子どもがつくりだす画像データベースとその活用

宮崎大学教育学部附属小学校

  

 本企画は,子どもたちが学習活動の材料として使いたいときに自由に使える画像の集まりと,それを簡便に検索するシステムをインターネット上に構築するものである。これは本校のサーバを中継として,お互いのサーバ内の画像を検索して表示するという検索システムで,画像そのものは,インターネットの領域の中にある。画像の提供者が増えるほど,子どもたちが利用できる画像は拡大する。また,参加者相互がデータを登録したり,意見を述べ合ったりすることによって,自律的に発展・形成していく特徴をもつ。

 画像データベースは,画像の集まる場として成立しているプロジェクトで,細かな取り決めや準備を必要としないため,他のプロジェクトと共同することが容易になっている。そのため,2年の実践を終えた現在,後述するように様々な展開を見せた。本報告では,平成11年度における画像データベースの発展と授業実践について報告し,考察を加えたい。

 ・和歌山県の小学校の子どもが1年間撮影し続けた写真を,画像データベースとして教材化し,それを他の学校の表現学習の素材とした。

 まず,子どもたちは,画像データベースの撮影者の観点や,方法,内容などに触発されて,活動を展開した。そのようにして,撮影・登録された画像は,次に画像データベースを見る子どもたちの観点となるだろう。画像データベースは,子どもたちの造形行為を接続し,蓄えていくのである。コンピュータという道具を通して,子どもの見付けた造形要素がつながっていくことは,子どもたちの造形行為が文化として形成され,相互にかかわり合う可能性も含んでいるのではないか。

 画像データベースは,百科事典や固定的なデータベースと異なり,学習者が参加することで,社会的,文化的な道具として成立する可能性がある。

 本画像データベースは,今後,地域プロジェクトや市民,海外児童との交流も進む予定である。学習に活用していきながら,子どもたちにとっての意味を確かめていきたい。