再生車いすをアジアに送る活動

大阪市立東住吉中学校 

 

 すべての人にとって暮らしやすい社会を考えていくきっかけに車いすを教材とし,生徒たちが実際の体験を通して感じ,そこからバリアフリー社会について考えていく。そして,生徒たちが肌で直接感じたことを,インターネットで発信することによって,中学生の素直な意見や考え方を世の中に理解してもらい,そして,それが少なからず社会の変化に影響を与えることにもなるのではないだろうか。

 “Act locally Think globally”という視点で,生徒が地域に根ざして体験学習をおこない,それを,マルチメディア機器を利用してまとめ,また,インターネットを利用して発信していくというふうに,コンピュータやインターネットを使うことが主の目的ではなく,コンピュータやインターネットを手段の一つとして位置づけて利用していこうと考えた。

 社会において高齢化社会が年々進んできている,人に喜びを与えることの喜びや社会貢献をすることの意義を,体験を通して学習していくことをねらいとしこのコースの学習を設定した。

 アジア・アフリカの人に再生車いすを送ることを通して,学校における活動が,直接社会とつながり,生徒たちに「やればできる」という自信を持たせていきたい。

 アジアの「障害」者との交流を通し,生徒たちにとってより身近にアジアの人々の生活を知り,また,それぞれの国の,「障害」者のおかれている現状を考えることによって。福祉のことを考えていきたい。

 車いすの構造を知ろう

車いすの乗り降りの仕方・車いす介助の仕方について体験しよう

 調査内容についての話し合いをする・再生車いすの試乗も兼ねて,公共施設の調査体験学習をする・駅員さんへのインタビューをする・記録をする

 1999822日,車いす再生の活動に参加している中高生により,「中高生で考えるバリアフリーのつどい」を,大阪南港のATCエイジレスセンターでおこなった。12校,80人の中高生が集まり,「女性の目で大阪を考える会」の方から大阪市営地下鉄のバリアフリー度の調査についての話を聞いた後,グループごとに南港周辺の1つの駅を担当し,自分たちで修理した車いすを用いて調査活動をおこなっていった。

 駅の周辺のアクセス・駅入り口から改札まで・改札からホームまで・そして電車の乗車と分け,実際に駅員さんにインタビューしたり,車いすで切符を買って,電車に乗ったりして,調査活動をおこなった。調査データを収集した後,調査結果の画像をコンピュータで処理し,また,ワープロで感想を書いたりしてまとめていった。自分たちの調査の成果をインターネットで情報を発信していくという目的を持ったために,11人が自分の分担を責任持って仕上げていくことができた。そして,完成したホームページをもって,もう一度それぞれの駅にいき発信していく了解を得にいった。駅の対応が調査した時よりも,より丁寧な対応になったり,また,一部を訂正するように依頼があったり。生徒たちはこの時にはじめて,インターネットによる情報発信の重大性を感じたようである。

 校内での交流の場面を設定する際,職員室や校長室に行けない,1階でスペースのとれる教室が限られているなど,学校の施設として車いす生活者に対応できていない部分が数多くあった。