生きてはたらく共同学習

東京都江東区立南砂東小学校  

 

 環境の学習は,ある意味では情報活用の学習でもあるといえる。算数のような模範解答がないため,多くの資料にあたる中から,よりよい方策を探っていくことになる。情報量が少ないと,単純に「よくないことはやめよう」という一方通行的な見方や考え方に陥り結論づけてしまうことも多い。このようなときにインターネットやテレビ会議システムの活用は,環境や立場の異なる地域の人々との学習を可能にし,子どもたちの視野を広げるのに効果的である。さらには,学習で得たものを自分だけのもので終わらせることなく,身近な人々に働きかけ実践に移していくことが重要であると考える。

 このような人と人との交流を通して,多くの人たちの考え方に触れ,物事を様々な方向から見る力が育つと考える。そして,それらを踏まえて,自分はどうあるべきか,よりよいあり方を見つけ行動しようとする子どもを育てていきたい。

 6年生の子どもたちは昨年度,石川県の徳田小学校,鳥取県の賀露小学校とお米作りを通して,消費者と生産者という異なる立場から共同学習を進めた。その中から,環境や立場による考え方の違いに気づき,物事は一方向だけではなく,様々な方向から考え総合的に判断するものであるという見方や考え方が育ってきた。また,自分の思いや願いを相手に伝えることの難しさに気づき,人と人とのコミュニケーションの大切さにも目が向くようになってきている。これらの力は,共同学習を柱とした双方向の学習から生まれた大きな成果であるといえる。

 今年度は,自分たちが学び育ててきた考えをまわりに広げ伝えていく実践的な活動を進めることにした。徳田小の子どもたちとは「ともに行動する仲間」としてテレビ会議などを通じて作戦を練っていくことにした。学校内の縦のつながりを密にする交流活動,学校と学校を結ぶインターネットを活用した交流,地域のボランティアや行政の方と連携した環境意識の高揚などを子どもたちと共に押し進めていきたいと考える。最終的には学校の授業という枠を飛び越え,地域や行政をも感化するような社会活動にまで発展できればと考える。ネットワークはその過程で最大限に活用していきたい。単元名にある「われら南砂公園課」というのは,学校をキーステーションとして,外からの情報を受けると共に,そこから子どもたちが地域に飛び出し活動していくという意味でもある。