広い目で世界を知ろう "International Exchange project

                     福岡市立早良小学校 

 

 今,新教育課程の中で小学校でも国際理解教育が取り扱われてきている。しかし,図書室の本やインターネットを使った資料だけでは,児童が主体になった教育活動は展開しにくいと考える。そこで,海外にすんでいる人たちに直接メールを送ることができれば,その国の実際の声を聞くことができ,児童が疑問に思ったことなどを直接海外の人に聞くことで,新鮮でより主体的・意欲的な活動ができるのではないかと考えた。しかも,その国の文化,習慣の違い,気候にあった暮らし方の工夫など,国際的な視野に立ったものの見方・考え方を培うことができるのではないかと考えた。 

 この企画を実施するにあたって,メール交換ができる環境を作らなければならなかった。コンピュータ室ではなく,教室にメール交換のできるパソコンが必要だと考えたので,校長の許可を得て5,6年生の教室にコンピュータを置いた。電話回線はコンピュータ室のネットワークケーブルを教室まで延長して接続することにした。

 次に海外の学校と連絡を取り,メール交換のできる相手を捜さねばならなかった。私自身海外にメールを送るのはこれが初めてであり,見知らぬ人にメールを書くのは大変勇気のいることであった。世界中の学校のホームページを見ていたが,英語で書かれてあるページを児童に見せても読むことができないので,海外の日本人学校のホームページを見つけだし,読んでいった。

 日本人学校に交流の申し込みをしたが,今は日本人学校の方が日本の小学校からたくさんのメール交換希望があり,対応しきれないという返事であった。

 現在,国際交流という目的で日本人学校に交流を希望する学校が急増している。しかし,ほとんどが小規模で,しかも日本と同じ教育課程を実施している日本人学校にとって,いくつもの小学校と交流することは事実上不可能である。むしろ,現地校と英語を使って国際交流をしていく方が,簡単に相手校を見つけだすことができる。

 現在は翻訳ソフトの精度もかなり向上してきているので,児童の書いた作文などは翻訳ソフトを使って英語に直せばだいたい通じるようである。

 本校でもたくさんの日本人学校に交流希望のメールを出したが,ほとんどの日本人学校で受け付けてもらえなかった。そのような中で,ロンドンの日本人学校,ロシアの日本人学校,コタ・キナバル日本人学校と交流できることになり,メール交換を開始できることとなった。その後も私たちは交流相手校を探し続け,日本人学校だけではなく,世界中のホームページを閲覧し,国際交流を希望している学校がないかを探していった。そのようなとき,アメリカのある小学校のホームページにe-palsというシステムで交流しているというような内容のことが載っていた。

e-palshttp://www.epals.com)とは,世界中108カ国,およそ2万人の先生方が登録しており,教室と教室を結ぶパイプ役として,希望するペンフレンドを紹介してくれるホームページのことである。

 現行の指導要領では,時間的に教科の学習を除外して総合的学習の時間を設けることは困難である。そこで,教科の指導目標との関連づけを行い,国際交流を進めていくことができればよいと考える。