総合的な学習への取り組み

柏市立中原小学校

 

 理科や社会科で子どもたちが調べたものや観察した記録は,子どもたちのノートにしまわれてしまう場合が多い。

 日本人学校との交流授業は2年目に入り,米づくり交流学習,和太鼓演奏のライブ中継,音楽交流授業,地域紹介授業等,インターネットやテレビ会議を利用しての学習を積み重ねてきた。

 しかし,どの実践も指導者側の意図が強く出てしまう傾向にあった。そこで,子どもたちが本当に数千キロも離れた友だちを学習相手とし,自分の手足のように自然にインターネットを利用していく授業はできないものかという思案した。そこから考えた「世界共同月観測プロジェクト」は,5年生「理科」の月の動きと満ち欠けの学習を,理科だけにとらわれず総合的に取り組む中で自然な交流を目指して実践した。

 本単元は学習指導要領内容のC-(2)[太陽と月の形や位置などを観察し,それらの動き及び位置の関係を調べることができるようにする]に基づいている。まず,児童の素朴な疑問である1日の月の動きや日がたつにつれて形や見える位置が変わる様子を観察する中から,月が満ち欠けするわけを考えたり,太陽と月の表面の様子の違いを調べたりすることがねらいである。

 これは日本国内若しくは北半球の日本と同緯度程度に位置する地点からの不変的な観測結果であるが,地球上の他の地域から見た場合は違うのである。

 本授業は日頃から交流を行っている日本人学校5校(パース,香港大埔校,カイロ,シンガポール,ブエノスアイレス)との共同観測から,同じ日の上弦の月がパースからの報告では,日本と逆に見えるという所に端を発している。子どもたち同士の観測結果から出た疑問を追求する中から,「なぜ見え方が違ってくるのだろう」という話し合いに発展をし,見え方の違いの原因について積極的に考ようとする態度に発展した。自然現象であっても,自国の様子を観察し,他国の様子と比較する中から共通点と差異点を見つけだし,それを通して視野を広げていくことは,国際理解にも通じるものであると考えている。

 パース日本人学校の子どもたちと見え方の違いについて話し合い,原因について考え合うことができる。 したがって,北半球で見ているものを南半球の人たちは,北半球で逆立ちをして見るのと同じ映像を見ているのである。

 パース日本人学校の考え方・・パース日本人学校の子どもたちの考えは,中原小考えAと同じ考えであった。

 中原小とパース日本人学校との間で論議された話題は,各日本人学校でも話題となって子どもたちの学習に利用された。エジプトのカイロ日本人学校では,現地の小学校との交流授業でこの話題が提供されてお互いに話し合いをしたそうである。

・月共同観測プロジェクトのWebへのアクセスがこの間に2000件を数えた。子どもたちが学習で利用した数と同数以上のアクセスをカウントし,他の子どもたちへの学習機会になったと考えられる。