本校はＪＲ池袋の西口駅前を学区域とする都心の学校である。池袋駅から徒歩10分もかからない場所ではあるが、閑静な住宅街に位置し、多くの木々で囲まれているため、豊島区内で「緑のモデル校」の指定を受けている。
平成７年度から２年間、豊島区のコンピュータ教育研究校として、いかに効果的にコンピュータを授業に活用することができるかを研究してきた。さらに、外国籍児童や帰国子女が比較的多く在籍していることもあって、平成９年度から現在に至るまで、文部省の帰国子女教育研究協力校として国際理解教育をすすめてきている。これまで、外国籍の方を学校に迎えての直接交流や、インターネットを活用し、海外日本人学校等との電子メールのやりとりを中心とした交流を行ってきた。
外国籍の方々の来校は、子ども達にとって、外国文化にふれる第一歩として、とても有意義であった。できることなら、一つの国の方に何度も来校してもらい、よりその国の理解を深めるとか、逆にいろいろな国の方に来校してもらって、多くの文化に少しずつでも触れさせる等、交流回数を多く持ちたいと考えている。しかし、本校独自でボランティアのゲストティ－チャ－を探すのは大変困難であった。その為、こうした直接交流は年間を通じて数回の単発的なものにとどまっている。
そこで、本校はインターネットを活用し、電子メールでいくつかの日本人学校と交流を持っている。画像や声なども添付しながら、互いの地域の様子を比べたり、学校行事・身近なニュース等をやりとりしたり、と特別な授業だけでなく、年間を通じて日常的にメールを交換することで、少しずつではあるが、国際理解を深めようと考えている。
しかしこれまで、日本人学校を中心に電子メールでの交流を行ってきたのは、一つに語学に堪能な教員がいないという理由があげられる。従って本校がこれまで電子メールをやりとりしてきた相手は日本人学校以外の場合も「日本語が多少はわかる」という点が絶対条件であった。
そこで本校では、今回の企画に参加することで新たな相手との交流が生まれ、子ども達だけではなく、教員にとっても視野が広がるのではないか、ということを期待して、参加を希望することにした。
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＜使用機種＞
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＜インターネット環境＞ |
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ＩＳＤＮ （１本） proxyソフトで児童機でも接続可 |
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NIFTY SERVE ニフティーサーブ |
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Windows95 |
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Netscape Navigator4.0 ネットスケープナビゲーター Internet Explorer4.0 インターネット・エクスプローラー |
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Netscape Navigator Mail Box |
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「ホームページ ビルダー3.0」 |
全校で少しずつでも関わることのできるホームページ作りを目指して活動は始まった。企画・構成はこれまでも、日本人学校との電子メール交流を中心となって進めてきた情報委員会が担当することになった。彼らの活動はまず、どこから元になる民話を探してくるか、というとことから開始されることになる。家に帰って早速両親に話を聞いてみる子、祖父母へ電話してみる子、図書館へ行って文献を探そうとする子、というように、子ども達は自分なりの方法で民話探しを始めた。その結果、見つけることができた民話は豊島区で最も有名な巣鴨のとげぬき地蔵の話であった。しかし、この話はあちこちで、紹介されている上、小学生の子ども達にとって巣鴨は距離的にも遠い、あまり馴染みのない場所であった。そこで改めて、身近な自分たちの住む池袋地域に絞った民話探しが始まった。まず、長期間、豊島区に在職している教職員に話を聞き、自分たちの学区域にも民話があることが分かった。毎日、自分たちが通っている学校の近くにキツネがでた話、さらに、自分たちの住所にもある「池袋」がどうしてそのような名前になったか、という話・・。それを聞いてやる気を増した子ども達は区内の郷土資料館へ問い合わせをして、古い資料を貸してもらうところまで行き着いた。こうして、やっと手に入れた資料だったが、表記方法が小学生には難しい為、文章を要約してもらう作業を早稲田学院高等学校に依頼している。現在の活動は残念ながらここまでだが、今後、要約された文章を元に文字入力、朗読、絵画作製等、情報委員会の児童が各学年へふりわけ、全校でホームページづくりに取り組んでいきたいと考えている。
早稲田学院高等学校が担当する、アニメ・ゲームのホームページのアンケートに５．６年生（計４クラス）が回答。
東京校の交流の場であるインターネット会議室に情報委員会の児童が自己紹介文など、書き込みを行う。
平成10年度に本校全児童に実施した国際理解アンケ－トの結果を紹介したい。Ｑ外国のどんなことが知りたいか？という問いに対して、「言葉」と答えた児童が17％で一番多く、次いで「遊び」が12％となっている。その他に「自然」「建物」「歴史」「スポ－ツ」「テレビ」等がほぼ同率であげられている他、「昔話」もあがっている。中でも注目すべきは対象を外国籍児童に限った場合の結果は「言葉」とほぼ同率で「昔話」をあげる児童が２番目に多かったことである。
このことから本企画において、まず地元の民話を調べる活動ができたことは国際理解教育の一端である自国文化を知るという意味で大変有意義だったと考える。世界中に池袋の昔話を知らせる事ができるのは自分達しかいない！という強い使命感が俄然、子ども達にやる気を起こしていたのが見受けられた。今後、自分達が調べた池袋の民話をきっかけに外国の昔話も知ることができるような交流を期待する。
また今回、子ども達は自分達の力だけでは出来ないことも、中学生や高校生はじめ、人との関わりで可能になることを感じたようである。ただ残念ながら、何度か行われた参加校同士の集まりには本校の児童は出席できなかった。休日や放課後に児童を連れて行く為には、保護者の同意を得る等もう少し時間が必要だったように思う。インターネット会議室の活用はそうした諸事情をカバ－する有効的な交流の場であった。自分だけのパスワ－ドを使って顔写真入りの書き込みができることで子ども達は大喜びし、自分の意見に責任を持つ態度が見られた。インターネット会議室やネットミィ－ティング等、インタ－ネットだからこそできる交流を今後も大いに活用し、異年齢同士の関わりも多く持たせていきたいと考えている。
最後に、成果として書き加えておきたいのは、私達、教師自身がこの企画に参加したことで各学校の素晴らしい指導者の先生方や生徒さん達と出会えたということである。我々は（本校児童とは逆に？）全ミィ－ティングに参加することでコンピュ－タに関する知識を増やせただけでなく、国際理解教育を進める上での視野も確実に広がった。こうした出会いを大切に、今後も教師と一部の児童だけでなく、全校的に少しずつでも関わっていける取組みに広げていきたいと考えている。
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