地域社会と連携したインターネット技術研修

愛媛県立新居浜工業高等学校 

 

 初等・中等教育のすべてにインターネットが導入されようとしている。国による予算化が進められているが,地方においては,導入される施設・設備を有効に活用できる人材や,そのノウハウがほとんど蓄積されていない。このため地域社会を対象に「インターネット技術研修」を企画した。本校のこれまでの教育利用に関する研究や経験を基に,特に学校教育の情報化に特化した研修会を実施することした。

 世界は高度情報通信社会へと猛烈な勢いで突き進んでいる。まさしく現代の産業革命の始まりである。アメリカを中心とした情報革命は瞬く間に世界の先進諸国を巻き込み,政治・経済・文化・教育といったあらゆる分野が変革という嵐に遭遇している。この嵐は人類にとって数百年に1度あるかないかの大きな出来事だとする観方もある。このような状況の下,我が国も遅ればせながら各界から追いつけ追い越せのかけ声も強くなりつつある。

 この中で「教育の情報化」は我々に直接関係する分野である。そこでは2005年までに,初等・中等教育の学校すべてに校内LANを構築し,すべての教室でインターネットや校内LANが利用できる情報コンセントを設置する提言がなされている。あと5年である。しかし,アメリカでは2000年までにK12(小・中・高)のすべての教室に情報コンセントが設置される計画が着々と進み,完成が間近い。ここには実に5年の差が存在する。

 我が国もこの施策を前倒し,早期に教育の情報化を実現してもらいたいものである。しかし,せっかくの施設・設備等のハード面の充実も,それを使いこなして教育効果を上げることのできる人材を確保すること,すなわちソフト面の対策も合わせて進めなくては,効果の薄いものになる。そのため現職教育(2001年までにすべての教員にコンピュータ操作スキルを養成する計画も掲げている)の充実や大学の教員養成課程での情報リテラシーを獲得するための養成プログラムの開始も提言されてはいる。だが,これを着実に実施することはもちろんだが,各分野の情報化は国際間の競争の時代に突入したと見られる。したがってこの計画を積極的に前倒し,各分野において即応できる体制を作る必要があると思われる。またこれに関連して,急速な情報化による情報弱者の創出をできるだけ押さえることや,必要なフォローも重要施策として,忘れてはならないことである。

 今,我々にできることは限られているが,ここ数年間インターネット教育利用に関わってきた経験を生かし,少しは社会に還元できないかという思いから,地域社会を対象とした「情報化推進コーディネータ養成」を目指したインターネット研修会を計画した。

 研修対象者は教職員の部として,市内(愛媛県新居浜市:人口約13万人)の小中学校27校の教職員と市教育委員会職員,県立高校23校事務職員及び若干名の本校職員である。また,一般市民の部として生徒の保護者を中心とした地域社会の方々が参加した。

 「高度情報通信社会の捉え方」,「教育の情報化と進め方」,「インターネットの教育利用」,「情報倫理」,「有害情報の問題と対策」,「個人情報保護の問題と対策」,「インターネットの仕組みとサービスの種類」,「基本ソフトとアプリケーションの操作方法」,「インターネットサービスの利用方法」,「教材の作り方」,「ネットワークの構築」,「パソコンの仕組みと組立」,「ソフトウェアのインストール」などかなり幅広い分野の研修が行なわれた。また一般市民対象の部は教育利用の部分を圧縮し,インターネットビジネスなど一般的利用方法を中心に研修が行われた。

 講義用テキスト約40ページ,実技用テキスト約40ページ,また,補助テキストとしてインターネット上の関連情報も教材利用した。

 研修室の環境は,受講者1人に対して1台のLAN接続されたパソコン(インターネット用クライアントの機能もある)と,指導者からの教材提示用ディスプレイを利用することができる。このシステムは指導者から個別にネットワークを通して指導を受けることもできる。また各研修者に個人アカウント(1年間有効)および公開ホームページ用ディスクスペース(1人20Mバイトまで学校ホームページ作成用として1年間利用可能)が提供された。この環境の提供は研修後の自己研鑽に活用することができる。

 今回の研修会の特徴は,一般のインターネット技術研修会ではなく,参加者に教職員が多いことから,「ネットワークの教育利用」に特化した内容であり,特に力が注がれたところは「情報倫理」の問題やマルチメディア・コンテンツを利用した新しい視聴覚教材の作成方法(教材データベースの構築),ネットワークパコンの組み立て等であった。

 社会について原始社会から現代社会までを,狩猟・採取社会,農耕社会,工業化社会,高度情報通信社会に分類し,各社会の特徴や生産と消費,科学技術の発展について社会史的観点から把握し,それを通して高度情報通信社会を理解する。

 情報収集と教材開発,情報交換を通してインターネット利用の普遍化を進める。

 校内の環境整備校内情報インフラの設計と構築,現行情報システムとの整合性,ネットディ実施

 職員の情報スキルの把握,年間研修計画の立案実施(全校研修会を年間12回実施)