総合的な学習のひろば

広島大学附属福山中・高等学校 

 

 「総合的な学習のひろば」は,ネットワーク上に,全国の学校の実践事例や関連資料を検索閲覧できるデータベースを構築するとともに,意見や情報交換のできる掲示板などを備えた,教師を支援する場をつくろうとする試みである。

 ネットワーク上に開設された「総合的な学習のひろば」は,二つの機能を持っている。一つは,全国の学校の実践事例や関連する情報を閲覧するための検索機能を有したデータベース,もう一つは,掲示板やメーリングリストを利用して意見や情報交換のできるフォーラムである。これらを活用して情報を共有することにより,教師間のコミュニケーションを促進するとともに総合的な学習についての理解を深め,具体的なカリキュラムや教材の開発を支援することを目的としている。

 このプロジェクトの最初の課題は,総合的な学習の実践事例等の資料をどのように収集のかということであった。既にWeb上には実践事例をリンク集という形で整理しているものは多くあるが,実践事例そのものを収集してデータベース化している例はあまりない。 当プロジェクトでは,事例の収集の際,それぞれの実践について,内容の分類,キーワード,目標,実施形態,推進組織,年間の指導計画,具体的な実践内容など,収集整理するための共通のフォーマットを決めて取り組み,それらをできるだけ詳細に公開しようと試みた。こうしておけば,データベースとして多面的な検索が可能となり,閲覧者も多様な切り口で情報を探すことができると考えたからである。

 収集した資料をネットワーク上に掲載するためのデータ整理の方法やデータベース化する際の形式について様々な検討を行った。当初はWebサーバ機能を持っている市販のデータベースアプリケーションを利用することを検討したが,文献のデータ量は膨大であり,表や図版を組み込んだものもが多いため,ハイパーテキストの形式(HTML)を採用することが最も整理・編集しやすい方法と考えた。しかし,HTML化はかなり手間暇のかかる作業である。変換や編集のためのツールを利用しているのであるが,自動変換では細部の体裁やレイアウトなどがうまくいかないため,最終的には手作業となる。また,HTML化にあたって留意した点は,ナビゲーションのデザインを工夫したことである。閲覧者がWeb内の多くの情報の中で道に迷うことが頻繁にあるため,必要な情報まで容易にたどり着けるように関連する情報同士にリンクをはり,さらに,ホームページのフレーム機能を利用してトップページと現在位置との関係を常に認識できるデザインで制作した。

ワンポイントアドバイス

国立教育研究所の教育情報資料センター文献情報研究室の総合的な学習に関するリンク集「総合的な学習らんど」(http://www.nier.go.jp/homepage/jouhou/literature/sougou.html)は,全国の総合的な学習の実践および研究などが整理されている。総合的な学習を実践している学校のうち,インターネットで紹介されている学校だけでなく,インターネットで紹介されていない学校についても掲載されている。また,総合的な学習の理論・指導計画,単元展開の構想等, 資料・文献検索サイト,国研での研究,全国の研究発表会・研究大会等など,多くの情報がわかりやすく整理されており,総合的な学習を検討する上で参考になる。