それには,「自分たちの学校に降る酸性雨の観察」という身近な現象から観察を始めて,「子ども自身が問題を持ち,追求していき最後には自分として問題解決に何ができるか。」を目的とした総合単元として考えた。身近な問題から出発するとどうしてもマクロな考え方しかできず地球規模で起こっている変化や,大きな地域で起こっている問題を見過ごしてしまうことになる。そこで,9校と共同観測や討論を交えての学習過程となっている。子どもが視野広めることができるようになるには,他の学校のメールが活動の大きな役割を果たす。自分たちの気づかなかったことを他から気づかせてくれるなどの利点がある。
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| 指導計画(一部結果) | 留意点 | |
| (1)
       (2)  | 
    学校紹介と自己紹介
       テレコミュニケーション 自分たちの地域や学校の特色を相手に伝わるように絵や文で表現し インターネットで送信する。 ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works  | 
    
      
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| (3)
       (4)  | 
    水溶液を調べる。
       結果インターネットへ送る。 水溶液の性質の単元で調べたいろいろな物質や水溶液の酸性度を意 見を添えて送る。 ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works  | 
    
      
  | 
    
| (5)
       (6) (7)  | 
    酸性雨調べとpH測定
       雨の酸性度を調べる。自分たちの調べた水溶液と比較しながら意見 を添えてインターネットで送る。 ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works  | 
    
      
  | 
    
| (8)
       (9) (10)  | 
    酸性雨に関する自由研究
       実験の仕方をインターネットで送り,自分たちの結果を絵や画像、 文で送信する。
       ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works  | 
    
      
  | 
    
| (11)
       (12) (13)  | 
    他の学校の自由研究への質問,感想,提案インターネットで送る。
       ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works  | 
    
      
  | 
    
| (14)
       (15) (16) (17)  | 
    自由研究活動
       酸性雨観測から疑問に思ったことで「調べ学習」をする。 自由研究と意見を発信する。
        | 
    
      
  | 
    
| (18)
       (19) (20)  | 
    酸性雨や環境についての総合討論
       自分たちの疑問から発したこと
       ※利用ソフト「かわらVAN」キッドピックス,Works
        | 
    
      
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| 学習活動 | 活動への働きかけ | 備考 | |
| 1 | 前時まで調べてきた酸性雨の被害や酸性雨の原因について学習したことを発表する。 | 
      
  | 
    大型TV
       フォトビジョン利用の提示装置 調べカード  | 
    
| 2 | 本時の課題について,それぞれの班で,持ち寄った個人の意見の調整を 行う。 | ||
| 3 | 課題を絞りながら,班での話し合いを深め,実現・検証するための方法 を考える。 
      考えを絵にして送信  | 
    様々な課題を自分たちが実験できるものへ変換させて,比較検討させる。
      
  
      
  | 
    顕微鏡
       気体検知器  
      大型TV フォトビジョン利用の提示装置 実験に必要な物 コンピュータ
        | 
    
| 4 | それぞれの実験等を調べカードにまとめ,課題をクラスで発表すると,共にインターネットを利用して共同学習校にメールを送り,協力を依頼する。 | ||
| 5 | 同じような環境問題について省エネルギーや新しい方法,自然を守ることについて,考えているホームページを探し参考にする。 | ||
| 6 | 新たな課題の追求をする。 | 付け加えられた課題や新しい課題を追求させていく。 | 
コンピュータを利用する上で,インターネットを利用する共同学習は非常に効果があったのは,次の点である。教師に指示されるよりも子ども達は自主的に活動する。さまざまな問題を追及していくが,新たな疑問に気づいたり他から指摘されせたりして活動の停滞が少ない。問題の提起の仕方や相手に伝えるための負荷が学習の方法を学ばせる。
つまり,ネットワークを使った利点は何か?それは,子ども自身が気づかないことを,活動を通して反論や意見などが子どもの考えを変えていく,それも,他の人に言われたり知識を押しつけられたりすることでなく,子ども自身が活動の中で試行錯誤を繰り返して成長していくことだと考えた。
実践の欠点としては,他の共同研究校からの返信のレスポンスの遅さが活動の停滞を生むこと(今回はかなり活動の調整を打ち合わせたにも関わらず)。インターネット自動接続用ソフト「かわらVAN」の不調とネット回線の不調に泣かされて時期を逃した活動が多々あったこと,これにより学習の絡み合いが深まらなかった。
| ワンポイント・アドバイス 子どもの心の中で課題が熟するのを待つ!これらの実践をする中で20時間もの授業を要しているが,実はそれは授業の時間であって他にも活動の時間はたくさん割譲している。それに,期間は5カ月にも及ぶのである。それでも,子ども達の心にじわじわとしみこんでいく活動は,最終段階で花が咲くものである。子どものこだわりにじっくり付き合い!  | 
    
インターネットを利用した授業実践事例集 平成8年度