1 「楽しいおやつ」

(小学校 第5学年 家庭科)
狭山市立広瀬小学校 仲川 隆雄

2 本時のねらいと題材設定の理由

 これまでに児童は,1学期に野菜サラダ作り,2学期にたまご料理作り,3学期に野菜の油炒め作りを学習してきた。今回の調理実習は,これまでと違い,三度の食事に関わらないおやつ作りである。三度の食事以外に飲食するいわゆる間食の意味合いは,健康維持の一環として食事を補う要素と人間関係をなごやかにする団らんの要素として心の健康維持の二面がある。高学年である児童は,遊びの合間や家庭学習の合間に生活の中でおやつを食べることが多くなっている。おやつ作りは,気持ちよく生活するための一つの題材として間食の重要性を理解し,自分で工夫できることの一つそして楽しみながら実践できる分野である。
 本時は,おやつについての意義や栄養,選び方の観点で見直した後,自分で栄養を補うためや団らんを考えたおやつ作りの計画をすることを目的としている。おやつの役割を考え,適切な選び方や食べ方を工夫したり,協力して作業するための計画作りを目標としている。その際,グループにより自分達で何をつくるか,どう作るのか,何を使うのかなど計画がうまくできない場合,新しいアイデアを見つける手段としてコンピュータを利用していく。

3 利用ソフトの概要

(1) 利用ソフト

「ちゃレンジレストラン」 CD-ROM 版 (NECホームエレクトロニクス株式会社)

(2) 利用ソフトの概要

このソフトは,全体メニュー画面で以下のような選択の画面が出る。
1) 料理のジャンルで選ぶ。
肉料理,魚料理,野菜料理,卵料理,
ごはんめん,お菓子デザート,その他の料理
2) 電子レンジ料理から選ぶ。
ベストセレクション,3分でできちゃいます,
手早く美味しく朝ごはん,手早く美味しく昼ごはん,
手早く美味しく晩ごはん,あっという間にスナックおつまみ,
手間をかけずにお菓子デザート,特別な日のスペシャルメニュー,
あの手この手裏技クッキング
3) オーブン料理から選ぶ
 この中からどれかを選択すると料理名が表示され,それから具体的な料理を選ぶ。具体的に選んだ一つ一つの料理では,出来上がりの写真,材料,作り方が表示されるようになっている。また,一つの料理がいくつかの項目の中にだぶって入っているので,いろいろな選び方で選べるようになっている。印刷は,別に専用にファイルされているものから読み込んで行うようになっている。

4 コンピュータ利用の意図

(1) 利用場面

 このソフトの利用場面は,内容から,調理実習で何をどんな風に,どんな材料でつくるのかを調べたり,計画したりするところである。今回は,自分の経験をもとにグループで話し合い,その段階で必要に応じて活用することとした。小学生の場合まさかというようなものまで料理の作り方がわからなかったり,意外な材料がわからなかったりする場合があるからである。つまり,
1) 何を作るかわからないとき,
2) 作るものは決まったか材料や分量がわからないとき,
3) 作り方がわからないとき
必要によりソフトを活用し,話し合いの活性化を目指した。
 従ってこのソフトを活用しないグループもあった。

(2) 利用環境

使用パソコン NEC PC-9821Cx13 2台

5 本時の展開

(1) 指導の計画

1次 おやつの選び方ととり方 2時間
おやつの役割とおやつのとり方
おやつの選び方と作ってみたいおやつ(本時2/2)
2次 おやつのくふう 2時間
おやつ作りと楽しいひとときの工夫

(2) 目標

・簡単に作ることができるおやつ作りを知り,実習の計画をたてることができる。
・楽しい仕事やなごやかな試食のために,協力して計画作りができる。

(3) 展開

学 習 活 動 活動への働きかけ 準備・資料
簡単に作れそうなおやつ作りの計画をたてよう。
 
1 作りたいおやつを発表する。
・お好み焼きを作りたい。
・たこ焼きを作りたい。
・市販のものに少し手を加えるもので,簡単に作ることができるものであることを確認する。  
2 グループごとに自分たちで作りたいおやつについて話し合う。
・作り方と手順、材料と分量、費用、材料の揃え方、盛りつけ方の工夫、いただき方、用具、役割分担について話し合う。
・お好み焼きを作ろう。
・白玉団子を作ろう。
・フルーツ白玉を作ろう。
・クレープを作ろう。
・自分たちでできそうな範囲で考えさせる。
・アイデアがうかばないグループ,作り方や材料がわからないグループには,コンピュータで支援をする。
・条件として,公平に持ち寄る。費用は安価にする。市販のものそのままでなく,簡単に手を加える。などを確認する。
・いろいろなおやつの作り方の資料
・コンピュータ
・実習計画表
3 グループで決まったことを発表しよう。
・他のグループの発表を聞き、自分達のグループの参考にする。
・他のグループの発表を聞いて修正してもよいこととする。  
4 次時の確認をする。
・身支度、準備、練習など次時に落ち度がないよう確認する。
・実習の準備の確認,家庭での事前練習などを勧める  

6 今後の実践のために

(1) 利用場面の評価

 今回8つの班のうち2つの班がこのソフトを利用した。一つの班は,何を作るか話し合いが進まずソフトを検索して,プチフルーツかんを作ることにした。もう一つ班のは,たこ焼きを作ることに決まったが,細かい材料と作り方で子供同士のくい違いがあり,ソフトや図書で調べたが見つけることができなかった。
 子供達が自分たちで実習の計画を立てるとき,作り方がわからないことや児童同士でくい違いがあることが多くある。これは,家庭ごとの違いである場合や,家庭でよく見ていなかったために,うろ覚えだったりすることから起こると考えられる。また,私のように教師も知らないことも多く,図書室などでも料理の本は少なく,あっても調べたいことが載っているとは限らず,これまで困ることも多かった。しかし,このようなソフトがあると今まで作ったことのないものでも作らせたり,工夫させたり,調べさせたりする上で時間短縮にもなり,とても有効であると考える。

(2) コンピュータ利用上の成果

 このソフトにより,今まで市販のおやつしか知らなかったのに自分で作れることがわかり,実際に作ることができたり,何を作ったらよいのか,アイデアが浮かばないグループなどは,話し合いの元にすることができたり,とても利用価値が高かった。今後一般には当たり前と考えられる料理も含めて,料理の品目を増やすことや一つの料理のバリエーションを豊富にしていくことが望まれる。この際ソフトのタイトルに反することになるが,電子レンジでの調理法とレンジを使わない調理法を併記してほしい。また,画面のハードコピーと一つ一つの料理の作り方の印刷がその場でできるようになるとよい。また,これまでと逆に料理名や主要な素材から料理が見つけられるような機能もあるとよいと思う。いずれにしても,いろいろな意味でこれから必要性が増してくるソフトであろう。


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