子どもインターネット放送局

丸子町立丸子中央小学校 

 

 マイクロソフト社の「ネットミーティング(Microsoft NetMeeting)」を用いて「仮想的な社会見学」,つまり,児童が教室にいながらにして社会の現場の状況を知り,そこで働く人々の生の声を聞く機会を持つことが,この「子どもインターネット放送局」プロジェクトの趣旨である。

 テレビ会議システムのように大人数が自由に交信できるようになっていると,より効果的だが,なにぶんにも予算の面でそこまでは無理なため,子どもたちの将来は,きっとそうなっていくであろうという予想のもと,今回は一回線を有効に利用する手段として,リポーターによるインタビュー形式を取ることにした。

  今後,このシステムが学校役場間に敷かれることで,必要なときにリアルタイムで情報収集が可能になってくる道を開くことができるものと考える。

 この学習ではコンピュータとインターネットを次のように活用した。すなわち,小学校内のパソコン教室に設置されたパソコンと,丸子ふれあいステーション内の福祉センターのパソコンとをインターネットを経由してつなぎ,この2台の間でテレビ電話を行う。小学校側のパソコンは教卓に設置されており,その映像と音声はプロジェクターと拡声装置を通して教室内の児童すべてに提供される。

 一方,福祉センターではクラスから選抜されたインタビューチームが携帯型パソコンを操作する。携帯型パソコンは超小型のCCDカメラとマイクを装備しており,そこで捕らえた映像と音声を教室へと伝える。また,この携帯型パソコンはケーブルではなく無線LANによって福祉センター内のLAN(構内ネットワーク)につながっているため,アクセスポイントから20m程度の範囲内で自由に移動することが可能である。福祉センター内にはアクセスポイントを1階と2階にそれぞれ1箇所ずつ設置し,センター内部をかなり広範にカバーできるようにした。

 町の情報館に各班の代表質問者計6名を連れていき,班ごと,学校のパソコン室と情報館の間でのネットミーティング練習を行う。質問の仕方,伝達の仕方の練習を行った。

 役場福祉センターの一室に今回は町の福祉課,土木課,消防署の代表の方に集まっていただき,そこで,各班代表が質問し,それに答えてもらい,それを聞いた,学校で控えている班のメンバーが,再質問をするという方法で行った。

 持ち運びしやすいように,カメラ内蔵のバイオノートを使用して行ったため,音声をオープンで行うと音量が小さくなってしまうため,インタビュアーが,ヘッドセットをつけて送受信を行った。したがって,直接学校にいる子どもたちの質問が役場の方に届かなかったのは残念だったが,質問すべき内容については,一通り,学校で待機している子どもたちも満足する情報のやりとりができた。

  今回は,初めての試みで役場の学校教育課,情報課と長野大学,そして本校の3者合同のプロジェクトとなった。役場で計画の推進,運営の中心になっていただき,ネットミーティング関連の技術的なところは,長野大学の下野先生が担当して下さった。こういった恵まれた環境の中で進められたおかげで,ネットミーティングを,こういった情報交換の手段として,学校が学習として利用できるという可能性が今回示されたように思う。