1 コンピュータ図鑑【昆虫編】−この昆虫の名前知ってる?−

(小学校 第3学年 理科)
栗橋町立栗橋西小学校 青木 博

2 本時のねらいと題材設定理由

 本単元では,理科の授業の中で昆虫を探し出したり,育てたりして成長の過程や体のつくりを他の昆虫と比較しながら調べ,見い出した問題を興味・関心を持って追究し昆虫についての理解を深めるとともに,育てるという過程を通し生物を愛護するという態度を養うことをねらいとしている。
 これまでに児童は,生活科や遊びを通して野外の自然に触れたり,季節に応じて自然のものを利用して活動してきた。中でも生き物には多少なりと興味を持ち育ててみたいという気持ちを持ってきている。暖かくなり4月のころに比べると昆虫の数も増え,似たような昆虫もたくさんも見られる。今までは,「チョウ」「テントウムシ」「バッタ」「トンボ」など大まかな名前で分類してきたが,児童の中には正しい名前を調べ出す者も出てきている。そこで,この時期昆虫調べを行い,よく見られる昆虫「モンシロチョウ」を基準として,大きさ・形・色・もようを比べながら観察させ,名前も調べるとともに,昆虫に興味・関心を抱かせ昆虫を育ててみようという気持ちを高めるようにしていきたい。

3 利用ソフトの概要

(1) 利用ソフト

コンピュータ図鑑【昆虫編】スタンダード版
(株式会社ラティオインターナショナル・大日本図書株式会社)

(2) 利用ソフトの概要

 このソフトはPC-98シリーズ用に作られたもので,DOS環境で動作するので簡単に利用することのできるものである。また,すべての操作はマウスでボタンをクリックして,条件を選んでいくことによって進めることができる。
検索条件の種類
 ・昆虫の色や形,大きさから探す……どんな昆虫ですか
 ・見つけた場所から探す………………見つけた場所は
 ・見つけた季節から探す………………見つけた季節は
 ・成虫の食べ物から探す………………食べ物は
 ・卵・幼虫・さなぎの特徴から探す…幼虫などの特徴
 ・なかま/科の分類から探す…………なかまや科で選ぶ
 ・キーボードから入力して探す………キーボードから文字を入力して,その文字が含まれている昆虫を探す
 これらの組み合わせで絞り込むことも可能
 付属として,野外観察シート,大きさ比べシートもあり,シートに記入してくることにより検索条件を確実に選ぶことができる。ただしフロッピーディスクのため204種の昆虫に限られてしまう。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

1) 野外観察の下調べに使う
 昆虫の観察や採集にでかける前に,事前に昆虫の習性やすみかについて調べておけば,どんな場所に行けばどんな昆虫を見ることができるか分かるため効果的に観察にすることができる。
2) 検索図鑑として使う
 昆虫の名前を調べるため,見つけた場所や大きさ,形・色・羽の模様などのさまざまな観察結果をもとにコンピュータで絞り込んで行くだけで目的の昆虫の名前に達することができる。また,付録として野外観察シートと大きさ比べシートもありより正確に観察することができる。カラーノートパソコンを使うことにより,野外でも十分使用が可能となる。
 今回は検索図鑑として使い,付録の観察シートではなく児童と話し合い,よく見かけるモンシロチョウとの比較用のシートを作り観察のポイントとした。

(2) 利用環境

 PC-9801RX 1台

5 本時の展開

(1) 指導計画

 第一次 昆虫をさがそう 3時間 (3/3本時)
 第二次 チョウをそだてよう 4時間
 第三次 バッタやカブトムシのそだちかたをしらべよう 2時間

(2) 目標

 ◎昆虫を観察し,その特徴から昆虫の名前を調べることができる。
 ・昆虫に興味を持ち,いろいろな昆虫を探すことができる。
 ・大きさ・形・色・もようを「モンシロチョウ」と比べることができる。
 ・調べた特徴からコンピュータを使い昆虫の名前を調べることができる。

(3) 展開

学 習 活 動 活 動 へ の 働 き か け 備 考
1 前時の学習で観察したり,採集してきた昆虫や観察ノートを確認する。 ○観察シートの中に記入漏れはないか確認させ,分かるものは忘れないうちに記入させる。 ・観察シート
2 本時の課題を知る。    
昆虫のとくちょうを見つけて昆虫の名前を調べよう。  
3 名前の分かっている昆虫を発表しよう。
○モンシロチョウがいたよ。
・白くて黒い点があったよ。
・キャベツの所にいたよ。
・たまごも見つけたよ。
・黄色のもいたよ。
○テントウムシがいたよ。
・ぼくも見つけたよ。
・あれ、点の数が違うよ。
・似ているけどちがうのかな。
○名前が分からないよ。
○知っている昆虫の名前から発表させ,できるだけ昆虫のようすを詳しく発表させる。
・形・大きさ・色・模様など相違点に気づかせる。
・板書
・カード
4 名前を調べるために必要なことを考える。
・大きさは大切だよ。
・色だってずいぶん違っていた
・模様もちょっと違うのがいたよ。
○昆虫の名前を調べるために必要なことを知らせる。
・形
・大きさ
・色
・模様
○各自,名前を調べる作業をとりかからせる。
・板書
5 調べてみよう。
・図鑑で調べてみるよ。
・コンピュータで調べよう。
○各自,名前を調べる作業をとりかからせる。 ・昆虫図鑑
・コンピュータ
【特徴から絞り込む】
【絞り込まれた画面】
6 調べて分かったことをまとめよう。 ○4月の頃に比べて昆虫が多く見つかったことをわからせる。
○同じように見える昆虫でも,大きさ,色,もようによってでそれぞれ違った名前があることをわからせる。
○昆虫を育ててみようという気持ちを起こさせるようにする。
 
○暖かくなって,たくさん昆虫を探すことができた。
○昆虫は大きさ・形・色・もようなどにちがいがある。
○同じような昆虫でもそれぞれに名前をもっている。
7 次時の学習を知る。
モンシロチョウを育てることを知る。
○モンシロチョウを卵(幼虫)から育てることを知らせる。  

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 昆虫の名前を調べる学習を計画したが,この時期,昆虫の数が増えるものと思っていたが,同じ種類の昆虫が多くこのソフトを使うことなく名前が挙げられていた。しかし,大まかな名前が多く,調べてみると「こういう名前なんだ」という声が聞かれた。
 このソフトを使用するにあたり,よく見かけられモンシロチョウを比較の基準として観察カードを作った。そのため児童は,よく観察することができソフトを使って名前を調べるための手がかりとして役立った。ソフト自体はこれまでコンピュータリテラシーでマウスの使い方を学習していたため,一斉指導で教えただけで簡単に活用することができた。

(2) 今後の展望

 簡単に使えるソフトであるために,理科室の隅に置くことで授業以外でもこれはと思った昆虫を簡単に探し出すことができるものと思う。また,もっと詳しく知りたいという児童については,ソフトの中で図鑑の紹介もされている。これを参考に図鑑を使いより詳しく調べることができるものと思う。これから,昆虫の種類の増えていく季節に入る。「おやっ」と思ったときに名前を調べることができると,さらに昆虫に対して興味を持って接することができるようになると思う。


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