5) その他の事項に対する見解

 この調査は、回答者が「暴力、セックス、ヌード、言葉、その他」を除いた事項で、教育的に見て入手や制限をすることが妥当なものを、複数回答している。サンプル数は537で、選択合計値は10、629である。

 

表1.2.2-5 制限したい事項に関する見解回答度数

NO

記号

制限したい事項

回答数

NO

記号

制限したい事項

回答数

16

P

チャイルドポルノ

521

15

O

オカルト

272

3

C

犯罪

497

39

無価値

227

2

B

486

38

不必要

222

17

Q

援助交際

478

30

コンピュータ

213

1

A

偏見・差別

459

32

チャット 一般

212

12

L

カルト

442

33

チャット 児童

184

9

I

反社会的組織

438

34

伝言・掲示

181

4

D

ハッカー

436

21

U

避妊

152

5

E

軍事・テロ

388

22

V

民間療法

152

20

T

薬物

378

27

証券・先物

142

10

J

人権侵害

377

6

F

自衛隊・機動隊

127

28

交際・恋人

359

31

画像・映像

114

37

悪趣味

359

35

電子ニュース

100

8

H

反社会的言論

357

25

Y

ショッピング

97

23

W

ギャンブル

346

24

X

ゲーム

86

14

N

特定の宗教

337

13

M

一般的宗教

81

11

K

違法

336

26

Z

商品広告

81

36

ゴシップ・噂

332

18

R

政治

33

19

S

右翼・左翼

323

29

私的嗜好

3

7

G

兵器

301

 

 

合計

10629

 

表1.2.2-6 制限したい事項間の相関

制限したい事項

制限したい事項

相関係数

反社会的言論

違法

0.616

無価値

不必要

0.614

チャット 一般

チャット 児童

0.613

オカルト

民間療法

0.554

チャット 一般

伝言・掲示

0.552

民間療法

証券・先物

0.514

伝言・掲示

電子ニュース

0.509

カルト

右翼・左翼

0.490

反社会的言論

兵器

0.484

違法

兵器

0.478

反社会的言論

右翼・左翼

0.478

カルト

反社会的言論

0.477

悪趣味

無価値

0.474

軍事・テロ

違法

0.466

ギャンブル

ゴシップ・噂

0.465

ショッピング

商品広告

0.465

チャット 児童

伝言・掲示

0.465

悪趣味

ゴシップ・噂

0.465

違法

右翼・左翼

0.463

交際・恋人

ゴシップ・噂

0.456

オカルト

右翼・左翼

0.452

 

表1.2.2-7 数量化III類における各成分

成分

固有値

寄与率

累積寄与率

1

0.107

0.124

0.124

2

0.068

0.079

0.204

3

0.058

0.067

0.271

4

0.054

0.062

0.334

5

0.043

0.050

0.383

 

 

調査結果の内、表1.2.2-5は制限したい事項に関する見解の回答度数を、表1.2.2-6は制限したい事項間の相関を表している

制限すべき事項の見解を決めるために数量化V類を用いたグラフ、回答の度数等を用いて総合的に判断する。数量化V類は多変量解析の1つの手法である情報要約型手法で、2つの集合の

要素間における相対関係のデータをもとに、平面上に各要素を位置づけてその相対関係を分析する。

 入手閲覧を制限したい事項に関する見解のグラフは、数量化V類の変数スコアグラフで第1成分を横軸に第2成分縦軸にとっている。表1.2.2.-7は各成分の固有値、寄与率、累積寄与率である。第1成分と第2成分の累積寄与率は20%で必ずしも高くないが、変数スコアグラフを社会生活として、横軸は規範を、縦軸は行動を表す軸ととらえる。

横軸は左にゆくほど社会生活における規範に違反していると見なす。また縦軸は下にゆくほど行動が束縛されると見なす。数量化V類では原点が中立を表すものでないため、事項(変数)のグラフ上の位置は各事項間の相対的な関係を表すと考える。

 グラフから、入手・制限すべき事項は左上から斜め右下に向かって並んでいるので、3本の斜線で4つの範囲に分けて、禁止(すべての対象年代にわたって情報の入手閲覧を禁止)、原則禁止(情報の入手閲覧を禁止するが必要のよっては一部許可する)、原則許可(情報の入手閲覧を許可するが場合によっては一部制限する)、許可とする。

 入手制限したい事項(変数)のグラフ上の位置とその内容を総合的に判断して、表1.2.2-8のように制限の分類を行った。

 回答度数の高いチャイルドポルノからハッカー行為は禁止にするのが妥当である。

また、軍事テロ、カルト、反社会的言論、違法、兵器、右翼左翼等は回答事項間の相関が互いに強く、禁止にするのが妥当である。

 変数スコアグラフでは、回答の度数では低位の「私的嗜好(菜食主義、自然主義、同性愛を含む)」が禁止に、「一般宗教」が原則禁止の領域に分類されている。また、度数が高い「交際紹介・恋人募集」「ギャンブル、くじ、賭博」「ゴシップ、噂話」が原則禁止に、「伝言板・掲示板(教育的なものは除きます)」が原則許可に分類されている。アンケート調査では言葉から類推して回答しているので、実際のコンテンツの内容によって判断する必要がでてくる。

表1.2.2-8 入手制限したい事項の制限分類

 

記号

制限したい事項

回答数

制限分類

1

P

チャイルドポルノ

521

禁止

2

C

犯罪、犯罪手口

497

禁止

3

B

悪の助長、悪の崇拝

486

禁止

4

Q

援助交際

478

禁止

5

A

偏見・差別の助長

459

禁止

6

L

カルト(閉鎖的教義信条.狂信的信仰、KKK、ネオナチなど)

442

禁止

7

I

反社会的組織(暴力団・暴走族など)

438

禁止

8

D

ハッカー行為(不正アクセスなど)

436

禁止

9

E

軍事・テロ

388

禁止

10

T

薬物乱用(非合法薬物、麻薬、覚せい剤、一部の合法的ドラッグ)

378

禁止

11

J

人権侵害(いじめ、中傷など含むが批判は含まない[言論の自由])

377

禁止

12

交際紹介・恋人募集

359

原則禁止

13

悪趣味

359

禁止

14

H

反社会的言論

357

禁止

15

W

ギャンブル、くじ、賭博

346

原則禁止

16

N

特定の宗教

337

禁止

17

K

違法

336

禁止

18

ゴシップ、噂話

332

原則禁止

19

S

右翼・左翼

323

禁止

20

G

兵器

301

禁止

21

O

オカルト

272

原則禁止

22

無価値

227

原則禁止

23

不必要(明らかに教育学習と無関係)

222

原則禁止

24

コンピュータプログラムの入手

213

原則禁止

25

チャット(匿名一般人との会話)

212

原則禁止

26

チャット(匿名児童生徒間の会話)

184

原則禁止

27

伝言板・掲示板(教育的なものは除きます)

181

原則許可

28

U

避妊

152

原則禁止

29

V

民間療法(ダイエット、民間療法)

152

原則禁止

30

証券相場・先物相場

142

原則禁止

31

F

自衛隊・機動隊

127

原則禁止

32

大容量のデータ(画像、映像など)

114

原則禁止

33

電子ニュース(教育的なものは除きます)

100

原則許可

34

Y

ショッピング

97

原則許可

35

X

ゲーム

86

原則許可

36

M

一般的宗教

81

原則禁止

37

Z

商品広告

81

原則許可

38

R

政治

33

許可

39

私的嗜好(菜食主義、自然主義、同性愛を含む)

3

禁止

 

合計

10629

 

 

6) その他の意見

 その他の意見として、ほぼ次の(a)(b)に分類される意見が寄せられた。

(a) フィルタリングを行う必要があるという意見

(b) フィルタリングの問題点についての意見

(c) 情報判断能力を高める教育を進めるという意見

(4) 調査の改善と今後の方針

(5) 今年の調査は昨年と同じ方法で行ったので、昨年とほぼ同様な結果になっている。そこで次の点を改善して再調査を行い、推奨するプロファイルの作成資料とすることにした。

 改善したWeb上のアンケートを次ページに示す。

 アンケート調査の実施については、Web上のアンケートはEスクエアのホームページからリンクを行い、調査サンプル数を増やすようにする。また、サーバ型フィルタリングシステムSFSの利用手引き書を活用して、システムの導入を行う学校や教育委員会に協力を求めることにより、回答者にアンケートの趣旨が正確に伝わるようにして、より正確なデータの収集を行う。


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