Virtual Class Room の実践(国際編)

山梨県立甲府工業高等学校

 

 今回は,インターネットを活用し,海外の学校(あるいはクラス)と授業を共有しながらお互いの文化の理解を深めるためにはどのようにしたらよいか,実践を通しながらその問題点の洗い出しと有効な活用方法について研究する。

 本校は,4年前から韓国の清州機械工業高等学校と姉妹校の関係にある。昨年度より生徒会の生徒を中心に34日のホームステイを行う交流プログラムが開始され,昨年度は本校の生徒が韓国でホームステイし,今年度は韓国の生徒が本校の生徒宅でホームステイした。この交流プログラムは直接異文化に触れるという意味で非常に有効であるが,費用がかかるため全ての生徒が参加するということは困難である。

 そこで,相手校にインターネット接続環境があるということだったので,インターネットを利用した交流を試みることにした。

 しかしながら,韓国側の担当教師へ電子メールを送ってもそのレスポンスが遅く,相手側のシステム構成さえも掴めない状況であった。韓国側は直接話し合いを持ちたいという意向だった。相手校のシステム及び教育環境の調査や交流の可能性について協議するため,韓国へ直接出向き会合をもった。

 今年度,本校の学園祭に韓国側から生徒数名が来校し生徒宅へホームステイした。その中に電子科の生徒はいなかったが,引率してきた電子科教員と本校の電子科教員が直接交流をもち,システム環境や実習内容等の情報交換を行った。

 生徒間の交流では,相手校のホームページを自国語に翻訳して紹介しあうことにした。清州機械高校のホームページはハングル語で書かれており,生徒が直接日本語に翻訳することはできない。そこで,翻訳ソフトを利用し日本語に翻訳された一次原稿をハングル語サークルの生徒によって読みやすいかたちへ更に翻訳してもらった。今までホームページは紹介されていてもハングル語で表記されていたため内容はほとんど理解されていなかったが,今回日本語のページができ生徒たちは一層親近感をもち相手校の理解を深めている。

 清州機械工業高校では,現在生徒に電子メール利用を許可していない。そのため,生徒同士のメールのやり取りはできない。来年度からは生徒の利用を許可する方向で検討が進んでいる。使用する言語は必然的に英語にならざるを得ないが,相手の母国語を少しでも理解するため,翻訳ソフトを活用し自国語と相手国語の二カ国語で表記してメールのやり取りを実施していこうと計画している。そのための方法を教員間で実験しているところである。

 ハワイの情報は日本にいてもいろいろ入手できるが,メールやテレビ会議を利用し,お互いの身近な生活の違いを見つけ,それをとおしてお互いの文化を理解する。

ハワイ Punahou高等学校(日本語クラス20名)名古屋市立西陵商業高等学校 大阪府立盲学校 山梨県立甲府工業高等学校(電子科1年生40名)

 生徒達はメールだけでなく,画面を通して交流相手を確認できハワイが身近なものという実感を得たようだ。また接続の難しさも生徒にはハワイとの距離を体感することができてむしろよかった面もある。

 リアルタイムで交信できる時間は時差の関係もあり本当に限られたものである。有効に使おうと思っていても,どうしても無駄な時間が出てきてしまうので,準備を周到にしておかなければただ接続して喜んでいるだけになり異文化交流とはいえなくなってしまう。したがって,メールなどで交信相手とよく打ち合わせや情報の交換をしなければならない。