日本の方言をテーマにした学校間交流

天水町立小天小学校

 

 本やホームページによる各地域の方言調べは,言葉の違い,ひいては文化の違いなどを知る点でおおいに価値はある。しかし,それにとどらまずメール交換によってそれぞれの地域の方言を,文字のみならず絵や音声で紹介しあうことにより,暮らしの中の生の会話を知り,それぞれの地域特有の雰囲気をも味わうことができると考える。特に同じ物語をお互いの地域の言葉で紹介したり,学習した様子を発信したりして話し合ったりするとその成果はさらに大きくなるのではなかろうか。また,その話し合いの中から,分からない言葉があってどうしても共通語が必要だということや,普段が方言の方が話しやすいし感情がよくこめて話すことができるなどのよさが分かってくると考える。このように,進んで情報交換し,自他のよさをみつけることができる子どもの育成を目指して,インターネットを活用しての学校間交流を進めていく。

 他の地域の子どもたちが,日常的に使っている方言に文字と音声で触れることにより,方言のもつ独特の雰囲気も味わうことができ,言語についての関心を高めることができる。

 それぞれの地域の方言を発表しあうという課題のもとに,聞き取りや本などで調べたことを,文字と音声を使って報告しあう。他の地域の方言に触れることで,共通語の必要性に気づき,自分たちの地域の方言のよさを実感できる。そのことが,他の地域の方言のよさを認めていくことにつながると考える。また,自分たちが送ったメールへの評価を受けることで,喜びや満足感を得ることができるし,相手のメールに見られる表現や内容のすばらしさに目を向けていくことで,友達のよさに気づいていくことができると考える。

  全国の小中高校[含養護学校]100校を結んだコンピュータネットワークであり,電子メールを中心として共同学習や交流を行ったりしている。今回は特に「ことば」の部屋の活用をしてきた。28800bpsで接続している。

 ・自分たちの地域の方言を積極的に祖父母に聞いたり,近所の人に尋ねたりたすることができていたし,インターネットを使って他地域の方言などを調べたり,遠くに住んでいる親戚の人に電話で聞いていたりしていて,主体的に学習しようとする態度を随所にみることができた。

 ・ネットワークを活用したことで,福井県・和歌山県・神奈川県・山口県などから方言の情報が,文字や音声で寄せられた。自分たちが発信したことをきっかけに,多くの情報が集まったことに子どもたちは,とても喜び学習意欲もたいへん高まった。特に,音声で聞く場合には,臨場感があり,文字だけの情報よりも方言のもつ雰囲気を味わうことができた。

 ・それぞれの学校の事情により,授業の時期がずれてくることもあったり,子どもたちが発信しても,返事が返ってこない場合に意欲をなくしてしまうことがあったりしたので,教師間の打ち合わせなど計画的な事前の準備が必要となるし,意欲をなくした子どもへの教師の支援も必要である。

 メディアキッズ(http://www.mediakids.or.jp/)は,自分の興味や趣味などに合わせて自由に学習,交流できるシステムを確立している。この中の「こんにちはプロジェクト」には「みんなでわいわい」や「アニメとゲームの部屋」などがあり初心者の人が気軽に参加できるようになっているし,「わいわいプロジェクト」には「かんきょうの部屋」や「地域とくらし」の部屋などがあり,継続的に参加している学校の子どもたちがそれらの部屋で実践したことを紹介したり話し合ったりすることができるようになっている。また数校で一つのテーマを設定し研究実践を進めている「プロジェクト」という部屋もある。子どもたちは,各学校で学習したことを知らせ合いより深く学習していったり,普段の生活で感じたこと思ったことなどを自由に発信し交流を深めたりしている。インターネットを活用する楽しみやよさ,ルールなどもこの中から自然と学んでいくことができ,活用の範囲はかなり大きいと思う。本実践は,このプロジェクトの一つに参加してものである。