4.1  Eスクエアホームページの成果と課題

 

4.1.1 はじめに

 教育分野におけるインターネット利用環境の拡大に備え、これからインターネットに接続し教育利用を始めたい学校や、日常的にインターネットを使っている学校を含む教育関係者および教育に関連する企業やボランティア(以下、利用者という)に対して、授業で役立つ情報を提供したり、利用者が相互に交流できる仕組みを提供する場として、「インターネットの教育利用に寄与する教育用ホームページ」を開設し、その利用と運営管理を通じて、インターネットを利用した教育に関する情報交換やコミュニケーション、技術支援の有効性と課題について調査した。

4.1.2 実践状況

(1) ホームページの開設

 インターネット教育利用のための教育用ホームページ(Eスクエアホームページ)のあるべき姿を探るため、以下の方法により調査を行った。

(a) プロトタイプ・ホームページの作成

 以下の手順に従い、プロトタイプ・ホームページを作成した。

 ・教育用ホームページの機能、要件の抽出作業

 ・コンテンツの整理・分類・メニュー化作業/設計作業

 ・ホームページの制作(コンテンツ検索データベース機能を含む)

 ・稼動試験

 ・リンク先との折衝作業

(b) ホームページの運営

 プロトタイプホームページを、インターネット上で平成11年5月に一般に公開して、運用を行った。また、プロトタイプホームページの一般利用者からの意見を受け付けるためのメールアドレスを設置し、意見を受け付けた。さらに、広報用のパンフレットを作成し、情報処理振興事業協会、財団法人コンピュータ教育開発センターの各事務所で配布して、利用者の獲得に努めた。

 Eスクエアホームページを設置したWWWサーバは、外部からのアクセスが厳重に管理されている情報処理振興事業協会のファイアウォールの内部に設置した。

 ページの管理については、Topics/事務局からのお知らせ等の更新の頻度が早いページや、学校企画や協働・地域・先進企画の情報など、随時情報が更新されるページについては、CECの担当者が情報を作成し、ファイルを、http://www.cec.or.jp/ にて管理した。

これらのファイルは、ミラーにより、IPAのサーバに定期的に、転送されるようにした。

その他のページについては、IPAのサーバの管理者が管理した。

(2) 委員会の設置

 Eスクエアホームページに求められるコンテンツやページ構成、運営方法について検討し、Eスクエアホームページがより有効に活用されるためのあるべき姿を導き出すことを目的として、学識経験者および学校の現場で先進的な取り組みをしている教諭からなる委員会を組織した。

 委員会の検討により調査内容を検討し、各調査内容について、以下の情報源からデータ、感想、意見を収集し、委員会において結果を分析、評価した。

 ・委員会内部での討議

 ・モニタメーリングリストでの意見収集

 ・ホームページ上でのアンケートによるデータ収集

 ・プロトタイプホームページのアクセス状況などの運用データ

(3) メーリングリストの設置

 教育用ホームページに関連する情報交換を行う場として、メーリングリスト

 「あいみての(aimiteno@cec.or.jp)」を設置した。

 ・メンバー:756名(2002.3.11現在)

(4) メールニュースの発行

 事務局からの情報発信としてメールニュースを発行した。

 ・発行回数:20回/年

 ・内容:事務局からのお知らせ(公募等)、官庁等の教育情報、イベントのお知らせ

 ・配布対象:1,337名(2002.2.27現在)(所属内訳:教職員関係が約70%、企業・

       団体関係が約30%)

(5) アンケート結果

 平成12年度及び13年度に利用者を対象にホームページに関するアンケートを

合計4回実施した。回答者は延べ322名であった。

回答者の所属内訳を以下に示す。

小学校       :76名(24%)

中学校       :63名(20%)

高等学校      :58名(18%)

特殊教育諸学校   :14名( 4%)

自治体・教育委員会 :40名(12%)

教育関連企業・団体等:71名(22%)

アンケート結果を以下に示す。

〇全体評価について            〇情報量について

  大変良い   : 38名(12%)    大変多い     : 24名( 8%)

  良い     :172名(53%)    多い       :136名(42%)

  普通     : 95名(30%)    普通       :129名(40%)

  あまり良くない:  9名( 3%)    やや少ない    : 27名( 8%)

  良くない   :  0名( 0%)    少ない      :  5名( 2%)

  無回答    :  8名( 2%)    無回答      :  1名( 0%)

〇鮮度(更新頻度)について        〇有用度について

  大変多い   : 10名( 3%)    大変役に立つ   : 44名(14%)

  多い     : 80名(25%)    役に立つ     :187名(58%) 

  普通     :193名(60%)    普通       : 75名(23%)

  やや少ない  : 35名(11%)    あまり役に立たない: 15名( 5%)

  少ない    :  4名( 1%)    役に立たない   :  1名( 0%)

  ホームページ全体の評価としては良い評価であった。

(6) トップページのアクセス数

 トップページの週別アクセス数を以下に示す。

  
 全体としてアクセス数は増加している。

4.1.3 成果

 ・実践的な研究の蓄積

  Eスクエア・プロジェクトは、ホームページで多くの実践的な研究を行い、成果を広く公開してきた。これは、これまで積極的に取り組んできた教員の強力な支援になったと思われる。また、今後、はじめて問題に直面する教員に対して、指針を与える準備を整えることができた。

 ・人的交流の支援

  100校・新100校プロジェクト当時から、プロジェクトに参加する教員等が、相互に交流することを支援してきた。Eスクエア・プロジェクトでは、さらにその範囲を広げることができた。100校プロジェクト当時は、「限られた人が参加している」という印象も否めなかったが、Eスクエア・プロジェクトを経過して、それらの人が「ほんの一部」といえるほど、人的ネットワークを広げることができた。

 ・老舗的な存在になれた

  100校プロジェクトから、継続的に情報教育を支援してきたページとして、多くの人に、認められたと思われる。多くのページから、代表的な教育プロジェクトとして、リンクされているようである。

4.1.4 課題

 ・総合情報を目指しすぎた

  当初、Eスクエア・ホームページを訪れば、教育に必要なすべての情報が集まっているということも目指した。しかし、Eスクエア・ホームページではポータル的な目的は、あまり果たせずにきた。

 これは、検索エンジンが非常に普及したことと、利用者は、自分に有用な情報を求めており、ポータルを求めているのではなかったということも理由の一端と思われる。

 ・実践記録の再構築が望まれる

  100校プロジェクトから、Eスクエア・プロジェクトまで、多くの活動が行われ、報告等が残されてきた。けどれも、情報量の多さと、一部、時代的に古くなってしまった実践も混ざっていることもあり、情報教育の経験の浅い教員にとっては、せっかくの情報を生かせない可能性もある。これまでの実践活動を総まとめし、そのような教員にとって、直接役立つような情報を抽出して、提供することが望まれる。