1 おたよりを出そう

(小学校 第2学年 生活科)
目黒区立中目黒小学校 大川原 幸生

2 本時のねらいと題材設定の理由

 人に気持ちが伝わるような手紙をかき,まちの中にある施設として郵便局やポストを使ってみる体験をする。本時は,手紙をかく(作る)活動をする。しかし,鉛筆でかく文字だけでは気持ちが伝わらないかったり,苦手にしている子供も多い。そこで,カットを入れたり,写真を添えたり工夫して手紙作りに取り組むことをねらいとした。鉛筆以外の表現方法の一つとしてコンピュータを利用した。
 他にビデオカメラでビデオレターを作成したり,デジタルカメラやポラロイドカメラを利用し工夫できるよう配慮した。

3 利用ソフトの概要

(1) 利用ソフト

『えもじワープロ』
(ポンキッキーCD-ROMシリーズ)
(株)ジャストシステム

『オーサーノート』
(ライトのMS-DOS版とWindows版)
ラッドフォード・コンピュータセンター(株)


(2)利用ソフトの概要

『えもじワープロ』:子供に人気のTV番組ポンキッキーのキャラクターが場し,絵文字の手紙を作成するソフである。つくった手紙を読み上げてれる機能(画面の左下のスピーカをリックする)があるので,文の読みげを聞くことによって文の間違いにづきやすい。文字入力は,50音をマウスをクリックするやり方なの低学年でも無理な利用できる。
『オーサーノート』:「アニメペイント」「さくぶんワープロ」「グラフ」「とけい」「おつかい」のプログラムを収録した教育用総合ソフトである。本時は,その中からアニメペイントを利用した。スタンプの種類が多く絵がにがてな児童も楽しめる。操作しやすいので低学年の子供でも無理なく使える。

4,コンピュータ利用の意図

(1)利用場面

 学校でコンピュータを使えるようになった喜びを伝えるために,実際に「オーサーノート」を使って絵や文字をかいたり,手紙に添える絵を描いた。また,「手紙なんて書きたくない」「はずかしい」いっていた子供の支援や「友達に楽しい手紙を書きたい」といった子供に絵文字ワープロを利用させた。

(2)利用環境

1) 利用パソコン NEC PC9801DX 10台 NEC PC9821 Lavie 1台
2) 周辺機器 プリンター NEC PC201/60A EPSON PM700C

5,本時の展開

(1)単元の指導計画(10時間扱い 本時3/10)

第1時 まち探検のお礼の手紙を書こう。
第2時 直接手紙をとどけよう。
第3時 もっとお手紙を作ろう。 (本時)
第4時 切手を買ってポストに入れよう。
第5時 返事がきたよ。どうやって届いたのかな。
第6〜10時 郵便局のおじさんに聞こう。(郵便局の見学等)

(2)目標

○気持ちを伝えるお手紙作りに楽しんで取り組む。
○相手に気持ちが伝わるように手紙を工夫する。

(3)展開

学習活動・内容 ○予想される子供の反応 時間 指導上の留意点
1.今日のお手紙作りの活動を確認する。
○ぼくは,校庭で写真を撮ろう
○コンピュータルームでお手紙を作ろう

(分)
・お手紙で伝えたい内
容や方法で活動場所が
違うことを確認する。
2.お手紙作りをする。 30  
【教室】
《絵文字ワープロ》
・文字の一部を絵文字にして,親しい友達に楽しい手紙を書く。
《文字と色鉛筆の絵》略
《デジタルカメラとビデオプリンター》
・家で作ったマフラーをしている自分をデジタルカメラで友達に撮影してもらい印刷し,幼稚園の先生に近況を伝える。(他に柔道やおすすめの本,熱帯魚のことを伝える子供がいる。)
  ▽多くの文字を絵にすると読みづらいことを伝える。
▽写真について,説明を添えるよう助言する。
【コンピュータルーム】
《コンピュータとおえかきソフト》
・お絵描きソフトを使って絵を描き、コンピュータが使えるようになったうれしさを伝える。
  ▽コンピュータを使えるようになった喜びが伝わるように工夫させる。
【校 庭】
《ポラロイドカメラ》
・ポラロイドカメラを使って,モルモットや一輪車の運動の様子などを撮影し手紙に添える。
《ビデオカメラ》
・野球や剣道をしている所や,モルモットの様子をビデオカメラで撮影し,ビデオレターを作る。
  ▽生き物に接している時などのつぶやきや感想を手紙に書き添えるよう助言する
▽運動や動物の様子だけでなく挨拶の言葉もはっきり録音できているか確かめさせる。
3.後片づけをする  
4.次時の見通しをもつ
○宛先の住所を確かめてから,郵便局で切手を買ってポストに入れよう。
 

6 今後の実践のために

(1)利用場面の評価

 手紙をかくというと,とかく鉛筆だけですませがちである。そこで,鉛筆という筆記具だけでなく手紙をかく方法をいろいろ準備した。自分が誰にどんなことを伝えたいのか目的に応じて,ビデオカメラ,ポラロイドカメラ,デジタルカメラ,コンピュータの中から必要な教育機器を利用した。
 最も適した方法を選択できたことは,子供たちの意欲を高めることになった。
 必ずコンピュータを使うというのではなく,必要に応じて利用することが大切であるとあらためて実感できた。

(2)コンピュータ利用上の成果

 言葉では,何となくはずかしくていやだなと思っている子供にとって,『えもじワープロ』は,文字が絵によって表現されるので抵抗感がなかった。また,にがてな子供にとっても文字が次々と絵に変わり,楽しんで取り組めた。
 コンピュータを使えるようになった喜びを伝えたり,手紙に添える絵を描くには低学年でも抵抗なく使える『オーサーノート(アニメペイント)』は利用しやすく,自分で思い描いた以上の作品ができ,どの子も満足できた。
 DOSのコンピュータを利用したドット式印刷機と比べ,Windowsのコンピュータを利用したインクジェット式印刷機では,画面に表示されている通り印刷されるので子供たちに,とても好評であった。
 コンピュータや他の教育機器を使ったことで,手紙作りが意欲的に取り組めたので,それを届けるための宛名書きや切手を買って投函する活動にも積極的に取り組むことができ効果的だった。


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