異文化交流活動を通してふるさとを再認識する

下関市立長府中学校 

 

 このプロジェクトは,教室に居ながらにして国際コラボレーションを実際に体験する機会を提供しようとするものである。学校という物理的に閉ざされた空間では,このような試みは非常に困難と思われてきたが,インターネットを駆使することで,それが可能となった。本校では,平成7年度以来,異文化交流を行うためのコミュニケーション活動の一手段と捉え,ネットワーク環境の活用を考えてきた。今年度の活動では,交流活動の質的な面に重点を置き,生徒の内面の変容を大切にした交流活動を目指した。その際,テーマとして郷土下関や城下町長府といった自分たちの生活する身近な話題を題材に,活動を展開してきた。

 中学校技術科では,コンピュータの活用という単元がある。この単元の学習では,通信端末としてのコンピュータを利用しながら,情報の収集・処理・伝達の各段階において,使用する道具や機器,資料などをあげることや,つくりだした情報を自分で利用するだけでなく,他人に伝えたり,他の人と共有することでネットワークの利用価値を理解するといった目標がある。 教育課程の移行期にさしかかる来年度から,「総合的な学習の時間」を設けて授業実践に取り組むこととなった。そのため,「ふるさと学習」という講座の設置を前提に,ネットワーク環境を活用することで可能となる活動内容を模索しながら,来年度の「総合的な学習の時間」の実施に生かす方向で取り組んだ。

自己紹介セッション 交流にあたって,あらかじめ相手校コーディネータと交流日程・方法などについて連絡調整をした後,小グループの生徒同士で電子メールを使って自己紹介文を送り合う。

交流セッション 地域の特色となる文化財や,身近な生活についての話題などから各自がテーマを選び,交流活動を展開する。

マルチメディアを利用した情報の伝達 英文の電子メールに慣れてきた段階で,デジタルカメラで撮影した地域の文化財や,音声データなどをつくり,相手に発信する。

交流のまとめ 生徒たちがコラボレーションで得られたものを広く公開するため,本校ホームページに成果を掲示する。

 平成11年度は,これまでの交流活動をふまえて,今一度交流活動のあり方について吟味することを目標に活動を行ってきた。また,異文化理解をテーマに置くことで,海外の人々の生活様式や文化の多様性を実感することが1つのねらいとなるが,もう1つのねらいとして,異文化を知ることで,自文化を見直すきっかけとなり,ふるさと下関や長府地区の良さを再発見することも必要と考えた。

 また,交流相手については,これまでは一人の生徒に対して一人の交流相手を割り当てて活動をしてきたが,相手の日程によっては,ある期間交流活動が停滞してしまい,空白の時間ができることもあった。そこで,今回は一人の生徒に対して複数の交流相手を割り当てることで,この問題も解消できた。生徒の内面的な成長についても,これまでにない充実感が得られたようである。