1 漢字の広場

(小学校 第4学年 国語科)
相模原市立東林小学校 坊野 博範

2 本時のねらいと題材設定の理由

 本教材では,熟語の語構成を理解させることによって,熟語の働きを理解したり,熟語や漢字を習得したり,熟語を使用したりする力を伸ばそうとすることをねらいとしている。本教材で取り上げることがらは,
・反対の意味を持つ漢字の組み合わせによってできている熟語がある
・熟語を構成する漢字の一つを取り替えることによって反対の意味を持つ熟語ができる
・熟語を構成する漢字の意味(訓)を考えることによって熟語の意味が明らかになる
ということなどである。
 熟語をただそのまま覚えるのではなくて,その語構成の原理を知り,熟語をより構造的に認識する態度と能力を伸ばすことによって,熟語に対する興味・関心を高め,熟語使用や熟語習得をより効果的に行わせるようにすることができる
 そのために本時では,ソフトを活用して2字熟語の理解と3字熟語4字熟語への興味を高め,語構成の原理を考えることができるようにしたい。

3 利用ソフトの概要

(1) 利用ソフト

ソフト名 「漢字の森のロビンフッド・迷いの森の大冒険」
NECインターチャネル株式会社

(2) 利用ソフトの概要

 本ソフトは,2つのモードを選択してゲームを進めることができる。
 「スタート」をクリックするとストーリーが展開し,16個のゲームがランダムにで,5つのゲームをクリアするとエンディングになる。
 「ゲームだけ」を選択すると,自分のしたいゲームを選択し何回でもすることができる。このCD-ROM教材の構成は下記のようになっているが,この中の反対の意味を持つ漢字を組み合わせた2字熟語を中心に,三字熟語,四字熟語へと興味を持たせていくことができる。
 ・物を表す1文字の漢字 「ナマズおばさんの落とし物」「ぴょんぴょんシファカ」
「バクダン小僧と子分達」
 ・1文字で意味をなす漢字 「ジグソーの神殿」「草むらのアリンコ達」
 ・魚偏の漢字 「ペンギン君の魚釣り」
 ・数を数える単位の漢字 「数と単位」
 ・動詞 「人間になりたいカカシ」
 ・果物を表す漢字 「スケスケおばけ」
 ・書き順(物を表す漢字) 「書き順宇宙人」
 ・反対の意味を持つ形容詞の組み合わせ 「ロボットの電池」
 ・反対の意味を持つ漢字を組み合わせた2字熟語 「ひよこのペア」
 ・三字熟語 「トーテムポール」
 ・四字熟語 「カエルの川渡り」 「クイズ・漢字ショック」

4 コンピュータ活用の意図

(1) 利用場面

 反対の意味を持つ熟語を作ったり,熟語の意味を考える学習活動の後に,本教材を活用して熟語に対する興味を持ち,熟語を文章の中で使っていくことができるようにしていきたい。
 ゲーム性を帯びたソフトを活用した学習は子どもの興味をそそり,進んで学習に取り組んでいく。2字熟語,3字熟語の学習場面を楽しみ・協力してクリアしていく活動を通して漢字や熟語に対する興味や関心を高めていくことができる。
 場面構成は,ストーリー展開,ゲームのどちらでも自由に選択することができるので,授業の目的に添った活用がしやすい。

(2) 利用環境

使用コンピュータ NEC9821 V200 13台
NEC9821 Nr166 13台

5 本時の展開 3.4/4時

(1) 指導計画 4時間扱い

・反対の意味を持つ漢字や熟語に興味を持ち,反対の意味の熟語を調べたり,作ったりすることができる。 ・・・1時間
・熟語の意味を考えることができる。 ・・・1時間
・二字熟語や三字・四字の熟語に興味を持って作ることができる。・・・2時間

(2) 目標

・二字熟語や三字・四字の熟語に興味を持ち,ワークシートにまとめることができる。
・友だちと協力しあいながらゲームを進めることができる。

(3) 展開

子 ど も の 活 動 支 援 備 考
○今まで作った熟語を発表する。
・グループで作った2字熟語を中心に発
表をする。
・作成したワークシートをもとに,2字熟語の意味も含めて簡単に発表させる。 ワークシート
熟語づくりをしよう
○準備をする
・CD-ROMを準備し、コンピュータを起動する。
・2人のペアで学習するようにさせる。 CD-ROM
2人で1枚
○学習するゲームを聞く。 ・学習するゲームを知らせる。
ワークシート
○2字熟語のゲームをする。
「ひよこのペア」
「さすらいのマジシャン2」
・2人1組でゲームをする。
・組み合わせた熟語をワークシートに記録し意味も考えて書きいれる。
・2字熟語のゲームをすることを知らせ,ワークシートに記録していくように指示する。
 
○作った熟語を発表する。
・できた熟語と、考えた意味を発表する。
・それぞれが考えた意味を共有できるように、発表時に他の子の考えた意味を書き入れるように助言する。
ワークシート
○3字熟語・4字熟語のゲームをする。
「トーテムポール」
「カエルの川渡り」
「クイズ・漢字ショック」
・組み合わせた熟語をワークシートに記録する。
○作った熟語を簡単に発表する。 ・違った熟語は,正しい熟語に訂正をしていく。  
○次時の予告をし、後片づけをする。
CD-ROMを集める。
机上を整理する。
   

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 4年生の子どもは,漢字を読むことや書くことに対して教師が考えているほど漢字を嫌っていない。アンケートではむしろ漢字を好きと答えている子の方が多かった。漢字を嫌っている子は,書けない・難しい以外に払いや止め,書き順などに抵抗を感じているようである。
 熟語の学習の後にこのソフトを活用して学習をしたが,子どもたちはゲームを楽しむのと同時に,「漢字を組み合わせる」「楽しく覚えられた」「熟語を覚えた」「一生懸命進んでいった」「熟語のことが全然わからなかったけど,勉強してたら楽しかった」などの感想を書いている。また,「熟語をやってみて漢字が大事だと思いました。それは読み方が同じでも意味が違うことがあるからです」というように熟語や漢字の意味の大切さを再認識し,学習に一生懸命取り組んだ様子が見られる。

(2) コンピュータ利用上の成果

 この教材を活用したことによって次のような成果を上げることができた。
 ・熟語や漢字への興味を高め,意識付けをすることができた。
 ・熟語や漢字の意味を考え,再認識することができた。
 ・漢字が嫌いな子でも進んで学習することができた。
 事前のアンケートでは,熟語について3年生までに学習をしてきたが,熟語に対する興味はほとんど持っていないし,意味も十分に理解していない子が多かった。事前調査では,知っている2字熟語は57字,3字熟語は12字,4字熟語は15字という結果であった。学習終了後の調査では,2字熟語は148字,3字熟語は17字,4字熟語は22字となり,子どもが熟語の学習に興味を持って取り組んだことがうかがえる。
感想
・この前まで難しくて嫌いだった。これをやって漢字が楽しいと思えたからよかった。
・勉強が中心だったが,物語やゲームになっていたから楽しくできた。熟語や漢字が覚えられてよかった。
・熟語のことが全然わからなかったけど,勉強してたら楽しかった。
・とても熟語の勉強になったし,クイズで楽しく勉強できた。


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