こちら馬橋小放送局

「知っちゃお,見ちゃお,愛しちゃお!馬橋の環境だよ」


この単元におけるインターネット利用の意図

 学校で学んだことを家庭や地域をはじめ,いろいろな場で生かしてこそ真の学力となる。今回,児童が調べた結果とインターネット等利用して得た他地域の情報を比較検討したり,情報を発信,受信することで,さらに学習が深まり,確実になると考える。また,コンピュータの学習は,冷たいと言われたこともあったが,コンピュータを通信の道具として活用することで,知らない人と心を結ぶことが可能となる。特に最近,人の話もしっかりと聞けない児童が増える中,情報を発信するだけでなく,受信したメールから,どんな気持ちでメールをくれたのか行間を読みとらせ,人の話に真剣に耳を傾ける態度を育てたい。さらに今回の活用を通して,学習面だけでなく,出会いを大切に,そして暖かい心も育てるきっかけともしたい。

1 人の生活と自然かんきょう(小学校第6学年 理科)

(1) ねらい

 小学校理科・6年の単元に「人の生活と自然かんきょう」がある。学習指導要領では,第6学年の目標に「生物の体のつくりと働き及び環境を相互に関係付けながら調べ,見いだした問題を意欲的に追求する活動を通して,生命を尊重する態度を育てるとともに,生物の体の働きの共通性や環境との関係についての見方や考え方を養う。」とある。この単元では,身近な自然環境に目を向け,子ども達でできる簡単な実験を通して,自分たちを取り巻く水や空気が汚れていることを確かめさせる。そして,調べた結果から,生物と水や空気など,自然環境との関わりや,生物は食べる物を通して動物や植物と相互に関わり合って生きていることをとらえさせ,さらに環境をよくするために自分たちができることを考えさせるところまで発展させたい。コンピュータについては,学習意欲を高めたり,他の情報から,学習を深めたり広げたりしていく方法のひとつの手段として,活用を図りたい。

(2) 指導目標

(3) 利用場面

 この単元では,調べ学習を支援したり,表現の道具としての活用等,いろいろな場面でコンピュータを活用するが,インターネットについては,次のような学習場面で活用する。
  1. 他の環境についての情報を得る場面

  2. 最近では,環境についてのホームページなどが増えている。そこで,そ れらの情報も活用させ,自分たちの学習に役立たせる。
  3. ホームページで自分たちの学習したことを発表する場面

  4. 自分たちが学習したことをホームページにのせ,いろいろな人から意見 や感想を聞きさらに学習課題を追求していく意欲や実践していく態度を育てる。
  5. 単元終了後メール交換で学習を深めると同時にあたたかい心をそだてる場面

  6. 送られてきた Eメールを利用し,心の交流を大切に育てる。

(4) 利用環境

  1. 使用機種 富士通DESKPOWER(Modem 28,800bpm)
  2. 周辺機器 大型ディスプレイ
  3. 稼動環境 インターネットより,ダウンロードしたものを大型ディスプ レイを使って,提示する。
  4. その他の利用ソフト

  5.  この単元では,オーサリングソフトとして,えほんらいたープロ(富 士通株式会社)やハイパーキューブ(スズキ教育)を利用した。
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2 インターネットを使った指導計画

指導計画 留意点
(1) 地域を環境の視点から観察する
身近な自然環境がどうなっているかを話し合う。
  • 大気汚染
  • 川の水の汚れ
  • 酸性雨
  • 土の汚れ など
  • 学校付近の川など実際に観察させ,学習に対する興味・関心を高める。
  • 必要に応じて,付近の写真やビデオなどを取り入れた自作ソフトを 活用し環境問題を自分自身の問題として捉えさせる。
(2) グループごとに調べる方法を考え計画をたてる。
大気汚染
青空の観察,葉の汚れ調べ,星の観察
川の水の汚れ
透明度,パックテスト,生物の観察
酸性雨
PH測定,パックテスト
土の汚れ
土の中の微生物の観察
※調べ方についての自作ソフト
  • 事前に学校には,環境についてどのような本があるのかを調べ,参 考資料が不足することのないようにする。
  • 最近,環境についての本は増えてきたが,調べ方について扱われて いるのは,少ない。そこで児童の実態にあった分かりやすく親しみやすい自作のソフトを活用さえる。
(3)(4) グループごとに調べる。
(継続実験)
  • 身近な環境を取り上げ,それぞれの方法で調べる。
  • 実験器具の取り扱いに注意させるとともに,必要に応じて,助言す る
  • 後でコンピュータで表現しやすいように,カメラやビデオなども自 由に活用させる。
(5)(6) 調べたり,実験した結果をコンピュータを使ってまとめる
  • 結果から分かること,その原因・人に及ぼす影響などを考えならま とめる。
  • インターネットで,他の地域も比較し,自分の地域を振り返る。
※コンピュータを道具として活用
☆インターネットの利用(受信)
  • フォトビジョンやビデオなど機器を自由に使わせる。
  • 必要に応じて実験のやりなおしや,写真の取り直しなどグループの 必要性に応じて取り組ませる。
  • CEC の環境ソフトや他の参考資料を自由に使えるようにする。
  • インターネットのすばらしさを感じさせ,自分たちもホームページ で発表してみたいとう気持をもたせる。
(7) 調べた結果を発表する。
※コンピュータを道具として活用
☆インターネットの利用(送信)
  • 友達の発表の良い点に気づかせる。
  • ホームページに自分たちの調べたこと,結果やわかったことなどを のせ,世界に向けて情報を発信し,充実感,満足感を味わわせる。
  • メールに書かれている文章から,行間を読みとらせ,人の話に耳を 傾けさせる。

他教科との関連

特別活動
      ・物を大切にしよう。----------------環境問題への意識の向上,
      ・地球を汚さないようにしよう。     実践の目あて
      ・啓発活動としてポスター作り
      ・ヒマワリ作戦,リサイクル,クリーンデーなどへの参加など
      ・調べた結果を他の地域に発信して,わたしたちが行った活動内容
       を見てもらったり,意見を聞いたりしよう。(インターネット)
      ・インターネットでメール交換

3 本時の学習内容

(1) 本時の目標

(2) 本時の展開

学習活動 活動への働きかけ 備考
学習の目あてをつかむ。
わたしたちをとりまく自然環境は,どうなっているの だろうか。調べた結果をまとめよう。
グループごとに調べた結果をコンピュータを使って,次のてんを中心 にまとめる。
  • 結果
  • 結果からわかること
  • その原因
  • 人や生物に及ぼす影響
  • 他の地域との比較
  • 環境をよくするために自分達でできること
など
  • 必要ならばより深く考察するためにさらに実験してもよいことを知らせる。
  • 実験内容に即した指示を各グループに与える。
(評)実験の結果を自分達の生活と結びつけ,関わりを考えながらまとめて いるか。
(科学的な思考)
  • コンピュータ
  • えほんらいたープロ
ほか
  • フォトビジョン
  • スキャナ
  • ビデオ
◎映像,音声,写真,表,グラフなどを選び,結果をより効果的に 表現する。
  • グループのテーマに応じたまとめ方を工夫させる。
◎必要に応じて他の情報も参考にする。
  • 他の地域の情報や関わりのある参考資料なども提示できる ようにしておき自由に使えるようにする。
(評)調べた結果をコンピュータを使って効果的に表現しているか。
(技能・表現)
  • CECの環境ソフト
  • 自作ソフト
ほか
他の地域から得た情報を知る
☆インターネットの利用(受信)
  • 自分達の実験観察と比較し,深めさせる。
  • ・様々な情報や送られてきたメールにしっかりと耳を傾けさせる。
  • コンピュータ(インターネット)
  • ディスプレイ

4 評価とまとめ

 自分達の調べたり実験したことを世界にむけて発信できた喜びは大きい。特に知らない人から,メールが届き,自分達の学習したこと認められたことに対する満足感・充実感は大きく,子どもたちも「よかった」とか「わあ!」という喜び,感動の声をあげていた。また,メールを交換することで,「今度は,これについて調べてみよう」など,学習に広がりがみられた。今後は,受信した情報から,児童に何を学ばせるのか,どんな返事をださせればいいのか検討していきたい。また,インターネットを活用した新しい授業に取り組むことで,教師の教材研究や指導法の改善に役立った。

 ただ,最近はコンピュータといえば,マルチメディア,インターネットと新しいものに目を奪われがちだが,新しいものがすべてよいとは限らない。著作権,個人情報保護の問題など課題も多い。また,すべての児童がコンピュータに向いているとは限らない。本校においても,わずかながら,コンピュータでの学習よりも,いつもの授業の方がいいと答える児童がいる。したがって,流行に惑わされることなく,何のために使うのかかねらいをはっきりさせるとともに,短所についても正しく認識して実践していく必要がある。

(実践者 松戸市立馬橋小学校 村松文江 文責 松野成孝)

 なお,本実践は,東京学芸大学助教授 篠原文陽児先生にご指導,ご助言いただきました。心よりお礼申し上げます。
ワンポイント・アドバイス

インターネット(ホームページ作成)の環境がなくても,ホームページは できるぞ!

 本校は,昭和62年に,コンピュータが42台導入され,コンピュータ研究校として,その研究の成果を毎年公開してきた。しかし100校 プロジェクトなどにも参加しておらず,ホームページを開設する環境は全くない。しかし,ちょっとした工夫で開設することは可能だ。本校で も,CECに相談し,同じ県内で100校プロジェクトに参加している学 校のホームページの一部を借りることで開設出来た。

 最近では,プロバイダーも契約すれば10MBまでは,無料など,ホー ムページを開設しやすくなってきた。

 ただ,のせる内容については,個人情報や著作権等の課題もあり,慎 重に取り組む必要がある。本校でも,児童の氏名は出来るだけ避け,返事等も,筆者のE メールに届くように設定した。


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