電子会議システムを利用した共同学習

和歌山大学教育学部附属小学校 

 

 子どもたちの周りには,目で,手で,足などでじかに感じ取ることのできる地域の生きた情報がある。これらの情報を,電子会議室を利用して提供しあい,地域情報ネットワークデータベースを作ることを目的とした。このデータベースづくりの過程で,情報提供能力,情報活用能力,表現力などを養うこと,また,ネットワークを使ったコミュニケーションそのものの楽しさを味わうことなども大切にしたい。

 電子会議室はFCISFirst Class Internet Server:東海クリエイト)を利用して構築した。今回利用した電子会議室は,グラフィカルなものにカスタマイズした(「地域とくらし」:メディアキッズ,日本各地の学校の子どもたちが参加しているネットワーク,「きのくにわいわいネット」:和歌山県内の学校が参加しているローカルネットワーク。本校が開設して,中心に運営している。)。この電子会議室は,インターネットのホームページに公開された掲示板のように,誰でも書き込むことができたり電子会議室に入ったりすることはできない。つまり,決まった人しか入ることができないクローズドの会議室になっている。子どもたちにとっては,支援者に見守られた中での活動であるから,安心して活動できると言えよう。

 FCのサーバー機を設置している学校については,自校でIDの発行ができる。インターネットに接続する環境があってもFCサーバを設置していなかったり他校が運用しているサーバーに入るためのIDが発行されていなかったりすると,FCで作られた電子会議室へは入ることができない。本校の交流校である和歌山県高野町立高野山小学校は(特に,4年生は校外学習でオフラインの交流をしている),それに当たる学校である。そこで,交流校として,FCISを利用してネットワーク上でも交流をしていくために,本校情報部会や教官会議を経て,期限付きで高野山小学校の4年生全員と担当者に個人IDを発行することになった。

 本校が運営しているFCIS上の「きのくにわいわいネット」には,本校,和歌山県高野町立高野山小学校,和歌山県熊野川町立熊野川小学校が参加している。

 今年度,教師間で話し合って子どもたちに下ろしていこうというふうになったことは,気象情報や学校(地域)のニュースだ。気象情報や学校(地域)のニュースは,日常的なテーマであることと,その情報が生きたデータベースになることが特徴だ。ネットワークを使って,子どもたちが楽しんで主体的に会議室を開いて交流をしていくための要素のひとつに,「日常性」があげられる。学習の流れをきちんと合わせて交流学習をしていこうというのではなく,ネットワークを使って楽しく交流することそのものを目的としたのも,子どもたちが主体となって活動していくことを願っているからだ。また,この活動を通して,生きたデータベースを作っていくということを意識させていった。文や絵,写真などを用いながら分かりやすく伝える,公開されたデータベースになっていくことなどを子どもたちに考えさせていくことで,情報提供能力,情報活用能力,表現力などを養おうとした。