羽衣学園高等学校

津田 明 米田 謙三

 


1.はじめに

 国際交流をテーマにしているこのプロジェクトは、本校の生徒には大変興味深いものであった。日常生活でも様々な文化や価値観が混在することが今日では珍しくなくなった。総合的な学習の導入への動きなど学校教育も大きな転換期を迎えている。このプロジェクトに参加することにより国際化の意味を再考し、さらなる新しい国際理解の方向性を探ることを目的とする。

 

2.参加の経緯

 平成11年夏にcecの企画の一つE−Trekking Osakaに参加し、ハワイや韓国の生徒と大阪府内の8高校の生徒とモバイルを持って市内トレッキング、また本校の情報教室の新設(平成11年夏完成)、本校では平成12年度より新しく国際コースが新設され高2の夏に約3ヶ月イギリスへ短期留学することなど国際交流とマルチメディアを深めてきている。

 

3.学校のネットワーク環境

 本校(羽衣学園高校)の場合を紹介します。

 99年8月情報教室(2教室)と学内LANを完成し、試験的に動かして不具合を修正し、11月より授業やHRで使用している。2000年度(平成12年度)より「情報」14時間/週、英会話、家庭科、HR、進路指導その他と各教科で、情報教室を使用することになっている。

 情報教室の環境としては2台のLINUXインターネットサーバー、2台NTサーバーを中心に生徒用にはノートパソコン(48台)×(2教室)で各PCの環境を立ち上げの時に元に戻す「セルフメンテナンス・システム」を導入しており、基本的なソフトとしてはマイクロソフト社の製品を載せている。

 生徒が休み時間等に自由に使用できるパソコンを図書室と教室に数台ずつ(Mac,Windows)置いているが列ができる程の盛況でさらなる増設と使用のためのルールを作ることも緊急の課題になっている。

 職員室や準備室、進路指導室等々も学内LANで結ばれており、個人使用のノートパソコンもできる限り繋いでいる。いずれ自分の机上より生徒のレポートの点検などをすることができるようにしたい。

 以下一部施設を撮影したものである。

図書室からメールを送る… 相手は????

 

図書室のコンピュータ……

 

新設された情報教室

4.生徒の変容

 コンピューターの技術力向上だけではなく人間的にも大きく成長を遂げた。本校の生徒はコンピューターは初心者が多かったので基礎技術を身につけることができ全員が満足している。また、国際交流で語学に対する興味や関心をより一層もつようになった。あわせて身近なこと例えば相手に自分の国・まち・家族のことを伝えるのに正しい知識が必要であるので、自分の国(日本)や地域社会への関心も高めた。

生徒の感想

コンピューターの講習会では本当にいろいろな人と交流できて良かった。

技術面だけでなく人との出会いにすごくうれしく思う。

また英語がもっとできれば海外の人とももっともっといろんなことを情報交換できるのにと本当に強く感じた。

それと日本のことや自分のまちのことももっともっと深く学習しないと正しい文化的な情報など伝えることができないと強く感じた。

 

5.先生の変容

 何と言ってもインターネットやメールを使う先生が何倍にも増え、今や過半数になろうとしている。さらに手書きやワープロからパソコンに教科や業務の処理を移した先生も多くわずか4ヶ月の間にこれほどの劇的変化が起こるとは想像できなかった。この流れはこれからも続くと思われるが授業でのパソコン使用については今始まったばかりでトラブルや相談に応対する「情報科」の先生方が多忙を極めるという情況を呈しており、何か対策を考えなければならないと思う。

 

6.活動状況

 本校の生徒は初心者が多く、なかなか思うようにははかどらなかったのが現実であるがコンピュータに対する意欲は以前に比べると大いに増し進歩の跡が見受けられる。

1)平成11年9月23日 

第一回技術講習会  帝塚山学院泉ヶ丘高校にて  

2)平成11年11月23日

第二回技術講習会  帝塚山学院高校にて

上記2回の技術講習会では、基本的な操作からホームページの作成などに取り組んだ。

また著作権の問題なども学習しあまり今まで考えてもいなかったことに驚きまた大いに役に立った。少し学校を越えての交流も始まった。

3)平成11年12月12日

教育とインターネット活用発表会 名古屋大会 

他地域の高校生との交流をすることができたのが最大の利点。

また素晴らしい発表をその場でみることができた。

4)平成11年12月22日から24日

    第3回技術講習会  帝塚山学院高校にて

 前2回の講習のまとめと韓国から4名・ハワイから1名の高校生を招きこのプロジェクトのテーマ曲やアニメーションを作成した。本校の生徒は特にハワイの生徒といっしょに活動することが多く、英語と日本語を交えながら交流も深めた。

生徒の感想

1回目から参加して少しはコンピューターのことがわかるようになった。

また、積極的にコンピューターの前に向かうようになった。

そしてこれまで以上にコンピュータの便利さとすばらしさを感じた。

手紙よりもすぐに相手に伝えることができる。手紙だといつ着いたかわからない。

電話だと料金も高くつく。画像もすぐにおくれるし…・

私はまだ勉強不足でできないけど動画も送れる。

 またもう一つ言いたいことがある。第3回の講習会で私は、ハワイからの高校生といっしょに取り組みをした。そこでハワイの気候のことや食べ物のこと学校の規則のことなどを話した。もちろん私もそれに対して答もした。そのとき少し英語も話した。

でもなかなか英語では思うことがいえない。学校の英語の勉強の大切さを知った。

 世界は、今ボーダレスの時代になりつつあります。鎖国の時代があったなんて信じられないことです。ひと・もの・かね・情報などが自由に往来するわけですが私達日本はこれから本当にそんな世界の仲間入りができるかどうかとも思いました。

    

7.得られた成果

 本校の生徒は、上記でも少し述べたがとにかく初心者がほとんどで、技術的な面でかなりの不安があった。が、他校の生徒や海外の生徒と共に活動することによって、その生徒から直接コンピュータの知識を学ぶことができ、技術的な力をつけたことは本当に成果であったと思う。もうひとつそれに伴い友だちの輪がひろがったことも大きな財産であった。たどたどしい英語を使ってのコミュニケーションなどで英語に対する関心を高めただけではなく、文化の違いなども学ぶことができた。

 生徒達は、このプロジェクトを通じて 積極性 指導力を開発 永続する友情を得る素晴らしい機会に恵まれたものと確信する。

8.今後の課題

 技術講習などやはり時間が必要。予想以上に時間がないことを痛感した。

 また機材についてどうしてもより良いものをもとめてしまうしないものを求めてしまう。

 国際交流を進めようとすれば当然インターネットホーンのためのハード(ビデオ等の音声や画像の処理をする)面の環境整備が必要である。

 また、芸術や実技科目で情報教室を使うための機材や入出力あるいはバックアップのためのシステム(ハード、ソフトともに)が必要になる。

9.関係機関への要望

 やはり人的・資金的援助を求めたい。


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