身近な国際交流 

愛知県立中村高等学校

 

 インターネットを利用すると外国とのコミュニケーションが容易に,短時間でできるようになる。教室内,学校内ではできない他の国の人との対話が可能になる。ところが外国の人とのインターネットを利用した交流の場合,電子メールとホームページが利用しやすいが,文字と写真を主とした交流になりがちである。情報も知識としては得やすいが,直接他国の文化や言語,社会を理解するには限界がある。インターネットのビデオ会議はそれを補う意味があるし,文字や画像だけでなく,リアルタイムなコミュニケーションが実現できるが,双方の環境が整わないと実現できない。直接会って行うコミュニケーションで,直接体験や協同の活動などを行いたい。海外の国の人と直接会うには渡航費が問題となるが,日本在住の外国人で,特に留学生となら,会う機会が得やすい。また,日本での生活経験があり,日本と自国の両方を知っているので,また別の視点で,文化や社会のことを話し合える。そのような主旨で日本在住の留学生との対話の活動をスタートし,インターネットでの交流と直接会う機会を設けている。

 留学生と電子メールのメイリングリストの機能を使って日常的なコミュニケーションをするとともに,交流会を実施し,直接会って話し合い,交流を深める。他国の様子を知るとともに,日本で暮らす留学生の目を通して見た日本を知り,課題や問題点を考える。相手の国の理解だけでなく,相手の人間としての理解を深め,地図の上の知識としてしか知らなかった国を,「留学生の○○さんの国」として,親しみのあるものとして実感できるようにする。英語でコミュニケーションすることによって,英語のコミュニケーション能力を高める。

 中村高校英語部では,以前から留学生との交流を行っていた。98年夏より,縁のあったバングラデシュから名古屋工業大学大学院へ留学中のUddin Md. Zahirさんと,愛知教育大学助教授 鎌田敏之先生の紹介のネパール出身で静岡大学工学部へ留学中のOm Prakash Niraulaさんに協力の依頼をし,快諾をいただいた。お二人とも電子メールを利用できる環境で,日本にはUddinさんは4年目,Niraulaさんは2年目で,日本の状況もある程度わかっているかたである。コミュニケーションは英語を前提とした。

その作業も英語部生徒が中心になって行った。

 10月の中間テスト終了後,exchange-MLをスタートさせた。生徒がまず自己紹介を書き全員の自己紹介終了後,留学生の方に自己紹介をしてもらった。生徒の自己紹介に対して英語部の活動についての質問があり,生徒はそれに答えるために,英語で活動をまとめようと努力した。このような英語でのやりとりは 部員だけで活動を行っている際には中々できないし,外国人講師の先生の訪問日でもなかなか部員全員がその先生と話す機会は多くない。直接英語でのコミュニケーションは,インターネットを利用したから実現した。

 当日はNiraulaさんから詳しい自己紹介やネパールの学校制度の説明や,高校生活についての話の後,ネパール文字の読み方を教えてもらい,各人の名前をネパール文字で書いてもらった。その後,用意したクイズで,お互いの理解を深めた。

ネパールの歌,ネパールのお祭りや年中行事などの説明をしてもらった。また,学校まで通学に徒歩2時間もかかる中を通ったことや,ネパールの学校環境と日本との違いについてコメントしてもらった。その後,生徒が学校を案内し,部活動で,茶華道部が正月用生け花を準備している場面や,弓道部の練習の様子などを見てもらった。