体力テストのデータベース化と情報交換システム作成の試み

筑波大学附属中学校

筑波大学附属駒場中・高校 

 

 保健体育は,健康と体力の育成と基本にしながら,豊かな人間性や主体的に問題を解決していく能力の育成が求められている。このように考えると体力測定の結果を生徒に示すだけでなく,その結果を踏まえ,自らの体力を高めていく方法を学ばせる授業の展開を試みることが必要となろう。ところで学校教育でのPCの普及に伴い生徒自身で簡単なデータ処理を行うことも容易になってきた。

 まず,本研究では新体力テスト結果を生徒に分かりやすくフィードバックするために,筑波大学体育科学系の協力を得ながら,体力プロフィールの作成を行った。これは,各測定項目が10段階で基準化されている。生徒は自分の測定データをPCに入力することによって,視覚的に体力のバランスと構成を把握することができる。

 この授業では,トレーニングの実践を通して,自らの体力を向上させるともに,自分の課題に応じたトレーニングプログラムを自ら作成することによって,主体的に問題解決を図る能力を身につけさせることが目的であった。

 自ら活動に取り組もうとする意志は,「内発的意欲」である。次に,自ら目標を持って行動することを「主体的行動」とした。次に活動を通して得られる達成感や成就感,楽しさの要素を「達成満足」とした。その結果から,「やればできる」などの有能感や自信,自らできたという効力感などを総合して「自己認識」として捉えた。教師からそれぞれの要素に働きかける部分をそれぞれ,「導入」ーやる気にさせる外発的な動機づけ,「学習方法」ー具体的な指導内容,学習の進め方の呈示など,「プログラム」ー授業で用いる様々な資料及び教材や教具の呈示等,「フィードバック」ー授業中の継続的な励ましやアドバイス等である。主体的に問題を解決させるためには,現在の自分の状態と目標とする自分の状態を時系列に沿って,イメージさせることが必要となる。

 体力テストの目的は,子どもたちの現在の状態を正確に知り,それを日常の生活や授業にどう活かすかを考えることである。従って,これを有効な教材として活用するために,基準となる基礎データが大切である。Web上では,そのような結果が公表されている。これらをできるだけリンクさせ,学校現場に適用することが可能である。