主体的な学習活動を促す学習形態の工夫

栃木県足利市立西中学校

 

 積極的にインターネットを授業に導入し,コミュニケーションツールとしてのインタネットの効果的な活用方法を模索する。メディア選択の能力の育成。(情報教育的視点)

 新・学習指導要領では,現実に学び方を学ぶ学習の充実がうたわれている。

 そのため,自分たちで調べるだけでなく,交流学習を通し他の地域に住む同じ中学生たちが自分たちの地域に対してどのようなイメージを抱いているのかやどんなことを知りたと思っているのかを知り,その質問や疑問に応じられる情報を伝達(発信)するという学習形態が,主体的に学習に取り組む要因のひとつになるのではないかと考えた。また,お互いの地域を比較することでより一層特色をとらえられるのではないかと思える。

 そこで,自分が欲しい情報を得るにはどうしたらよいか,また相手に情報を伝達(発信)するにはどのような方法が適しているかなどについて,生徒たち自身に考えさせた。

 意見交換をする際,互いの授業時間が合致しなくとも発信や受信が可能である。

 指導(支援)計画(20時間)

第 1 〜  2時 : 交流学習のプレ学習

第 3 〜  5時 : 現行の学習指導要領に則り,近畿地方の概略を学習

第 6 〜  8時 : 現行の学習指導要領に則り,関東地方の概略を学習

第 9 〜 18時 : 交流学習(課題の追究)

第19 〜 20時 : 学習方法のまとめ

 自己紹介終了後,課題の追究を行った。課題の追究に関しては,それぞれのグループに送られてきた質問事項を調べ,交流相手にその内容を伝えることとし,調べる方法と伝達(発信)方法を生徒たちに考えさせた。

 本研究では,「諸地域学習から都道府県規模の学習へ」というテーマを設定し交流という授業形態を取り入れたが,交流学習を行う際,いくつかの問題点があるように思える。交流学習を行う際,(本研究では,滋賀県を選択したが)47都道府県の中からどこを選択するかという問題が第1にあげられる。本県および本市を調べることはある程度容易だと思える。しかし,交流先の都道府県および市町村と比較することで,本県および本市の特色をとらえさせるには,交流先の選択は慎重にならざるをえない。調べた情報を発信することで,本県および本市の特色をとらえられるであろうと予測できる都道府県および市町村を選択する必要性がある。

 授業にインターネットを活用させていくためには当面,TTの形態をとる場面が多くなることが予想される。教科担任は教科としてのスタンスでどのような授業にしたいのかを明確にし,情報教育担当者は,その授業をどのように支援していくかを明確にしておくかが重要である。相互に信頼関係を築いておかなければせっかくのコラボレーションも成功することができない。

 また,交流学習の場合は,交流校という相手の存在がある。交流授業は交流校とのコラボレーションでもある。対外的なコラボレーションの展開も今後は,大いに予想がされる。情報教育担当者はこうした点でも窓口となり,連絡,調整に東奔西走しなくてはならない。

 情報機器の整備と技術の習得の問題があげられる。情報機器の整備に関しては言うまでもないが,情報の発信,受信に必要なコンピュータ操作の技術の習得時間は各教科の授業の中では充分に行うことは難しい。そのため今後,他教科及び総合的な学習の時間などに本格的な導入を進めるには,技術科「情報」領域と情報教育年間計画など系統的な指導体系の整備が急務といえる。