくなってくる。
これは子どもたちの実力の差だけでなく担当教師の実力の差も上げられる。特にメディアに関するリテラシーは,短期間では培えない。本校では,パソコンの扱い方から始め,操作方法を習得させるまでに時間をとった。ネットワークの理解,ファイル,フォルダー,画像処理の操作に至るまで,ゼロからの出発だった。学習の面白さは,子ども同士で困難を乗り越えさせてくれたが,低学年から基礎技能を習得するカリキュラムの必要性を感じた。そして高学年では,さらに上位のメディアリテラシーの学習ができたらよいと考える。
実力の差と関係するが,オフラインミーティングが交流学習を進めていく上でとても役に立った。交流校の教師同士が顔を合わせ,親しくなって何でも言えるようになっていたことは心の支えとなった。本校では数名が交流学習に関われたが,一人の場合は,大変だろう。また,複数の教師がいれば,カリキュラム編成や技術的な協力も可能である。
今回は,子ども同士のオフライン会がほとんどできなかったが,年に数回もてれば学習効果がさらに上がってくると思う。そのためには,年度当初から活動を年間指導計画に入れていく必要があるだろう。
子どもたちはデジタルマップに「情報カード」を登録する活動が好きである。意欲的に取り組む。パソコン,インターネットやデジタルカメラを自由に使えることは,子どもたちの興味を喚起する。しかし,自分が何をやっているのか把握していることが大切であるし,大きな流れはわかっていても,今作業していることの意味,意義をはっきりと理解していないと,学習として成立しない。
今回の交流学習が学習として新しい展開をするためには,継続が必要となる。同一河川という拠点をよりどころに集った仲間が,自らの意志で活動を始めていくことで新しい展開が始まる。子どもたちから続けていきたいと希望してくれるようなカリキュラムの編成を考えてもいいと考える。ただしWebツールの拠点をどこに置き,そのメインテナンスを誰がするのかを,早く決めておかなくては継続的な活動とならない。