郷土を見つめ世界へ伝える

---ホームページ作成を通した「情報基礎」の展開---


この単元におけるインターネット利用の意図

 本校では,技術・家庭科「情報基礎」で,アプリケーションの学習では統合化ソフトを用い「自己紹介カード」の作成,プログラミングの学習で,BASICを用いたグラフィック作成,著作権の学習は座学でという授業を行ってきた。しかし,このような授業では,それぞれの単元での学力の定着はあっても,それが関連づいた形での学力になり得なかった。また,学んだことが実生活のどこに生きるのかが生徒にはわかりにくかった。すなわち「生きる力」を育てる授業にはなり得なかった。

 そこで,「インターネットへのホームページ公開」を大テーマにすることで,すべての学習事項を関連づけ,実際のネットワーク社会の中で実践的に学ばせる指導計画を立てた。20時間で,「郷土を歩き,世界へ誇れるものを見つけて世界へ発信しよう。」というテーマのもと授業を行った。


1 「情報基礎」(中学校3年生 技術・家庭科)

(1) ねらい

 「情報基礎」の目標は学習指導要領によると「コンピュータの操作等を通して,その役割と機能について理解させ,情報を適切に活用する能力を養う。」とある。また,内容としては,「コンピュータのしくみ」,「コンピュータの基本操作と簡単なプログラムの作成」,「コンピュータの利用」,「日常生活や産業の中で情報やコンピュータが果たしている役割と影響」の4項目がある。インターネットへの情報発信を授業の柱に持ってくることで,実際のネットワークの世界を教室にして,学習内容を関連づけて授業を構成し,将来の真の情報化社会を支える生徒の情報活用能力の育成をめざした。

(2) 指導目標

 情報基礎の学習内容をふまえ,「国際理解教育」「郷土教育」の要素を加味して,以下の指導目標を設定した。

(3) 利用環境

2 指導計画と本時の学習内容

(1) インターネットを使った授業設計

単元 指導事項 学習内容 留意点
生活とコンピュータ コンピュータの種類と特徴
ネットワーク社会の現状
1 ・インターネットを使って,世界のホームページを見てまわる。 自分もあんなホームページをつくりたいという意欲を引き出す。
コンピュータのはたらきと基本操作 コンピュータの5大機能

基本操作

1 ・教科書を見て,コンピュータの基本的な操作法を知り,簡単な絵が描 ける。 グラフィックソフトを用い,簡単な絵を描く操作を通して,基本的な事 項をおおまかに理解させる。
アプリケーションの活用

プログラムの活用
テーマ設定 1 ・「郷土を見つめ世界へ伝える」という観点で班ごとにテーマを設定す る。 郷土のよさを見つめさせる。
情報の収集と加工 1 ・テーマにそって,郷土に出て取材活動をする。 たくさんの人と出会わせたい。
1 ・収集したデータのデジタル化をする。 デジタルカメラやスキャナを使わせる。
コンピュータと情報化社会 1 ・ネットワークを使う際に気をつけることを知る。 ネチケット関連のサイトも使いたい
1 ・著作権の保護に必要な知識を得,ホームページを作成する際に具体的 な場面に生かすことができる。 必要があれば,実際に許可をもらいに行かせる。
プログラミングの活用 5 ・構成を考えて,HTMLによるプログラミングをし,ホームページを創 る。 画面の先の相手によりわかりやすいページづくりをさせる。
情報の発信 1 ・「生徒情報倫理委員会」を開き,創ったホームページを相互評価しながら,情報モラルに触れる部分がないかを話し合う。 著作権,肖像権,個人情報の保護,を観点としたい。
1 ・相互評価をもとにして,最終の手直しをする。 著作権等がクリアできなければ,削除させる。
1 ・マンダリンネットへデータを送る (校内のイントラネット) 校長と担当教諭で内容の最終チェックを行う。
1 ・FTP機能を使い,データを公開用のサーバーに転送する。 教師が補助する。
コンピュータのしくみ コンピュータの計算のしくみ 1 ・AND OR NOT回路,半加算回路を知る。 ビデオなどを使い軽く触れる程度とする。
情報の再発信 情報の再発信 2 ・世界と電子メールを使って交流するとともに,手直しが必要な部を手 直しする。
・手直ししたデータを再度FTPでサーバーに送り,ホームページを度世界 へ公開する。
授業が終了した後も,定期的に交流させる場の設定を行う。
コンピュータと情報化社会 情報化社会の光と陰 1 ・情報化社会の陰の部分を知り,をれを克服し,よりよい社会を作り上 げるために必要なことを話し合う。 モラルを守りながら積極的に情報発信する態度を身につけさせたい。

(2) 生徒作ホームページ

 平成7年11月に最初のページを公開してから,1年間で4万件を越えるヒット数があり日本国内はもとより,ニューヨークやグアテマラなど海外からの感想が寄せられた。その方法はE-MAILばかりでなく,FAX,電話,手紙などもあった。
【各班のホームページ】
HomePage 1HomePage 2HomePage 3

(3) 授業を通しての生徒の感想

 この授業では,毎時間「自己評価カード」を生徒が記入した。その記述から,いくつか記載する。
【校内ネットワークシステム】
Network System
【ホームページを創る生徒】
Working Student

3 評価とまとめ

成果

課題

 鷹巣中学校ホームページhttp://www-cn.edu.kagoshima-u.ac.jp/Tjhs/index.html

(実践者 鹿児島県出水郡東町立鷹巣中学校 辻 慎一郎)


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