スウェーデンとのインターネット交流

神戸市立葺合高等学校 

 

 ネットワークの利点のひとつとして,時間,空間を超えて様々な場所に住む様々な人々と出会い,それぞれの意見を交換し,相違点,類似点を確認していく中で,自分自身についてより深く理解できるようになる,というものがある。今回のスウェーデンとのネットワークを利用した国際交流を通じて,ネットワークならではの体験を生徒達にさせることによって,自己理解を深め,そしてそれを超えた相互理解を深めていくことを目的としてこのプロジェクトを企画した。

 本校では英語に特化したカリキュラムを持つ「英語科」が設置されている。帰国子女も多いこの英語科では教科書を使わずに,独自の自主教材を用いた授業がそれぞれの科目で展開されている。「外国事情」もその中の科目のひとつで,これまでは,各国の様々な情報を新聞,書籍,TV等の媒体を通してキャッチし,それをもとに学習を深めてきた。今回はインターネットによる学校間交流を軸にして,ヨーロッパとアジアの文化・習慣をお互いに紹介しあい,またそれぞれの国で起こっている出来事を報告・検証することにより互いの考え方を知り,それにより,それぞれの国の人々の考え方のベースになっている文化的背景の考察を行う,ということを目標とした。

 その目標のため,日本・スウェーデンのそれぞれの近隣諸国についてインターネットの検索サイトを利用して効果的に情報を収集し,検討することにより理解を深め,また集めた情報をわかりやすくレポートにまとめさせた。本科目の目標は本来,海外諸国の諸事情について学習することが中心であるが,インターネットを利用すれば,それにとどまらず,その学習成果を発信することもできる。授業では掲示板(BBS)を利用することによって,それを可能にさせた。また,交流後半ではテレビ会議システムを利用してリアルタイムの交信により,リスニング・スピーキング能力の向上も目標とした。

 11月にはスウェーデンより2名の教師が訪問し,交流についてのより具体的方法を探ることも出来たが,スウェーデンとの交流は主にBBSを利用して実施した。(BBSCGI discusを使用)メニューにあるChat Roomは当初生徒同士の交流目的に,と設置したが,時差のため,同時アクセスができない点,また,メッセージが整理して保存されない点があるため,掲示板形式に移行した。なお,このBBSは交流校のみのアクセスに限定している。

 今回の学校企画は一人の本校卒業生の話をきっかけにはじめたものである。アメリカの大学で知り合った方が卒業後,スウェーデンFENIX High Schoolで教鞭をとられ,生徒達の学習意欲を高めるためにと,その先生よりこの交流の申し出があった。インターネットによる学校間交流のプロジェクトはこれまでも実施してきたが,時差や学校による行事,学期等の違いによって交流がたち切れになってしまうことが多いことが問題点であった。今回は双方の教師グループがメーリングリストを作成し,参加することによって細かな打ち合わせをすることができ,双方の生徒達の様子を把握しながらプロジェクトを進めていくことができたように感じる。お互いに情報の行き来が少ない日本とスウェーデンという2国間で,ネットワーク回線を通じて少しでも情報交換ができたことは非常に有意義なものであった。今後は二学校間のつながりをより密なものにして,お互いのクラスの授業目標に即した交流計画を進めていきたい。