1 あしたはにちようび

(小学校 第1学年 生活科)
埼玉県狭山市立狭山台南小学校 麻原 巻子
実践協力者 松澤 忠明

2 本時のねらいと題材設定の理由

 本単元「明日は日曜日」では,子ども達に家族の一員であることに気づかせ,家庭生活と自分の関わりについての機会を作りたい。また家庭内での仕事を体験することにより仕事の大変さや家族の一員としての責任や思いやりについても考えさせたい。
 また,家族を紹介したり,仕事を見つけたりすることにより,家庭生活が成立するためには,家族一人一人が協力していることに気づかせ,自分もその一員であるということを理解させたい。そして,家族として家庭の仕事に進んで取り組もうとする実践力や「やってみよう」という意欲を持たせたい。
 本時では,導入に家庭内の音を使い,家庭の仕事への関心を向けさせたい。仕事の仕方や手順についての試行錯誤を助ける手段として具体物を取り上げ自分もやってみたいという意欲につなげていこうと考えた。そこで,コンピュータに取り込んだビデオ画像を活用して,自分が出来る仕事を探させ,体験させたい。そして,自分で出来る仕事は進んで取り組める子どもを育てていきたい。

3 利用ソフトの概要

(1) 利用ソフト

1) オーサーマスター(潟a[ド )
2) MPEGプレーヤー,MPEG動画カッター(日立製作所)

(2) 利用ソフトの概要

1)オーサーマスターは,MPEGタイプの動画やBMPタイプ静止画をアルバムタイプのソフトに手軽に編集できるソフト。ボタン設定で各シート間を移動できる。
2) MPEGプレーヤーは,デジタルカメラ日立MPEG-1で作成したMPEG形式のファイルを編集できるソフト。MPEGプレーヤーで編集したMPEGファイルをオーサマスターを使ってアルバムタイプのソフトにすることが出来る。
 今回活用したMPEGカメラは記憶媒体にtypeVタイプのハードディスクを内蔵しているため従来のようにアダプター等で画像ファイルを送ることなくカードスロットに直接差し込むだけで編集や活用が出来る。ノーパソコンやカードスロットをもっているパソコンであればフロッピーディスク感覚で編集できるのが便利である。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 本校の1年生の生活科の学習では,「学校探検・公園へ行こう」の単元で,静止画像静止画像を活用したマップを持って調べる活動をしたり,自分たちの描いた絵を取り込んだ画像を用いて自分の家族についての紹介をしたりする活動を行ってきた。

 また,図や静止画像から自分の知りたい事を見つけたり新たな疑問を持ったりすることが出来るようになってきた。
 本単元ではお手伝いが出来るようなることを目標としているため,子ども達が知りたい情報は静止画1枚やそれを並べて利用した物だけでは不十分であると考えた。そこで本時では,自分のしたいお手伝いを決める中で,まず,洗濯物たたみ,野菜洗い・茶碗洗い・玄関掃除の4つについて体験させることを考えた。これらを決めることを支援するソフトとして動画と静止画を提示できる物を作成した。

(2) 利用環境

1) 使用パソコン NEC PC-9821CX13 10台 画像コンバータ1台29型TV1台

5 本時の展開

(1) 指導計画 (全10時間)

うちの人を紹介しよう ・・・1−4時
自分でできる仕事を探そう・・・5−7時(第5時本時)
お手伝い報告をしよう ・・・8−10時

(2) 目 標

・家の中にはいろいろな仕事があることに気づく。
・自分でできるような仕事に挑戦してみようという意欲を持つ。

(3) 展 開

学習活動 活動への働きかけ 準備・資料
1.テープから流れる音を聞いて何をしているときの音か想像する。 ・家の中の仕事の音を聞かせることによって学習への興味・関心を起こさせる。 ・音(ラジカセ)
2.家事のために使われている道具を見て,どんなときに使う道具か考えさせる。 ・家庭洋品・台所用品を見て,使った児童に動作化させる。
(布団たたき,靴洗い)
・布団たたき
靴洗いブラシ
洗濯板
3.家の中の仕事を見つけよう。 ・児童から出た意見を衣食住その他の4つの観点に分類する。
・家の中にはその他にもいろいろな仕事があることに気がつかせる。
・だれがやっている仕事か考えさせ,手伝おうとする気持ちを持たせる。
 

4.自分で挑戦したい仕事を見つける。





じぶんでちょうせんしたいしごとをみつけよう。
・1)洗濯物をたたむ、2)食器を洗う、3)野菜を洗う、4)玄関を掃くの4つのコースのソフトや体験コーナーで挑戦する内容や手順について知る。
・児童同士が気づいたことを教え合う。
・衣食住に関する仕事の場
面を映像で見させたり,実際にやってみられるように助言する。
・「挑戦カード」に記入することで挑戦する仕事をはっきりさせる。
・「やってみよう」という意欲を大切に出来るように励ましを与える。
・家事のVTR
(子供がやっている様子)
・机
洗剤空容器
ボール,ふきん
スポンジ,茶碗
台ふきん,水切りかご,タオル,
ざる,レタス,ほうき,靴, ちりとり,トレーナー,体育着,
・お手伝い挑戦カード,テーブル

さあお手伝いを決めよう
5.挑戦したい仕事を発表する。
・仕事の様子の入った画像を見て自分の仕事をきめ、気づいたことなどを自分の言葉で表現させる。



これならできそうだね
  ・調べたり体験したことで気が付いたことについても触れさせたい。
・よく練習していた児童や教え合いが出来た児童を認め励ましたい。
 

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 生活科は経験に裏付けられた「生きる力」を育てる教科である。この観点からすると,コンピュータを活用することは異論が出るものと思われる。しかし,生活経験の乏しい現代の子ども達にとって本時で取り上げた洗濯物たたみ,野菜洗い,茶碗洗い,玄関掃除は未経験のものが多く,ぜひ体験させていきたいものでもある。本ソフトを活用することにより知りたい情報を自分のペースで活用できるため,グループや一人一人で活用する場面が見られるようになり,自分の思いに従って学習を進めている場面が見られた。児童の中にはまず取り組んでからコンピュータに向かう子どもやコンピュータを一回見てから作業に向かう子どもなど自分の活動にあった活用方法をとることが出来た。また画像に説明の音声を入れることによって仕事のポイントを明確にして,仕事の技能的な定着を助けることが出来た。

(2) コンピュータ利用上の成果

 本ソフトはMPEG形式のビデオ素材さえ用意できれば容易に編集してアルバム形式のソフトを作成できる。従来のキャプチャーボードを使用してアナログビデオを編集してコンピュータに提示するには素材のデジタル化など様々な校庭を経て作成していたが,本ソフト及びMPEGカメラを活用することによって鮮明な画像提示することができた。
 また,動画の見方についても,1回目は視点が無く見ていた子どもも2回,3回と経ることによって視点が絞れてきている。添付ソフトであるMPEGプレヤーの様に一時停止の機能が付くと繰り返し見なければならない回数が減るように考えられる。
 さらに,ボタン機能を活用して作ったボタンに文字で指示を入れることによって欲しい情報を選ぶことが出来るより子ども達の学習意欲が高まっているということが出来る。

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