「国際交流の継続的実践企画」に参加して

立命館中学校・高等学校  脇田俊幸

 

1.はじめに、

 今回CECの主催する国際交流の継続的実践企画に初めて参加させていただきました。勤務校の試験等、日程の関係であまり積極的に参加できませんでしたが、ご報告させていただきます。


2.参加の経緯

 夏ごろに帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校の辻 陽一先生から企画参加へのお誘いがありました。こういう企画に学校として参加することが初めてのことでもあり、校内の調整にかなりの時間をかける必要がありました。なんとか調整をして、顧問をしている中学校情報メディア部の生徒を中心に声をかけ、部活動の一環として参加させていただきました。


3.学校のネットワーク環境

 情報関連の教室として,Windows95機(NEC PC9821Cx)を約50台ずつ設置した教室が,数学特別教室(こちらはFree BSDもインストール済)と情報教室1,2の3教室と,Macintosh機を約50台設置したLL1,2の合計5教室が存在します。また,勤務校から常勤の全教員にパソコンが1台貸与されており,全教室に設置してある情報コンセントを利用して,どこでもLANやインターネット利用が可能になっています。学内の基幹LANにはATMを用いています。電子メールの講習を受けた生徒と全教職員がメールアドレスを持ち,すべてのコンピュータからインターネットを利用することが出来ます。2000年4月を目処に情報関連教室のうち、2教室で大幅なリプレースを計画しています。数学教室をWindows NT機に変更し、プレゼンテーションに重きをおいた部屋に、LL2教室をLinuxとWindows NTのデュアルブート対応機に変更します。「マルチメディア環境」「インターネット環境」はほぼ完璧に揃っています。

 また、交換留学プログラムや短期の留学プログラムもあり、「国際交流経験」も豊富です。ただし、このような学校の枠を超えたプログラムに参加することは学校としても初めてですし、今回参加した生徒は、中学2年生がメインということもあり、「交流」という点では経験不足だったことは否めません。


4.生徒の変容

 主に参加したのは情報メディア部の中学2年生の生徒でした。中学生の中ではコンピュータ・ネットワーク技術に長けています。彼らは学年全体で2000年度に本校で初めてニュージーランド研修旅行に行きますが、そのためのよいモチベーションとなりました。また、今までクラブ活動ではあまり学年や距離を越えた人と人とのつながりを経験する場を持てませんでしたが、この企画に参加することで、見知らぬ他人とつながるきっかけを持てました。今までにない経験をすることだけでも収穫でした。更に、今までのコンピュータを使うだけの活動をするだけでなく、作品作りの企画立案、実行を自分たちの手で行うことで、自ら進んで活動する経験を得られました。来年度は教員の最低限の干渉だけで、クラブ活動をはじめとして有意義な学校生活を送っていけることでしょう。


5.先生の変容

 大阪の先生、名古屋の先生、東京の先生方との強い結びつきができたことがまず良かった。これには学内外との頻繁な調整のやりとりや企画の議論をメーリングリストでやったことが大きな要因としてあげられます。途中、メーリングリストを管理するサーバがクラッカーによりダウンして、連絡が疎になってしまいましたが、来年度以降も、管理体制を立て直した上でメールによる密度の濃いやりとりをやっていただきたいと思います。

 私学の教員である私にとっては、他校の先生と話をする機会はあまりありません。この国際交流企画によって多くの先生たちと話をすることができました。自分の実践を第三者的に見ことができ、改善点、反省点を見出せました。非常にラッキーなことと感じました。


6.活動状況

 12月22日から24日の帝塚山学院での作業を前にして、自分たちでテーマを設定(学校周辺の施設紹介、題材として伏見稲荷、JR稲荷駅のランプ小屋)し、自分たちの足で稼いだ情報をまとめていきました。生徒の都合もあり、22日と23日に3名が参加しました。2日間だけではやはり時間的に作品を完成させきることはできませんでした。きちんと完成させるよう刺激していますが、私も含め、英語の壁を感じています。


7.得られた成果

 自分たちと同世代の生徒でネットワークを利用してつながる経験は学校の中だけではまず味わえないことでした。また、帝塚山での作業に参加した生徒はクラブ内でのリーダー的存在(部長や技術に長けた生徒)でした。が、多人数で一つの目的に向かう、しかも自分が中心になってやる経験はあまりしてきていませんでした。その大変さを、身をもって体験してくれました。最近のクラブ活動では多人数をまとめて動いていくことが少しずつできてきました。


8.今後の課題

 活動時期がかなり短かったこと、募集時期が遅かったことがまずあげられます。年度途中で授業に組み込むことは本校のように大規模校(全体で1800人規模)では予定がきっちり組まれていますので、非常に大変なのです。できるだけ早い時期に募集をかけていただければ多くの学校から参加の手が挙がると考えます。前述しましたけれども、学校全体を動かして、多くの学校が参加しやすくするためには、具体的に何をやるか、よりいっそう細かいテーマ設定も含めて広報していただくことも必要になってくると考えます。


9.関係機関への要望

 学校内の調整に走り回ったときに、この規模の企画を継続的にやっていくには、書類、書籍の形で、学校に訴えかけられるもの、わかりやすいものを用意しておいていただくことが必須だと感じました。特にこの先このような企画に参加する学校が増えるでしょうから、中身がはっきりわかることが、参加しやすさにつながります。また、作品の内容がかなり自由にできたところは、生徒の中から何が出てくるかわからない可能性が生まれる反面、生徒に対して「何でもいいよ」という声かけしかできず、生徒がなるべく簡単な方へ流れていく傾向を崩し切れない面も生じてしまいます。例えば共通テーマと自由課題というように生徒に動機付けと自由裁量部分の両方を与えられる企画にしていただきたかったなと思います。

 

10.これから取り組む学校へのアドバイス

 この規模の企画に参加するために、教員一人で学内外との調整を全部することは難しい。校務分掌でも良いし、顧問と生指部長でもよいと思いますが、複数の教員が関わるようにしていくことが望ましいでしょう。また、事前の調整は必須ですから、学校の流れに沿う提案を考えたほうが良いでしょう。


11.おわりに

 まだ終了していない企画ですので、生徒を刺激して、早めに作品を完成し、交流活動へとつなげたいと思います。来年度は京都を中心に大きな交流活動を企画していきたいと考えています。ありがとうございました。


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