学習センターで自ら学びを進めていくための環境構築

東京都八丈島八丈町立三原中学校  

 

八丈島をはじめ僻地や島嶼地区は,今まで距離的な制約から,情報格差が存在していた。しかし,インターネットを利用することで距離的なハンデは解消されると同時に,一生涯学びを続けるためのスキルを得ることになる。生涯学習の準備として,また,「学び」とは何であるかを生徒が自ら考え,実行していく場として,コンピュータ(インターネット)ネットワークが整備された学習環境を構築し,問題解決能力及び自己表現力,他人の信念・意見に対する寛容などの社会性を育てていきたい。

学習の補助として,ネットワークコンピュータを設置する「学習センター」には情報検索の補助(サーチャー)として教員ないし生徒もしくは保護者(ボランティア)を配置する。このことで,教えることから「学び」を深化させる。また,地域の人的資源を活用した教育の在り方について探る。

本校ではPTAの補助により,複数台のコンピュータがダイヤルアップにてインターネットに接続することが可能であった。今回,学校企画の採択によるCECからの追加補助により,校内イントラネットに本格サーバ(Windows NTサーバ)を構築し,すべての学校内のコンピュータのブラウザのスタートページ(ホームページ)を同サーバ内に置き,校内限定情報をイントラネット内で流すことができるようになった。

 なお,サーチャー間の情報交換,情報共有は校内イントラネットのNTサーバに設置した電子掲示板「WebBBS」を用いて行っている。どうしても話し合いが必要な場合は,臨時に全員を招集しオフラインで重要事項を決定している。

 教職員がインターネットやコンピュータ利用に関して,不安を覚えたり拒絶したりしているようでは,児童・生徒のコンピュータ利用は一向に進まない。そこでコンピュータ研修を数回に分けて実施した。

八丈町情報教育推進委員会主催 平成11年8月25日〜27日,このコンピュータ研修は,講習に用いたテキストをHTML化した。研修終了後,講習テキスト及び受講者の作品をCD-ROMに保存して配布した。島内の各学校にも研修実施用に同CD-ROMを配布した。

 インターネットを使った学習を進めるとき,電子メールの利用に関しては様々な意見があるが,本校では積極的に電子メールアカウントを発行し,利用者の倫理や自主規制に任せて運用を行った。

 利用に先立ち,福島県葛尾村立葛尾中学校ネットワーク利用規定を参考に「三原中学校ネットワーク利用規程」を平成11年9月1日に制定した。以後,利用状況の変化に対応して3度の改正を重ね現在に至っている。利用規程に関しては,Web上に公開しているが,全校生徒にプリントアウトして配布している。次年度以降も「学び方を学ぶ」オリエンテーション時に情報倫理に関わる項目で触れることとしている。

 本校では年間を前期と後期の2期に分け,時間割を編成している。前期の最後に後述する理科・技術科教員によるティームティーチング(TT)による研究授 業を行ったが,コンピュータ(インターネット)の利用による生徒の興味・関心に基づく学習を実施するとき,教員一人だけで生徒すべての学習の過程を把握することは困難である。後期の時間割からは,主にインターネットの利用が見込まれる選択授業の時間帯に,技術科教員が臨機応変にTTとして参加することができるように,時間割を編成した。

 「教職員向け自主研修」を通して,異なる学校種の教員どうしでネットワークが生まれ,平成11年12月5日には管内の小学校のネットワーク環境を整備するネットディがボランティアの教員により実施された。