ネットワークを活用した総合学習

箕面市立萱野小学校 

 

 総合学習は,学習を互いに関連づけることにより意味のある実際的なものにしていくという「学習のネットワーク」のかなめとなるものであり,「地域や社会のネットワーク」に支えられてこそ成立する。そして,そのようなつながりの幅を広げ,新たな可能性を生み出していくものが「コンピュータのネットワーク」である。

 自分たちの地域や学校について調べ,そこに込められた人々の願いを共有していこうとする総合学習「伝えよう!! 萱野・かやの・カヤノ」は,国語科と社会科を基盤としながら,人間関係づくりとの取り組みと関連づけて展開される。学習者と学習者との伝え合いから,メールボランティアとの伝え合い,さらには,遠く離れた地域との伝え合いというように,総合学習に組み込むネットワークを拡げていくため,コンピュータを活用した。

 子どもたちの個性を大切にしながら,それを十分に育んでいくためには,一人ひとりの興味や関心と結びついた,意味のある学習活動が必要であろう。

 総合学習を行動的で実際的な学習として設定し,子どもたちにとって意味のあるものとしていくためには,それが地域や社会とどこかで結びついていくことが必要であると思われる。それは,子どもたちが生きる地域や社会のなかから課題を見出すという場合もあれば,子どもたちの身近な事物についての課題が地域や社会の課題へと広がっていく場合もあるだろう。いずれにせよ,その学習の過程において,地域や社会のフィールドワークや,さまざまな人々との出会いの場を数多く設定していきたいものである。

 「伝えよう!! 萱野・かやの・カヤノ」は,3年生の「ランラン探検隊」が自分たちの学校や地域について調べるなかから,そこに込められた人々の思いや願いに出会い,それらを伝え合うことによって共有していこうとする学習活動である。この年間を通した一連の学習は,社会科における地域学習,国語科における「伝え合う力」の育成,さらには,人間関係づくりの取り組みなどを関連づけた総合的な展開になっている。

 人間関係づくりの取り組みとして,4月の学年開きや5月の友だち月間に,互いの「よいところさがし」,「私らしい言い方」の学習を設定した。社会科では,3年生全員で校区のレンゲ畑へ探検に出かけ,そこには市立病院の入院患者の目を楽しませるという願いが込められているということから,地域の学習をスタートさせた。国語科では,互いの意見や作品を電子掲示板や付箋紙などを活用して伝え合うという活動を設定した。

 1学期の学習をもとに,夏休みには,自由な調べ学習を展開した。そして,その成果を,電子メールを使って箕面市メールボランティアと伝え合ったのである。国語科では,説明文教材から読み取ったことをさまざまな方法で表現するという学習に取り組んだ。そんなとき,萱野小学校の卒業生から,「学校や地域のようすを教えてほしい」という手紙が届く。先輩たちにどんなことを伝えるのか,それぞれ,興味ある場所やことがらについての調べ学習を開始した。

 自分たちの地域や学校についての調べ学習を,学習者一人ひとりの興味や関心を大切にしておこなうことにより,多様な課題が浮かび上がってきた。さらに,その重なりや異なりを分かち合うことによって,互いの学習の質を高めていったように思う。このような学習をメールボランティアや卒業生といった学校外の人材との実際的な伝え合いを交えて展開できたのは,コンピュータネットワークの力によるものであったといえよう。