「アジサイは4弁か5弁か」   2005.6.24  CEC 理事会評議員会から 宮島

花菖蒲や紫陽花の花のあざやかな色を見ると鬱陶しい梅雨空を吹き飛ばしてくれるそうな気がします。
多くの虫達を引付るこの花が、実は本当の花でないと皆様よくご存じの事と思います。それでは本当の名前と実体はいかがですか。
実名は装飾花で実体はガク萼の変形です。私なら飾り花と言いたいところす。本当の花は両性花で、目立たない地味な花です。ガクアジサイでは真中に集まって円盤状をなし、装飾花が額縁のようにその周りを囲んでいます。普通のアジサイでは装飾花がぎっしり集まって球面を作り、本当の花は中心あたりにひっそりと集まって咲いています。
ところで装飾花の花弁(?)の数は何枚でしょうか。早速ガクアジサイで調べてみました。見やすいので、どうして今まで気付かなかったのかと思いました。全部4枚のもの、全部5枚のもの、色々の割合で4枚と5枚が混じったものがありました。写真を撮ってきましたので、お目にかけます。4と5の頻度分布をよく調べると面白いでしょう。アジサイは花弁が重なり合って見分けづらいほどですが、よく見ると4と5の事情は同じように思えました。

アジサイ

クロバーのように、原則は3枚で、たまに間違いで四つ葉になるの違います。時計草のオシベとメシベは必ず3と5のようです。
アジサイにとって花弁の数は花の生活に何か意味があるのでしょうか、あるなら場所によって4と5の割合が違うかも知れません。
私はこの頃、植物の学習に興味を持っています。磁性細菌さえ学習しますから、学習する能力が植物にもある筈だと思います。災害を香りで仲間に知らせる植物などありますから、仲間同士で情報を交換して学習する可能性はあるだろうと思います。植物体内の情報伝達も大変うまく出来ています。
虫の形に似た花弁を用意して虫を誘うランのように、虫から学んで形を変えるのは種が進化する結果でしょうか、それとも種は変わらずに学んだ性質を子孫に伝えるのでしょうか。植物の棲分けや協力、環境に馴れる馴化、花と虫の間の様々な協力などの中に学習によるものが相当にありそうに思えます。
植物は決まった体形をもたず、日の当たる方に伸びる様な柔軟性があります。柔軟性の中のなかに埋もれて学習能力が見えにくい事もあると思います。動物の場合と違って生態を良く観察しなければ分かりにくい事が多いでしょう。そのあたりに面白い事が一杯隠れて居そうな気がします。