CATVケーブル回線を利用した教育ネットワーク
三鷹市教育委員会
この教育ネットワークは、『第2次三鷹市基本計画』、『三鷹市地域情報化計画』及び各個別に示された、まちづくりを実現するための実行計画として位置付け、情報通信基盤を整備し、三鷹市の学校教育の情報化と教育情報サービスの高度化、さらに推進体制の整備を行うことにより、三鷹市の教育文化の情報化を推進することを目的とする。
1 基本的な考え方及び期待される効果
(1) 生涯学習情報ネットワークの構築
CATVやインターネットを活用し、家庭教育、学校教育、社会教育、コミュニティ活動との連携や総合化を進め、「いつでも、どこでも、だれでも」が学ぶことができる。
(2) 図書館ネットワークの構築
市内図書館と学校図書館とをインターネットで接続することにより、図書館情報ネットワークを構築し、蔵書情報や貸し出し情報等の情報提供を市民や児童・生徒に行うことができる。
(3) 文化スポーツネットワークの構築
市民や学校のニーズに合わせて各文化施設やスポーツセンターの利用状況やイベント情報等を提供することができる。
(4) 双方向型遠隔教育システムの構築
市内各学校をインターネットで結ぶことにより、遠隔校同士の双方向遠隔授業を可能にするとともに、登校拒否、不登校及び病弱児童・生徒等へのインターネットを活用した遠隔授業及び教育相談できる。
(5) インターネットによる学習情報の提供
教育情報データベースによる教師の自作教材や指導案、自作ソフトウェア等の収集及びインターネットよる提供ができる。
(6) 総務部防災課と連携した防災情報システムの構築
三鷹市立学校及び三鷹市文化施設等への災害予報や防災情報、安否情報等の情報提供を行う。
2 インターネットの具体的な授業利用について
(1) 学校教育の枠を越えた情報の入手が可能である
博物館や科学館などの社会教育施設が、専門情報を公開している。実際にその場に出かけたくなるようなCMとして行なっている部分と、行かなくても利用してもらうためのサービスがある。これらを利用することは、図書館で調べ学習をすることと同じように、学校外の情報を学校教育で利用でき、かつ子どもたちには調べ学習の1つの方法として教えることが可能である。
(2) 地域理解教育が可能である
他の地域の様子を知ることで、自分の地域の見直しになる。これは、地域理解教育と関係する。また、各地域の情報を子どもの目で発信することは、子どもの視点での地域の調べ学習となり、自分の地域についてどう他に伝えようかという見直しになる。
(3) 学校間交流が可能である
自分たちの学習成果の発信は、そのために熱心に作品作りに取り組み文脈作りとして有効である。学校間で行事や学習成果を交換することで、自分たちの学習を見直し、他の学習成果を取り込んだ共同学習が可能となる。
(4) 国際理解教育が可能である。
例えば、英語を学ぶこと、他国を知ることなどの必要性を、インターネットの利用を通して実感させることが可能である。
(5) その他
三鷹市ならではの方向としては、愛知県岡崎市のように、CATVと絡めてビデオオンデマンドの環境も同時に作成し、市民あるいは学校にどう教育情報を提供するかという研究を同時に進められる。
また、学校ごとにホームページを作る活動をさせると、必ず独創性のないページ(学校要覧風)ができあがる傾向にある。そこで、各学校の特色ある教育は何なのかを問うことができ、学校の情報公開、教育活動の多様化などに寄与できる。
インターネットを使う場合、操作そのものはマウスだけでほとんどでき、教員研修に操作研修はほとんど不要である。
3 ネットワークイメージ
4 実施上の課題と解決の方策
(1) ネットワーク接続に伴う児童・生徒の個人情報の取り扱い
- 審査会での方向性がでるまでは、子供の氏名等はイニシャルのみとする。
(2) ネットワーク利用のための教員研修
- 平成8年度は教育ネットワーク連絡協議会のメンバーを中心に研修を行う。
- 平成9年度からは、連絡協議会を推進委員会に格上げし、校内研修及び市の 次期コンピュータ導入計画の作成等を中心に行う。
(3) ネットワークのセキュリティ
- 子供に良からぬ情報については事前にアクセスできないようなプロテクトを かけるので問題はない。また、他人に読まれたくない電子メールなどは、指定の人間しか開封できないパスワード等の設定ができるので問題はない。
(4) コンピュータ導入に伴う教員の負担増及びネットワーク利用に伴うラン ニングコストの負担
- 本市のCATVケーブル回線を利用した教育ネットワークの特徴は、ホームペー ジの作成、更新、メールアドレスの発行等をすべて業者に委託しているところにある。
従って、教員の負担増につながることはない。しかし、そのぶん費用が少しかかるところがあり、予算については交渉中である。
(5) ネットワーク及びデータベース構築のための委員会の設立
(6) 三鷹市の次期コンピュータ整備計画との関連性
- 予定では、平成11年度までに小学校21台、中学校42台のコンピュータ を導入することになっている。その計画の策定については、平成9年からCATV ケーブル回線を利用した教育ネットワーク推進委員会を中心に行う予 定である。
5 達成目標年度
西暦1997年(平成9年)を達成目標年度とする。
6 CATVケーブル回線を利用した教育ネットワークの基本計画
平成8年度 |
平成9年 |
CATVケーブル回線を利用した教育ネットワークの実験研究
【実験校】
第一小学校、第三小学校、第四小学校、第五小学校、第六小学校、 第七小学校、高山小学校、南浦小学校、北野小学校、井口小学校、第一中学校、第三中学校、第四中学校、第六中学校、教育センター
実験に伴うCATV回線の導入、コンピュータの設置、回線使用料等のランニングコストは実験というこで CATV 開設にかかわる業者より無償提供
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CATVケーブル回線を利用した教育ネットワークの導入
【導入校】
- 導入校は実験校以外の学校。
- 教育ネットワーク推進委員会の設置
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7 CATVケーブル回線ご利用した教育ネットワークの実験研究のスケジュール
第一期 10月1日〜11月末日 |
第二期 12月1日〜1月末日 |
第三期 2月〜3月 |
インターネットに慣れ親しむ |
*ネットクラスルームの試運用開始 |
*ネットクラスルームの運用開始(案) |
パソコン設置
インターネット講習会
ホームページの作成
ホームページの公開
メールアカウントの発行
インターネット講習会
井口小学校授業公開 |
ケーブルモデムの導入
電子メールの交換
海外協力校との交流(英日翻訳機能付き)
ビデオ会議
フォーラム(討論会)
学習情報の提供(試運用)
オンラインマナー講座 |
インターネットスポーツ講座(スポーツ競技の講座をオンラインで提供)
自由参加型の共同学習システムへの参加(酸性雨調査や星座共同学習など)
報告書の作成 |
*については次ページ参照
ネットクラスルーム(仮称)の全体構成図(イメージ)
(三鷹市教育委員会 指導主事 大島克己)
(セコムラインズ(株) インターネット室 森下悦伸)
インターネットを利用した授業実践事例集 平成8年度