スペースシャトルからの画像を活用した環境教育

富山市立山室中学校

 

 インターネットのNASAのサイトには,スペースシャトルによって宇宙から撮影された地球の画像が多く蓄積されている。これらの画像は,非営利で教育的な目的であれば,特に申請しなくても無料で使うことができる。本校の選択理科環境コース履修者は,これらの画像をまず見ることによって,地球について学ぶ意欲を高めた。その後「川とその流域の環境」についてインターネットを活用しながら調べ学習を進めた。

 さらに本校は,応募した学校の中から,EarthKAMの参加校に選出された。EarthKAMは,カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)が運営母体となっている。このEarthKAMでは,飛行中のスペースシャトルにインターネットでデータを送信し,地球上の任意の地点を撮影できる。本校の選択理科履修者も,調べ学習のテーマに関連した地点の撮影リクエストをする。

 次に環境問題の調べ学習にインターネットのWWWブラウズを用いることによって,課題解決学習の技量が高まるのではないか検討してみた。

 最後に,宇宙からの画像や,インターネットを用いるこのような学習を通して,関連分野に興味を持ち,さらに地球全体のことを一つの視野で見ることできるグローバルな視点が育つかどうかも検討してみた。

 代表的な地球環境問題について課題ごとに書籍やホームページを調べる。

 軌道情報班 (シャトルの軌道情報の読みとり)

 ここでは,調べ学習の課題設定場面を取り上げる。教師側から大河の三角州(デルタ)の画像を提示し,それをもとに生徒たちは調べたいことをあげ,その後の班編制につなげた。用いた画像は,インターネット上の数百の画像から選んだもので,600dpiでカラー印刷した。

・アラル海,洞庭湖,チャド湖,サップ湖の変動が大きい。

 これからは,色の情報も無視できない時代になってきている。地球や天体分野の画像は,モノクロよりもカラーの方がぐんと情報量が上がる。高速ネットワークカラープリンターが必要であり,大量のデータをプリンタに送るための太い回線100BASELAN,コリジョジョンを防ぐスイッチングハブなど,コンピュータ室内のネットワーク環境の整備が必要である。

 現在建設中の国際宇宙ステーションが本格的に稼働するようになると,宇宙ステーション版のEarthKAMが実施可能になると聞いている。そうすれば,シャトルの場合のように打ち上げ期日がずれ込むなどの心配がなくなるので,参加校は年間指導計画を立てやすくなる。日本から今後参加できる学校も増えることであろう。

電子メールは学校外との調整に役立つ。UCSD,やシャトルの打ち上げ地であるケネディー宇宙センター,宇宙開発事業団,国内の協力校などとの連絡調整に大きな力を発揮した。今後総合的な学習を展開していく上で学校外の人材との連携プレーが必要になっていく。