ビデオクリップによる体育教材作り

京都市立朱雀第二小学校 

 

 体育の「わざ」の学習には,視覚に訴える教材が有効であり,よくビデオが使われる。ビデオテープは巻き戻しが要るが,コンピュータの上で扱えば任意のファイルがくりかえし自由に調べられる。

 この特性を利用して,動画のクリップファイルを作り,それをブラウザの上で参照できるものに仕上げる。 この教材作りに当たって,いろんな学校の子どもと先生たちに得意な,あるいは興味のある領域のビデオを撮ってもらい,ftpを通じて送りあってWebから参照できる資料にしあげ,共同利用・共同研究する。ここにインターネットが生きると考えている。

 そういう意味で広く体育教材ビデオが普及しているが,ユーザの側からすると,ビデオテープは戻しすぎたり送りすぎたりしがちで段取りがよくないし,テープを傷めてしまうことすらある。この点で,ポイントを絞ったビデオ教材の場合はAVIQTMPEGなどのファイルにしてコンピュータ上で再生するようにした方がはるかに使い勝手がよいのではないかと考えている。

 ところで,これらは「教材研究」という視点から考えたものだが,児童にとって,自分たちの姿そのものを使ったものであれば,教材としてより身近なものになり,取り組みへの意欲向上につながるのではないだろうか。

 98年度のビデオファイルを使った重点企画のひとつに大津市立平野小学校の「ビデオクリップによる教材制作プロジェクト」があった。デジタルカメラの作る短い動画クリップを送り合って教材のデータベースにしようという企画で,多くの教科・領域にわたって素材が送り合われた。

 参加各校でビデオカメラ( 8ミリ,VHS,デジタル等)を用意して,任意の体育の時間に教材化したいビデオを撮影する。 けれども,ビデオファイルは一般にかなり大きなサイズになるので,送信が負担になる学校についてはMOなどのメディアに記録して郵送してもらい,大容量の回線が利用できるところから基盤センターにある回収用ディレクトリへ送信するようにする。

 回線負荷はネットワーク管理をするものにとっては常に頭の痛い問題だが,こういうかたちで動画リソースは手元にあり,話し合いのテーブルとしての掲示板がインターネットの上にあるというような形であれば,ダイアルアップ接続での学校からも参加しやすいのではないだろうか。

 ビデオクリップという素材自体は共有・共用できるリソースとして考え,それに対するリンクを利用者が各自で自由につくることになれば,インターネットの上では敷居なく自他のサーバ内のリソースを使いあいながら,学校・学級の実態に合わせて柔軟に教材作りが可能になる。