小2郵便局(メディアキッズ)を核とした生活科での情報機器の活用

美杉村立太郎生小学校 

 

 小学校の低学年でのインターネット利用はどの程度可能なのだろうか,そのことを実践的に考察したいというのがこの研究の意図である。

 2年生の児童は,読める漢字は限られている,ローマ字は習っていない,生活経験も不足している。こんな状態の子どもたちではあるが,家ではほとんどの児童がビデオゲームをしている。またハードへの抵抗は少ない。

 単にマウスを使ってのお絵かきに終わる情報教育ではなく,電子メールやフェニックスを使った学校間交流の可能性を探りたい。

 低学年ということなので,担任教師の積極的な関わりが不可欠だ。休み時間に自由にやりなさいということではなく,授業時間を確保して,コンピュータによる交流のおもしろさを低学年なりに感じられるような部屋にしたいと考えた。

 6年生の子でもローマ字表は欠かせない。初めはそれを見ながら打っている。それでは2年生もローマ字表を見ながら打ったらいいのではないか。無理がないかどうか,そこは子どもの様子を見たらいい。

 このように,授業との関わりを持たせたので,生活科で学んだことをそのまま書き込むようになった。ともすると,掲示板では趣味や好きなタレントのことが話題になりやすいが,担任が密接に関わり授業の一環として電子メールを利用すると,話題が限定されてくるので,自然条件の違いにも必然的に目が向く。例えば,「沖縄ではピーナッツを収穫した」とか,「小天小(熊本)ではみかんの取り入れを手伝っている」「ケナフジュースは太郎生小でも宮ケ瀬(神奈川)でも可能なのだな」などというように。以下はフェニックスでの一場面である。

太郎生小:「6年生の皆さん,ケナフで作って紙を見たことがありますか。ある人は手を挙げてください。」

香良洲小:(一人も挙手しない)

太郎生小:「では,ケナフで作った紙を見たいと思う人は手を挙げてください。」  

香良洲小:(多数の児童が挙手する)  

太郎生小:「それでは今から,ケナフで作ったハガキを届けますからね。すぐに届けるよ。そーれ」  

 事前にケナフの紙を,香良洲小に届けておき,フェニックス交流の最中に取り出すという演出だった。双方の児童に強いインパクトを与えた。

 世の中はあげてインターネット時代である。しかし,小学校の低学年ではどこまで可能であるかということが今回の主たる課題であった。子どもたちだけの自由な取り組みはさすがに難しいが,授業と一体化した形でインターネットや他の情報機器を使えば,十分に役に立つ。とくに小規模校にとってはたいへんメリットが多いと,実感している。

 交流内容について事前に打ち合わせしたり,発表方法を準備するようなことはしなかった。交流そのものに意味があるのではないからである。