インターネットによる学校間・生徒間交流・共同学習の将来性をさぐる

福井県立福井商業高等学校

 

 21世紀予測される経済のグローバル化,高度情報通信ネットワーク社会の進展などによる経済変化の中で本校の商業教育の目指す方向としては「ビジネス教育の視点に立った商業教育の構築」である。その方向の一つの方策としてインターネットを活用した商業教育の展開が考えられる。本校では,平成9年にCAIの予算によりのWINDOWS95のパソコンが40台更新されその後平成10年にDOS/Vパソコンが40台設置された。各職員室にもパソコンがある。授業においても,昨年度から課題研究の授業で,インターネットを利用しての調査・研究や電子メールでの学校間交流・共同研究など進めてきている。

 平成10年には,文部省の光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法の研究開発事業の指定を受け1.5Mbps回線が引かれた。インターネットを教育にどう展開していくか,あるいはその効果的な使用方法など,「インターネット企画委員会」を中心に各教科や各校務分署で検討している。今後は,校内LANを引くことで,すべてのパソコンからインターネットが利用できるような環境を整備していきたいと考えている。

 また10月に福井商業高校ではエイズの全国発表会があったが,そこで中部商業高校の生徒と福井商業高校の生徒との意識の相違をアンケートで比較しながら交流をつづけ,WEBのページを共同で作成していった。生徒は調べ学習した内容をメールやWEBで意見交換することで文化や環境の違いをいっそう理解していったと思う。

 平成10年度〜12年度まで,光ファイバー網による学校ネットワーク活用方法の研究開発事業の研究指定をうけ,総合実践の内容にインターネット利用を取り入れる。この前段階として,課題研究においてインターネットを利用して電子商取引を実際のインターネット上で行い,日本および海外の学校と特産物などの取引を実施していった。

 西陵商業高校の影戸誠先生と川崎商業高校の吉野勉先生と連絡をとりながら授業についての打ちあわせを電子メールや先生のための電子掲示板を利用しながらおこなった。実際に取引していったデータは,その会社独自のものであり,サンプルで作成するのとは異なるので生徒の意欲向上につながったと思われる。そしてそれを通して,各会社に利益追求のシミュレーションや経営分析を表計算ソフトと連動させながら展開していく。なお電子商取引については,テレビ会議システムやネットミーティングを利用して,双方向のリアル画像交換をおこなっていた。テレビ会議システムは,取引相手を認識することで電子商取引にリアリティーを感じさせ,責任意識を持たせることができた。

 生徒達の力を核にして,インターネットと周辺技術を駆使して学習していく生徒のための新しいコミュニティの創造を目指している。生徒においては,高度情報化社会を生き抜くための力,すなわち情報を収集し,的確に判断・処理・加工し,活用できる力,さらにはコミュニケーションの道具として利用していく等,情報における総合的な能力を育成する。そのために校内に学習環境として,情報通信設備を体験できる機会や場をできる限り多く構築する。

 このようにインターネットの教育利用を様々な角度から現在進めてきた。今後情報ツールを当たり前に使いこなす生徒を前に,コーディネータの役割として個性,創造性を伸ばす学習機会を多く設けていき,コンピュータリテラシーの育成と情報リテラシーの育成の充実を促す必要性があると思った。

 本校は平成12年度まで1.5MGの光ファイバーの専用線が引かれている。それをフルに利用するにはどうしたらよいか模索してきた。まず1番目に校内の環境を整備し,多くの先生にインターネットの良さを体験してもらうこと。そのために講習会などを月に2度は開き,啓発していった。2番目に生徒が自由にパソコンルームを使用できる環境を整備していった。これにより放課後生徒が自分のメールボックスを開いて書込をし,発信していくことで教室全体が情報収集や発信の場として生き生きしてきたように思える。