著作権および情報倫理教育用 Webシュミレーション教材の作成と実践

千葉大学教育学部附属中学校

 

 インターネットの利用が日常化する中で,学校教育がその進展の早さに対応できなくなってきている。複雑化する著作権への対応や,ネットワークを要する上で気づきにくい危険な落とし穴(影の部分といわれている点)を交通安全教育のようなイメージで学習する教材,および教育実践が必要であると考え企画した。

 新しい学習指導要領への対応も見通して,情報教育(情報とコンピュータ)年間30時間において,総合的に取り扱うこととした。対象は中学校1年生としたい(実際には2年生)。

 ソフトウェアの操作などリテラシに関する内容は極力省き,今回の企画での教材を積極的に利用する。インターネット時代の著作権のあり方や,危険な点,自分が被害者にならないために何を考えるべきかを学習し,インターネットを上手に,有効に,楽しく利用するために必要な条件を学習する。

 著作権等に注意してWebを作成し,インターネットサーバにて一人一人情報の発信をおこなう。

 単元において,電子メールの導入およびWWWの導入また,Webを作成する前のオリエンテーションにおいて,今回作成した教材を使用する。

 当校は平成6年度から情報教育の授業でインターネットを取り扱っている。当時インターネットの利用環境はなかったため,大学まで生徒を引率し,技術・家庭科の情報基礎領域の中で8時間程度,インターネットを体験させる授業をおこなっていた。

 環境が整ってから,本格的にインターネットを活用することになった。今では情報教育だけではなく,各教科や総合的な学習「共生」の時間,生徒会,PTA同好会,クラブ活動など,あらゆる学校活動で積極的に利用している。

 この授業をインターネットも含めたネットワークを利用する上でのオリエンテーションと考え,これを受けた2年生,3年生には,全員にネットワークIDおよびパスワード,電子メールアドレス(電子メールを自由に利用できる権限),Webページを公開する権限を持たせている。1年生は,コンピュータの利用時には,Webページの閲覧とワープロ等ソフトウェアの利用のみである。電子メールについては,総合的な学習で利用するなど特殊な事情を除いては利用させていない。

 最終的な目標として,著作権や個人情報について学んだことが生かせているか,楽しく上手に情報を公開ができているかの確認として,Webページを全員作成,公開し,情報発信の実践をおこなう。

 授業は,1)フォーストメール(メールの楽しさを知る),2)一般的な電子メールマナーやエチケット,3)SPAM,詐欺等悪質なメールの検討,4)信用できるかどうか判断の難しいメールの検討,5)メールを受け取ったときの判断と対応 の単元でそれぞれ学習する。今回作成した教材は,以下のようなものである(一部抜粋)。

URL: シュミレーション教材:http://tech.jr.chiba-u.ac.jp/RINRI/ad.html

URL:シュミレーション教材(情報の発信)http://tech.jr.chiba-u.ac.jp/~97jrb45/

現段階では教材がまだまだ不足している。今後はより多くの事例を蓄積し教材化していきたい。また,情報倫理教育で取り上げる教材はできるだけ具体的,現実的である方が望ましい。そこで,ネットワーク上で問題になった事象についてはできるだけ多く集め,それをかみ砕いて教材に使っていきたい。

情報倫理教育教材 http://tec.jr.chiba-u.ac.jp/RINRI/