美術科授業研究
北海道札幌新川高等学校
新学習指導要領,高等学校・美術において表現の分野として映像メディア表現があらたに加わり,来年度から実施される。この授業では「さっぽろ雪まつりの雪像アイデア」を写真,コンピュータなどの映像メディアを生徒が主体的に使って表現し,インターネットを利用して他校児童・生徒と交流することを通して雪像アイデアのイメージを共有し,共同制作を行う。
コンピュータやデジタルカメラなどの映像メディア表現と絵画・デザイン・彫刻などの表現を組み合わせながら「さっぽろ雪まつり」の雪像のイメージを製作し,絵の電子メール「ボトルメール」でアイデア交換することによって,生徒の感性と美的体験を豊かにし,美術を愛好し心豊かな生活を創造していこうとする心情を育てる。
また,異なる地域の他校児童生徒との交流・共同制作の活動を,日本やアジアの文化や伝統を理解する機会として表現にいかす。
さっぽろ雪まつりの雪像は雪積みされた大きなブロックを削り出して制作する。そこで,第1段階として立方体を迷路のようにペイントソフトを使って等角投影図法で表現したスケッチを描き,次にそのスケッチをもとに粘土で具象的なイメージを加えて制作し,デジタルカメラで撮影した作品をそれぞれボトルメールで送りあうことで生徒どうしのイメージの共有化を図ることにした。
送信されたボトルメールはすべてWWWに掲示されるようにシステムを構築し,他校の児童生徒とも電子会議室を使って雪像の共同制作プランの話し合いを行わせることにした。
WWWの掲示板に送信されたすべてのボトルメールがアップロードされるので,他の生徒の作品を鑑賞した上で,グループごとに具象的なイメージを加えて粘土模型を制作する。
今回の授業でボトルメールを使うにあたり,「いつ誰に届くかわからない」ボトルメールの特徴を残した上で,雪まつりのアイデア交流を行なう学校どうしでやりとりを可能にするグルーピング化されたボトルメール,シェアウェアの登録用ファイル,送信されたすべてのボトルメールをホームページ上で閲覧できるシステムを開発元のリクルートメディアデザインセンターに提供していただいた。
過去2回ボトルメールによる「さっぽろ雪まつり」の雪像アイデアの交流を行なってきたが,ボトルメールを使う授業場面ではいつも歓声が上がり,生徒はどんなメールが届くのか楽しみにしている。雪まつりの雪像アイデア交流では,アイデアスケッチを交換する活動が大きなウェイトを占める為,電子メールの添付ファイルやWebの画像掲示板を使ってきたが,ファイルサイズの問題や操作が子供たちに難しい点,そして何よりも学校でインターネットを利用できてもメールアカウントを持っていない児童生徒たちが多いことなどから,もっと気軽に楽しんでアイデアを交換できるツールがないかと思っている時に偶然目に留まり,使用目的を話して開発したリクルートメディアデザインセンターに相談した。